追悼クリス・リードさん〜あたらしい旅を目前に2020年03月21日 17:57


庭のすみれ

15日(日本時間14日)、アイスダンスもと日本代表のクリス・リードさんが
急逝しました。
心臓突然死というニュースに、耳を疑いました。

姉のキャシーさんとバンクーバーとソチ五輪に。彼女の引退後は村元哉中さんと組んで
平昌五輪にと、三度の五輪出場で日本のアイスダンスを牽引した立役者です。

コミカルな曲もしっとりとした曲も自在にこなし、
お姉さんと演じた「アダムスファミリー」や、日本の桜の開花をイメージしたという
平昌の「戦場のメリークリスマス」などのダンスもさることながら、
明るくやさしく、ユーモアと笑顔をたやさない姿が印象に載っています。
決して上手とはいえない日本語で、一生懸命インタビューにこたえていたのも
忘れられません。

グランプリシリーズのアメリカ大会のエキシビションの会場で
ハプニングがあり、進行が中断してしまい、司会者が困っていたとき、
彼が機転を利かせて、場をもたせ、もりあげたことがありました。
村元さんも手伝っていたと思います。
いつ再開するの?という感じだった会場の雰囲気が一変して
温かな笑顔があふれました。
記憶力ゼロで、何年のことで、何が起こり、どんなふうに助けたか
まったく覚えていないのですが、ユーモアのセンスとやさしさは胸に刻まれています。

一昨年、デニス・テンさんが強盗に殺されたときも衝撃を受けましたが
その悲しみが癒えないうちに、大切な宝物を失ったフィギュアスケート界。
今シーズンは、コロナウイルスの影響で中止になりましたが、本当ならいまごろ
カナダで世界選手権が行われていたはずで、
引退していたクリスも、観るのを楽しみにしていたに違いありません。

この春から彼は、お姉さんとともに、日本でアイスダンスの後進の指導に
あたることになっていたのです。
最後のブログには、アパートの荷物を「日本におくったです!」と書いたあと、


これから
キャシーといっしょに
日本のアイスダンスを
ニューエイジにする
あたらしい
むずかしい
ジャーニーのはじまりです😊

たのしみだよ!

と記し、コロナウイルスのことで日本に行くのが遅れていて、
早く終息することを願いつつ、こうしめくくっています。

みんな
気をつけてね

クリス


いつも人のことを思うやさしい彼らしい言葉ですね……。

(オフィシャルブログ→ 華麗なるアイスダンス )

膝の怪我を抱えながら、笑顔と努力で駆け抜けたスケート人生。
ありがとう。そして、お疲れさまでした。
少しゆっくりしたあとは、天のリンクでデニスやほかの先達とスケートや
スケート談義を楽しみながら、どうか、これからのフギュア界を見守ってくださいね。

(写真は、実家の庭で咲き始めたすみれ。春を告げる愛らしい野の花です。)

復活の舞〜エン・カンの「ラ・ラ・ランド」2019年11月15日 21:10

フィギュアスケートのグランプリシリーズが始まっています。

先週の中国杯では、競技から離れていたエン・カンが戻ってきました。

4年前、同じ中国杯の6分間練習で羽生くんと衝突して、お互い怪我をしながら

演技した選手です。(ハン・ヤンとも言いますね。)


去年はみなくてどうしたのかなぁと思っていたら、怪我をしていたのですね。

引退も考えていたようですが、北京五輪を目指す決意をしたそうです。

 

好きなフィギュア選手は、あげればきりがないのですが、エン・カンもそのひとり。

音の取り方が独特というか、音感が優れていて、スケートにのびがあり、

音に乗せてすべるので、見ていてとても心地よいのです。

選曲も素敵で、振付もいつも洒落ていて、なかでも

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は印象に残っています。

(ロマンチックで大人のムードたっぷりの曲。このときの振付も素敵でした。)

 

今回のフリーは、映画「ラ・ラ・ランド」のメドレーで

前よりいっそうのびやかなスケーティングを披露してくれました。

「ラ・ラ・ランド」は女優の卵とジャズピアニストの青年が主人公のミュージカル。

互いを思いながらもすれ違う男女の切ない恋模様を、歌とダンスが彩ります。

そんな映画のいくつものシーンが自然に浮かぶような、素敵な演技でした。

 

「ラ・ラ・ランド」、本田選手も踊っていましたが、そちらは、

映画の中の明るくエネルギッシュな曲を中心にアレンジされていて、

彼女の明るく華やかな魅力にぴったりでした。

映画に出てくるヒロインのイメージですよね。

ブルーの衣装も映画のヒロインと同じで、とってもキュートでした。


かたや、エン・カンのバージョンは、哀愁を帯びた曲を中心に構成され、

人生や恋の切なさを男性の視点でとらえていて、大人の雰囲気で

苦難を乗り越えて戻ってきた彼にぴったりでした。

彼の衣装も毎回、洗練されています。

今回はポケットをあつらえていて、最初ポケットに両手をつっこみながら

すべる演出も、心憎いばかりでした。

(ただ、ヒゲはないほうがいいなぁ。でも、最近の若者の好みかな。)

 

復活の舞。彼の代名詞だったダイナミックなトリプルアクセルも

パワーアップして帰ってきて、辛いこともたくさんあったでしょうけれど

引退せず戻ってきて本当によかったねと、拍手を送りました。

彼独特のスピンも健在でした。

(走るような格好をしてまわるやつです。我が家では「風見鶏」と

呼んでいます。)

 

さて。今週末はロシア杯。

中国杯でうっとりするような演技を見せてくれた宮原智子さんと

(銀メダルだったけど、わたしの中では彼女が一番でした!)

コーチ不在の影響か、本来の演技ができなかった宇野昌磨くんも登場。

(同じ名古屋人として、応援しています! フレー、フレー、昌磨!)

今回は、あのランビエールさんがついていてくれるそう。頼もしいです。

(ランビエール先生、どうぞよろしくお願いします。)

 

どの国のどの選手も転んだりせず、練習してきた成果と実力を出せますように!

思わぬ事故2019年03月28日 11:27

日曜日、思わぬ事故で脊椎の圧迫骨折をしてしまいました。
衝撃を受けた際、バキッと音がしたので、ああ、やった、と…。
幸い、『ユリディケ』連載の昨日27日分は、ネットにアップする準備ができていたので
(いつもはぎりぎりなのに)無事公開できてよかったです。

救急病棟のベッドでCTの順番を待っているとき、わたしは、動けないだけで、意識は
はっきりしているので、病人や怪我人が次々と運び込まれてくる様子がよくわかりました。
スタッフの方々の親身でプロフェッショナルな対応はすごかったです。
わたしがお世話になった救急隊員や看護師さんたちも、優しく、かつ、てきぱきされていて
本当に頭が下がりました。ありがとうございました。

コルセットも昨日できあがり、それをはめたらずいぶん楽になりました。
三か月はずっとはめていて、おとなしくしていなければならないのですが、とりあえず
動けるようになって、ほっとしています。

ところで、イチロー選手が引退しましたね。本当に唯一無二の存在だと思いますが
彼のなにが特別だって、どんなときにも、黙々と努力を重ねることだと感じます。
記者会見で、記録はいずれ誰かが抜いていくと思うけれど、去年の5月からシーズンの
最後の日まで、あの日々はひょっとしたら誰にもできないことかもしれないと、
ささやかな誇りを生んだ日々だった、と語っていたことからも、そのことを強く感じました。
第二の人生に幸あれと祈らずにはいられません。

そして、世界フィギュア選手権も終わりました。(骨折騒動で、エキシビションを
見逃しましたが、妹が録画してくれました。楽しみです。ほんとは民放でアイスダンスや
ペアもオンエアしてほしいなぁ…)
ものすごくハイレベルな試合で、連日熱戦でしたね。

スポーツである限り、採点方法が決まっていて、美しくすべった選手が必ずしも一位では
ありません。でも、かつて、荒川静香さんがトリノ五輪で、点数より美しさにこだわって
イナバウアーで人々を魅了したように(結果的に金メダルで、それも素晴らしかったですが)
ひとりの観客としては、美しい舞が好きです。

宮原知子ちゃんのフリーは、本当に力強く美しかった。わたしの中では金メダル!
羽生くんとチェン選手のすさまじい対決も鳥肌ものでしたね。ただ、やっぱり美しさで
いえば、断然羽生くんだと思います。
今シーズンは、ジョニー・ウィアー(人柄も含めて大好き!)とプルシェンコに捧げる
特別なプログラム、というところも、心を揺さぶられました。
怪我からの復帰もすごかった。まだ完治していないようなので、大事にしてほしいです。

ほかの選手もみんな応援したいです。ひたむきに取り組んでいる姿を見ているだけで
胸がいっぱいになります。いつも、見習いたいと思っています。

天使の舞2019年02月11日 17:30

前にも書きましたが、わたしはフィギュアスケートの大ファン。シーズン中はいつもそわそわします。
四大陸選手権は、日本の男女エースが負傷していてドキドキしました。

ところが、ふたをあけてみれば、どちらも優勝! なんという精神力、集中力でしょう。

宇野昌磨くんは地元名古屋の出身で、ジュニア時代から知っているし、魂のこもった演技には感無量でした。その世界最高得点の直後に演じたキーガンくんのチャップリンも、ピョンチャンオリンピックを彷彿させる会心の演技。

田中刑事くんの久々のダイナミックかつ繊細な演技にも心揺さぶられました。やったね! こうでなくちゃ!


友野くんのリバーダンスや花織ちゃんのピアノレッスンも大好きな演目です。ふたりの涙にもらい泣きしそうでしたが、今回の経験を糧に、きっとさらに成長していくことでしょう。


そして、紀平梨花ちゃんのビューティフル・ストーム。地球の誕生を描いた物語、本当にダイナミックで美しい嵐。インタビューのまだあどけなさの残る表情とのギャップが楽しいです。怪我が早く治りますように!


それから、三原舞依ちゃんのフリー。ガブリエルのオーボエの美しい曲に乗せた天使のような舞には、本当に心を打たれました。

なんて愛に満ちたやわらかな表情で、なんて純粋に、なんて清らかに舞うのでしょう。観る人を幸せにする、みんなを笑顔にする、どんな頑なな心をもとかす、そんなスケーター。(いま書いていて、ふとリーヴのことを思いました。リーヴも、純粋に心から祈ることのできる人。彼女のスケートは、そんなリーヴの心に通じる気がします。)


彼女は若年性特発性関節炎という難病を抱えていて、まったく滑れない時期もあったのですよね。痛みと悲しみで眠れない夜は数え切れないほどあったに違いありません。それを乗り越えリンクに復帰した、その努力とあきらめない心。

祈りのような美しい舞の裏に、その強さがあるからこそ、これほど見る者の胸を打つのでしょう。

ショート8位からの見事な表彰台。本当によかったです。

一昨日は、金沢に住む大切な友だちの誕生日でもあり、いっそううれしくなりました。


その友だちも、飛びきりのファイターです。

10年前、脳幹出血で倒れ、あと3時間の命といわれたのに、いまでは本人の強い希望で、自宅でひとり暮らしをしながら、妹さんや友だち、訪問看護師さんたちに支えられ、デイサービスやショートステイに通っています。


まだ話すことや口から食べること、起き上がること、身体全体を動かすことはできませんが、毎日厳しいリハビリを続けながら、少し動かせる指先を使って、レッツチャットというコミュニケーション補助エイドで、意思の伝達をしています。

倒れる前は養護学校の先生をしていて、生徒たちからついたニックネームが「宮ぷー」(くまのプーさんからきています♡)。

お誕生日のお祝いをメールで送ったら、ひらがなで丁寧に綴ったうれしい返事が届きました。指を頑張って動かし、一文字一文字を打つのが、どれほど大変かと思うと、胸がいっぱいになります。

宮ぷー、あらためて、お誕生日おめでとう! 宮ぷーの夢がひとつひとつ叶いますように!


さて。フィギュアスケートの世界選手権は、今年は日本開催。楽しみです。

フィギュアスケートの誘惑2018年11月10日 23:34


長編の執筆中、もともと不器用な私の頭の中は、物語のことでいっぱいになります。

特にサラファーンの星のような、別世界の物語を書いていると、自分もどっぷりその世界に入ってしまい、パソコンの前を離れて食事や外出をしても、常に心の半分はその世界に住んでいる状態になります。


鳥たちが澄んだ歌声を響かせる銀の森を歩いていたり、悠久の都で夜明けの石畳の道を馬で駆けていたり、紫煙の立ちこめる国境の酒場にいたり……。誰かに話しかけられて、はっと、「いま、ここ」という現実にかえることがよくあります。

(家族にとっては、たまったものではありませんね!)


数年前、私生活に区切りがついて、本格的に執筆活動を再開してからは、基本的には年中無休で、姪と甥と過ごす時間の他は、三度の飯より好きだったはずの映画にも行かず、ほとんどすべてを書くことに捧げてきました。(気がついたときには、観たかった映画の公開も終わっている始末。もうすっかり、映画にうとくなってしまって。)


けれども、ひとつだけ、あらがいがたい誘惑がありました。それが、フィギュアスケート。

毎年、秋のシーズンに入ると、そわそわします。とりわけ2014年のソチオリンピックと、今年のピョンチャンオリンピックの際は大変でした。ソチの時には、サラファーンの第1部を書き終え、第2部『石と星の夜』の執筆が佳境に入っていたし、ピョンチャンの時は、シリーズ最終の第4部が大詰めを迎えていて、どちらも葛藤しながら書くはめに…。

(告白その1:ライブで何度か見てしまいました。)


そしてこの週末は、『ユリディケ』の改稿とNHK杯のはざまで大揺れ(^^;)

(告白その2:やはりライブで何度も見てしまっています。)


フィギュアスケートは、音楽とダンスが融合し、短い時間に素敵な物語を感じられる、本当に魅力的な競技。新しいシーズンが始まるたびに、誰がどんな曲でどんな演技をするのかな、とわくわくします。

物語を書いている最中、好きなクラシック曲が心に流れていることがあるのですが、そうした曲が、フィギュアの演技に使われたりすると、なんだか嬉しくなってしまいます♪