キャラクターの名前のつけ方2019年09月24日 14:43

サラファーンの星の登場人物に、名前をつけるにあたっては、
おもに5つのパターンがありました。

1:自然と浮かんでくるものにする。
2:好きな名前をつける。
3:考えてつける。
4:別の作品の使い回し。
5:犬の名前からつける。

1:最も多いのが、この自然に浮かんでくるもので、
ルシタナやウィルナー、ランドリア、ロンドロンド、ヨルセイスなどです。
(エルディラーヌなど国の名前や地名も、ほぼこれです。)

2:次に多いのが、好きな名前です。
マリアやステラン、レイン、ピップなど。
サラ(沙羅)は昔から響きが好きで、今回は地名にも人名にも使いました。
ユリディケは、オルフェウスとエウリュディケの神話から。

3:たまに、考えてつけます。
たとえば、前に紹介した、『石と星の夜』に登場する白猫。
水夫のパコが可愛がっているので、水夫をもじって、スーフィ。

また、同じ『石と星の夜』に出てくる王子は、簡単な名前にしようと思いました。
ただでさえキャラが多く、覚えられない!と言われていたので、
出番の少ないこの王子は、極力簡単にしたかったのです。
なんという名前にしようかな〜。
なんという名前・・・そうだ! 「なんと」にしよう。
というわけで、「ナント王子」。ほんと、適当ですねえ。

もう少し真剣に?考える場合もあります。
たとえば、盗賊のピップは、ディケンズの小説『大いなる遺産』の主人公と
同じ名前です。『大いなる遺産』のヒロインはエステラ。
なので、ピップが追う伝説の宝石の名を〈エステラの瞳〉にしました。

4:『ユリディケ』に登場する名前を使い回した例もあります。
戦士デュー・レインの苗字は、四部作ではリーヴ一家の苗字、というように。

もうひとつが、ロデス伯父さんとイルナ伯母さんの名で、
『星水晶の夜』に登場する諜報員として使い回しました。
(これ、どこかに書いたかな。生まれかわり、というわけではなく、
名前を拝借した形です。諜報員の運命に思いを馳せると、どうしても
そうしたくなってしまって。)

5:犬の名前に関しては、二巻のあとがきに書いたとおりです。
昔、祖父母の家にいた犬ダンとジョーの名を、黒のジョーとダン伯父さんに。
『インディアナ・ジョーンズ』は、飼い犬インディから名づけられたのですよね。
なので、犬から人もありかな、と。

そのほか、ハーシュは、卒業旅行で訪れたニュージーランドで、
農場に滞在したとき、愛馬マーキュリーに乗せてくれた優しい少年
ハーミッシュからとりました。
ありがとう、ハーミッシュ(*^_^*)
きっと今頃、立派な大人に成長しているだろうなぁ。
ラグビーのワールドカップ、観てるかな。

双子のこと2019年09月17日 14:31

子どものとき、同じ学年に、3組の双子がいました。
女の子がふた組、男の子がひと組。
小学校と中学校の九年間、一緒だったので、どの双子とも、
少なくとも、片方とは同じクラスになりました。

みんな一卵性だったので、そっくりでしたが、
いつも一緒に遊んでいるわたしたち生徒は、
どちらがどちらかちゃんと区別がつきます。
声も、顔も、微妙に、でも、明らかに違うのです。
ところが、先生たちときたら、てんで見分けがつきません。
どうしてわからないんだかなぁって、みんなで不思議に思ったものです。

双子たちは、おもしろがってクラスを入れ替わったりしました。
(ふたりのロッテみたいですよね。)
でも、ただの一度もばれたことはありませんでした。

どの双子もきょうだい仲がよくて、話したり歌ったりすると
ハーモニーがきれいでした。
姿形はそっくりなのに、性格はそれぞれとても個性があって、
それが不思議で面白く、双子は、わたしにとって、
永遠に神秘的で、魅力的な存在となりました。

大学の卒論では、双子の女の子が主人公のファンタジーを書きました。
サラファーンの星にも、林檎園の双子(いたずらざかりの男の子)と、
葡萄亭という食堂兼宿屋の双子(子どものころは、やはり村一番の
いたずらっこだった十代後半の少年)を登場させました。
脇役で、葡萄亭の少年たちに至っては、話の中で語られるだけですが、
なぜかやっぱり双子の存在は、外せないのです。
どのキャラクターも、同級生とは、容姿も性格もまったく違うけれど
ありありと目に浮かんできて、つい書いてしまうのです。

高校に進学すると、同じ学年どころか、学校全体でも双子はいなくて、
以来、長いあいだ、まったく出会いませんでした。
そして数年前、双子の姉妹のお姉さんとお友だちになりました。
ひさしぶりの双子です。
二卵性なので、見かけは少し違いますが、とっても素敵な姉妹。
やっぱり双子と縁があったのかなと、なんだか嬉しく思っています。

銀色狼〜輝くたてがみを持つ森の守護者2019年07月15日 17:41


銀色狼スケッチ by fumiko

薄い透けるような葉のあいだから、星明かりがこぼれる神秘的な森。
そんな夜の中を、銀色の狼が、ひとりの娘とともに歩いている姿が浮かんだのは
ずいぶん前のことです。
もともとは、まったく別の短編だったのですが、いつのまにか、わたしの中で、
ルシタナが、大きな狼をともなって、銀の森を歩いている姿と重なっていました。
そして、その姿も、はっきり見えるようになりました。

銀色狼……。そんな言葉が浮かびました。
けれども、どんないわれの狼かは、最初はよくわかりませんでした。
フィーンの旧世界が滅びるとき、フィーンと一緒にこの世界に渡ってきたのだと
ぼんやり感じましたが、なんといっても、強烈に伝わってきたのは、その姿。
フィーンと同じように、淡い光りを帯びたように輝いて、長い鬣が、月光のように
きらめきながら、風になびいています。

それから、一頭の銀色狼が、満月がのぼる雪の大地を、一心に駆ける姿が浮かびました。
また、眼下に森を見晴らす崖の上で、遠吠えをしている姿と、その声が聞こえました。
金色の瞳をのぞくと、そこには、銀河が渦を巻いて息づいていました。
サラファーンの星の、大切なエレメントだと感じました。

物語の中で、銀色狼は、フィーンの旧世界と、この世界の架け橋のような存在です。
前世で、フィーンに縁のある登場人物には、その遠吠えが聞こえたり、夢で姿を見たり
また、実際に、銀の森を訪れたときには、直接出逢ったりします。

公式サイトに「自然と暮らし」コーナーを作るにあたって、「生き物」のアイコンは
絶対に銀色狼にしようと決めていました。
デザイナーの畠山さんが、わたしのこのおおざっぱなスケッチを、いつものように
素敵なCGにしてくれました。
CGは額の白い星のないバージョンです。星があるのは、銀の森の一頭だけなのです。

犬好きで、犬の祖先だからか、狼にはとても心惹かれます。
旭山動物園を訪れたときも、森林狼に会えるのが一番楽しみでした。
リーヴが、銀色狼のふさふさしたたてがみのある大きな首を抱きしめるシーンは
描きながら、そのぬくもりや感触が伝わってくるようでした。

(『ユリディケ』を書いたときには、銀色狼の存在は知らなかったのですが、改稿の連載に
あたっては、絶対に外せないでしょう!と思って、冒頭から入れています。)

スピリ〜サンザシ館の愛すべき料理人2019年06月24日 19:57


スピリ 愛すべき料理人 by fumiko

スピリは、サンザシ館の家政婦で、ディール家の人々を長年支えてきた女性。

日頃から、一家のために美味しい料理をこしらえますが、

少年たちが休暇で帰ってくると、はりきって、いっそう腕をふるいます。

働き者ですが、頑固なことといったら、村の医師ランス老先生と張り合えるくらい。

 

最初、人物相関図のキャラの中で、イラストを描くリストには入っていませんでした。

脇役だし、年齢不詳でひっつめ髪の年配の女性は素人が描くにはハードルが高すぎて。

 

それでも、最終的に彼女を描くことにしたのは、二つの理由からでした。

一つは、誰のイラストを入れるか話しあった時の、Webディレクター荒川さんのひと言。

「私的にはスピリのイラストはほしいですね」 …なぬ!?

もう一つは、熱心に何度も読んでくれた優しい友だちのひと言。

「一番好きなキャラはスピリ!」  …え??

 

……というわけで、どうにかこうにか描いたのがこのイラスト。

右肩の位置がちょっと高すぎたので、公式サイトのイラストでは、

デザイナーの畠山さんに、肩の位置を修正してもらっています。

 

わたしにとって、スピリは、登場人物の中でもっとも謎めいた人物です。

キャラクターたちはたいてい、自分の方からから、生い立ちや人柄をどんどん

明かしてくれますが、スピリだけは、いまもって何も教えてくれません。

東部の出身かな、とは思うのですが、いつどこで生まれ、いま何歳なのか、

どういう生い立ちで、どういう経歴なのか、恋をしたことがあるのかないのか

(たぶん、あると思うんだけど…)ほとんど何も。


だから、わたしも無理に聞き出したりせず、そのままにしています。

そして、なんだかそれが、スピリのスピリたるところかな、という気がしています。

白猫のスーフィ〜メリサ号の21番目の乗組員2019年06月06日 17:35


猫のスーフィ21番目の乗組員 by fumiko

キャラクターの名前や地名は、音が聞こえる感じで浮かぶことが多いです。

ルシタナとか、ジョサとか、ロンドロンドとか。

でも、黒のジョーやダン伯父さんの名前を、祖父母の犬の名前からとったように

れっきとした?由来のある場合や、まれに、別の方法で決める場合もあります。

 

『石と星の夜』に登場する猫のスーフィは、そのまれな例のひとつ。

この真っ白な猫は、茶葉運搬船メリサ号の21番目の乗組員。

船のネズミ退治という重要な任務を担っていて、

見習い水夫で20番目の乗組員、孤独な少年パコの良き友だちでもあります。


どんな名前がいいかなぁ。いつものように、音は聞こえてきません。

じゃあ、考えないとなぁ。白猫もパコと同じ水夫だよね、とぼんやりと思いました。

水夫、すいふ、スーフ、スーフィ・・・。はい、決まり。

 

スーフィは、人なつこかった先代と違い、パコにしかなつきません。

船長以下全員、一度は猫パンチを食らっています。

 

メリサ号の船長は海軍出身で、『石と星の夜』では、極秘で王室諜報員のローラン、

ミコルト、ステランの三人を乗せます。

このときローランは、仲間に打ち明けられない秘密を抱えていました。

彼がひとりで甲板にいるとき、スーフィが近寄ってきます。抱き上げるローラン。

ふわふわのスーフィは、孤独なローランの心を、ほんのひととき、あたためます。

スーフィを探しに来たパコは、スーフィが自分以外の人間に抱かれているのを見て驚き、

優しい人なんだな、と感じます。

 

スーフィとパコ少年は、『星水晶の歌』の初稿にも登場していました。

負傷して海岸に流れ着いたある人物を発見するというお手柄を立てるのです。

残念ながら、最終稿でそのシーンはカットになりましたが

(ただでさえ、上下巻で長いのですよね…)

黒猫のアイラとともに、わたしにとって、とても大切なキャラクター。

モノクロのスケッチを描いてみました。

色はつけなかったけど、瞳はきれいなブルーです

キャラクター相関図〜手描きラフ原稿2019年06月03日 16:41


キャラクター相関図no

相関図のラフ原稿です。最初に描いて、Webディレクターの荒川さんに渡したものです。
これを、デザイナーの畠山さんが、とてもわかりやすくきれいなチャートに仕上げたのが
公式サイトの相関図。これより少し人数を減らしています。

最初は、ご覧の通り、イラストを入れるのは中央の三人の予定でした。
ルシタナとリーヴは、ラフでは、本のジャケットのコピーです。
黒のジョーだけ、こんな感じ、というスケッチを描いてみました。

しかし! Webディレクターの荒川さんが、何人かに意見を聞いたところ、
口をそろえて、
「え? 三人だけ? それはないんじゃない?」
という意見だったそうです。そんなわけで、もう少しイラストを増やすはめに。

さて。残り数名。
頭の中のイメージを、超能力で念写できたらいいなぁ・・・なんて、夢みたいなこと
いってないで、少しずつ描かないといけませんね。

『石と星の夜』文庫版の表紙とキャラクター2019年05月23日 17:14


『石と星の夜』イラスト鈴木康士 デザイン吉永和哉+WONDER WORKZ。 

文庫版のジャケットは鈴木康士先生。このイラストを見たときもびっくりしました。

ルシタナのイメージが、わたしが思い描いていた以上にルシタナに近かったからです。


ルシタナは父に武術を習い、母の勇気と芯の強さを受け継ぎ、愛情を一心に受けて

銀の森でのびのび育ちましたが、心の奥には、

人とフィーンのあいだに生まれた、たったひとりの存在としての孤独を秘めています。

ジャケットのルシタナのまなざしには、そんな強さと悲しみとともに

どこまでも信念を貫く意志を感じました。

 

ところで、こちらは前回載せた『星の羅針盤』の続きです。

あの単行本の『星の羅針盤』は、長いブランクを経て本を出す新人同然の著者の本でした。

昨今の出版事情はとても厳しく、出版社も当然慎重になります。

当時は続きも完成しておらず、『星の羅針盤』一冊での契約で、

シリーズタイトル〈サラファーンの星〉は入れたものの、

シリーズとはっきり銘打つわけにはいかなかったようです。

 

一冊読みきりと思って買ってしまい、そんなー!と思われた方も多かったと聞きました。

本当にごめんなさい。(シリーズでなければ契約しないと言えればよかったですが、

おそらく、そんなことを言ったら、この話はなかったことに、となっていたかな…。)

 

単行本は売れず、続きの出版は立ち消えの危機に。

そんなとき、一緒に完成を目指してきた担当編集者小林さんの尽力で、

文庫本でシリーズ化されることになったのです。

いざとなったら自費出版と覚悟していたのですが、ほっとしました。

単行本と文庫本ではイラストレーターが変わるとのことで、お任せしました。

 

キャラクター相関図でイラストを描くにあたり、リーヴとルシタナは、思いきり、

牧野先生と鈴木先生のイラストを参考にさせていただきました!

もちろん力が及ぶはずもなく、わたしの頭の中のイメージに近づけるのに苦労しました。

そしてやっぱり、おふたりの絵の方が断然本人に近いなあと、今も思っています。

(最初、Webサイト用に相関図を描いたときは、リーヴとルシタナは、

ジャケットをコピーして切り抜いて、貼り付けました。その図、おいおい載せますね。)

『星の羅針盤』単行本の表紙とキャラクター2019年05月20日 23:10


『星の羅針盤』単行本 イラスト牧野鈴子 デザイン吉永和哉+wonder workz。

『星の羅針盤』の見本を見たときには本当に驚きました。
牧野鈴子先生のリーヴが、わたしが思い浮かべていたリーヴとあまりにも似ていたからです。

キャラクターによって、はっきりと思い浮かべて描く人物と、なんとなくイメージだけが
浮かんでいる人物とがありますが、リーヴは前者でした。
寂しげだけど、実は芯の強さを秘めた、澄んだまっすぐなまなざし。
瞳は榛色。栗色の髪はほつれ毛があって、深緑のドレスがよく似合う。
そばかすまで丁寧に描いてあったのもびっくりでした。
犬が大好きなわたしは、愛犬チェスターも描いてもらって、嬉しかったなぁ♬

去年、先生の個展で原画を拝見したのですが、吸いこまれそうに奥行きがあって
金色も繊細で本当にきれいでした。