初雪!2020年02月10日 20:57


2020年初雪

実家の岐阜でようやく初雪! 観測史上最も遅い初雪だそうです。
子どものころは、冬になると何度も雪が降ったし、大雪もめずらしくありませんでした。

↓こちらは、数年前の雪景色。年に一度はこれくらい降っていました。

雪の庭

ここ数年、少なくなりましたが、それでも、12月には降っていました。
この冬は降らないかもしれないと心配していましたが、ようやく初雪です。
伊吹山も、白くなりました。

うれしくなって外に出て、セーターに舞い落ちる雪の結晶をいくつも見ました。
雪の結晶は、本当にきれいです。どれも六角形だけど、どれひとつとして同じ形は
ありません。自然が生み出す模様の美しさに、ただ見とれてしまいます。

サラファーンの星では、雪は大切なエレメントのひとつ。
『石と星の夜』のプロローグでは、フィーンのヨルセイスが、初めて人の世界に
降り立った少年の日を回想します。

彼は9歳。幼子(おさなご)を腕に抱えて船から降り立ったとき、
空気は澄んで凛として、白い羽毛のようなものが、
空からはらはらと舞い降りていました。
初めて見る雪でした。フィーンの旧世界は暖かく、雪は降らなかったのです。

その雪のひとひらが、幼子のほおに落ち、雫となって真珠のようにすべり落ちます。
幼子は、やがて王妃になるのですが、そんな運命など少しも知らずに、
ヨルセイスの腕ですやすやと眠っているのでした。
戦争で故郷を失い、長い航海をへてたどりついた人の世界。
ヨルセイスは、湖や丘に降る雪を見つめ、美しいところだと思います……。

今日の雪は、ヨルセイスがそのとき見たような、羽毛のような大きな雪。
空を見上げると、あとからあとから降ってきて、白い世界に吸い込まれそうでした。

雪の朝2018年12月29日 15:11



今朝目を覚ますと、一面の銀世界でした。

雪の降る日に生まれたからか、雪はとても好きです。(寒いのは苦手なんですけど。)
しんしんと降る雪を見ていると、時がたつのを忘れてしまいます。
夜の雪も好きです。暗い空から雪がはらはらと舞い落ちる雪を見ていると、自分という存在が消えて、世界とひとつになるような気がしてきます。
信州生まれの友人も、夜の雪を見つめているのが好きだといっていましたっけ……。

幼いころに住んでいた家は、東西と北側を田んぼに囲まれた一軒家で、縁側のある南側には空き地が広がっていました。
吹雪の日には、その広い土地が横殴りに降る雪で真っ白になり、恐ろしさと美しさと両方で、時を忘れて見入ってしまうのでした。

サラファーンの星には、全編、雪のシーンが登場しますが、冒頭、地吹雪が舞う大平原を、リーヴ一家が馬車でリーヴェインへ向かうシーンは、そんな思い出が重なっています。

雪の降る夜も好きですが、雪のやんだあと、庭一面の雪に月光が降りそそぎ、神秘的な紫色に染まるのもとても好きです。
第一部『星の羅針盤』では、リーヴとウィルナーが戦場の父に思いを馳せるシーンに、月光に輝く雪の庭を登場させました。

物語の中で、雪は、人の命を奪ってしまう悲しい宿命も帯びていますが、それ以上に、心をやさしく包むシーンや、少し切ないシーンにひんぱんに登場します。
サラファーンの星の中では、星やローレアの花などと並んで、大切な要素です。

たとえば、かつてフォーディルの村から姿を消した幼子トゥーリーに関して、雪がやさしい役割を果たす場面がいくつかあります。

彼が必ず自分のもとに戻ってくると信じている母、ヨハンデリ夫人が、降りしきる雪を見あげて、それがどこかにいる息子からの言伝のように感じるところや、彼女と同じようにトゥーリーが生きていると信じるリーヴが、降りしきる雪の中で、彼が母親のもとに戻るよう一心に祈りを捧げる場面などです。

そんなふうに、誰かが、小さなトゥーリーを思うシーンは、わたし自身、祈るような思いで描いていました。
やはり、ヨハンデリ夫人には、いつかトゥーリーを抱きしめてほしいと心から願いながら。

(写真は、今日と同じような雪の朝、亡き愛犬サリーと実家の庭で遊んだときのものです。雪の日には、よくこのときのことを思い出します。)