壁を築くより橋を架けよう〜ローマ教皇の思い2025年04月23日 10:20

フランシスコ教皇が亡くなりました。
最近体調を崩されているとの報道に、いつかはと覚悟していましたが、
世界をよりいよい場所にしようと奔走した方が、またひとり天に召されてとても悲しいです。

分断を深める社会にあって、常に和解と平和を求め、自らの行動と言葉で
それを示した人でした。
「壁を築くことだけを考え、橋を架けようとしない人は、キリスト者ではない」と訴え、
広島と長崎を訪れたときは、核兵器廃絶のメッセージを世界に届けました。
茶目っ気のある人柄や、チャーミングな笑顔、貧しい人、弱い立場の人に寄り添う姿勢や
びっくりするほど慎ましやかな性格に、親しみを覚えた人は多かったと思います。

『旅するローマ教皇』という、フランシスコ教皇のドキュメンタリー映画があります。
抗がん剤治療が終わって、家で休んでいるとき、ソファに横になりながら
WOWOWで録画しておいたその作品を観ました。

映画は、遭難した船からの信号を沿岸警備隊かどこかが傍受するシーンから始まります。
それは、リビアからイタリア最南端のランペドゥーサ島へ難民を運ぶ船でした。
多くの犠牲者が出て、後に教皇がランペドゥーサ島を訪れ、鎮魂の祈りを捧げるシーンで
初めて教皇が画面に登場します。
世の中の無関心、不寛容に胸を痛める教皇の姿が印象的な冒頭です。
50カ国以上を周り、刑務所の受刑者とも触れ合い、イスラム教や正教会の指導者とも
対話の努力をし、カトリック教会全体を揺るがした性的虐待について謝罪し、
パンデミックのさなか、静まり返った世界では、ひとりで祈りを捧げる……。

心が洗われるとともに、深く考えさせられる作品でした。
フランシスコ教皇について知りたいと思う方だけでなく、混迷の社会に絶望している人、
光を見出したいすべての人にみてほしいと思う映画です。

教皇は、お医者様に止められても、公務を果たそうとしたと伝えられています。
亡くなる前日も、キリストの復活祭で、バチカンのバルコニーに姿を見せていました。
最後の最後まで、世界をよりよい場所にしようと願っていたことが伝わってきます。
その志は、あとに残るわたしたちへの贈り物だと思います。

親愛なるパパ様、貴方の魂が安らかでありますように。
これからは、空から地上を見守っていてくださいね。

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