物語の中の鳥たち2020年01月26日 16:26

好きな動物はいろいろですが、鳥たちもそのひとつ。
鳥のように大空が飛べたらいいなぁと憧れますし、
鳥の言葉がわかったら素敵だなと思います。

サラファーンの物語にも、たくさんの鳥たちを登場させました。
一番多く出てくるのは、フィーンの旧世界から渡ってきた瑠璃色の鳥でしょうか。
もう最後の一羽となってしまったフィーナヴィル。
思い描いた人(あるいはフィーン)のところへ、空間を超えて一瞬のうちに
飛翔します。
幼鳥のときに、翼に傷を追って浜辺にいたところを、
少年だったヨルセイスに助けられ、以来、深くヨルセイスを慕っています。
ヨルセイスの従妹エレタナ王女が、人間の王子ランドリアと駆け落ちした際、
なにかあったときの連絡手段にと、ヨルセイスからふたりに託されます。

もう20年以上前のこと、岐阜の実家の近くの川で、カワセミを見かけました。
瑠璃色に輝く翼が本当にきれいでした。
たった一度しか見たことがないのですが、フィーナヴィルが瑠璃色なのは、
カワセミへの憧れがあるんだろうなと自分で分析しています。

瑠璃色の小鳥とともに、多く登場するのが、春歌鳥です。
春を告げる小鳥で、イメージはウグイスに近いです。
ウグイスは、名古屋でも春になるとよく鳴いていますが、
名古屋で姿を見たことは、まだありません。
でも、実家の庭では、時々愛らしい姿を見せてくれました。
窓辺の金木犀の木が好きで、飛んできてはよい声で歌っていたのです。
顔もとっても可愛らしい。目が優しくて、色が渋めのところも
なんとも奥ゆかしくていいんです。

ものすごくよく来てくれて、始終歌ってくれた春がありました。
その歌が途絶えたある日、近所の携帯ショップの前を通りかかると、
ウインドウの真下で、ウグイスが死んでいました。
ガラスが透明で、見えなくて、ぶつかってしまったのだと思います。
いつも歌ってくれていた子のような気がしました。
野生の鳥だからそうしてよいかわからないけれど、可哀想でならなくて
そっと拾い上げました。
本当に小さくて羽のように軽くて、切なかったです。
ガラスにぶつからなかったら、もっと何年も生きたかもしれないのに。
そんな文明社会の一員でごめんね、そして、
この春たくさん歌ってくれてありがとうと祈りを込めて、
庭の片隅に埋めました。

そのほか、星ツグミや藍色雁、紅鴎、物語の中で重要な役割を演じる
三日月鳥などが登場します。
(サラファーンの星公式サイトのWORLDページ、自然と暮らしの項目で
紹介しています。)

実家の周りは、意外なほど野生の鳥が多く訪れて、先日も、ケリのつがいを
初めて見ました。雀はお隣の屋根に何年も住みついているし、
燕はあちこちの軒下に毎年巣を作っているし、合鴨も近くの川(カワセミの
いた川)で、子育てしています。
川にはシラサギやアオサギもやってきます。
また、庭にはウグイスのほか、ツグミやメジロ、ジョウビタキ、ヒヨドリ、
ムクドリも訪れます。
数年前は、二羽のカラスが協力して、トンビを追い払うのを見ました。
セキレイやキセキレイも庭に来るお客さん。
こちらの写真は、スズメとのフォーショット。
(小さくてごめんなさい。スズメは三羽います。)

セキレイとすずめ

セキレイは、けっこう人を恐れないというか、かなり近くまでやってきます。
先日、朝のゴミ出しに行った帰り、セキレイが向こうから路地を歩いてきました。
思わず「おはよう」と声をかけて、おどかさないようにそっと歩くと、
本当に、50センチぐらいしか離れていないところを、すれ違っていきました。

スター・ウォーズⅨ〜フォースの守りよ永遠に2020年01月18日 17:00

スター・ウォーズのエピソード9スカイウォーカーの夜明けを観てきました。
これで本当に最後かと思うと、寂しいなと思っていましたが、観終わったときは
本当に感慨深く、寂しさを感じつつも、すがすがしさを覚えました。
(内容に関しては、もうあちこちに書かれているでしょうし、ネタバレはいっさい
したくないので、ここではふれないでおきますね。)

映画館は、名古屋では初めてのドルビー・シアターで、すっごい迫力!
思い出したのは、日本で最初にエピソード4が公開された夏のこと。

1978年。大学の夏休み。アーチェリー部の練習も休みだったその日、
いまはなき伝説の映画館、スーパーシネラマ方式のテアトル東京の、
その壮大なスクリーンが堪能できる2階席に、わたしはいました。
それはもう、冒頭からエンディングまで、圧倒的な体験でした。
「スター・ウォーズ」のような作品はそれまでまったくなかったのです。

アメリカでは前年に公開されて、大ヒットしていました。
でも、そんなことになるとはわからないジョージ・ルーカスは、
どれだけお客さんが入るか心配で、ハワイに逃げていたんですよね。
今思えば、信じられないことです。

新しい作品が公開されるのが、本当に待ち遠しかったです。
特に、エピソード5のあと、エピソード6が公開されるまで。
ハン・ソロが冷凍された状態で、3年も待たされて!
けれども、スター・ウォーズと同じ時代に生きてきたことは幸せだったなと
しみじみ感じています。

エピソード6は、当時勤めていた広告会社が20世紀FOXの宣伝担当だったので
コマーシャルのフィルムがいち早く見られたし、また、日比谷での試写会に
呼んでもらえて、ものすごく嬉しかったのを思い出します。
映画会社のロゴに続いて、ジョン・ウィリアムズの名曲のイントロがジャ〜ン!
と鳴った途端に、場内ものすごい拍手と興奮状態に。
そして、エンドロールが出たときも、万雷の拍手でした。

その後、ご存知のようにエピソード1〜3が作られ、さらに、
エピソード7〜9と続いていくのですが、
この最後の7〜9。最初に作られたシリーズの主役たちが再登場したのが
本当に嬉しくて、知ったときには飛び上がりました。同時に、年齢的に
大丈夫か心配したけど、杞憂でしたね。(大変失礼いたしましたm(_ _)m)

どのシリーズから見始めたとしても、ファンならきっと、どのキャラが好きって
ありますよね。
わたしは、断然ハン・ソロです!
(船なら、ミレニアム・ファルコン。ドロイドならR2)

ここだけの話ですが、そんなわけで(?)「ユリディケ」を最初に書いたとき、
主要登場人物のひとりは、わたしの脳内では、ハリソンで再生されていました。
(当時の若きハリソンです。)
ちょっと口は悪いけど、本当はやさしくて剣の名手。特技は、身分を隠して
世の中をうろつくこと。読んだ方なら、すぐわかりますね(*^_^*)
でも、もちろん、読者の方には、それぞれ好きなイメージを浮かべてほしいので
あくまで、わたしの脳内のお話。

で、すごくハン・ソロが好きになったことで、
当然のように、ハリソン・フォードのファンにもなりました。
その後、「ママはシングル」に登場するママを、
ハリソンのファンにしちゃったほどです。

サラファーンの星シリーズでも、こっそり(ちゃっかり?)名前を拝借。
諜報員のひとり、ハル・ソーン。
ハン・ソロとハリソンを足して2で割り、ひとひねりして、ハル・ソーン。
大胆で豪胆な性格も、ちょっと似ています。
ハルに関しては、書くことがいろいろあるので、ゆっくり紹介したいです。

とまあ、そういうわけで、「スター・ウォーズ」は、思い出の作品です。
ジョン・ウィリアムズがオーケストラを引き連れて来日したときは、
もちろん、聴きに行きましたし(実は、これも努めていた会社が関わっていて
チケットを取ることができたのですが)、
「ジェダイの帰還」の完成後、オールナイトの上映、というイベントがあり、
友達と行ったこともありましたっけ。
亡くなられた映画評論家の水野晴郎さんがゲストでしたが、
会場に行くエレベーターで偶然一緒に乗り合わせました。
水野さん、シリーズの完成を、天国で祝っているに違いありませんね。

最後に。。。
 May the Force be with you. Always,

ルパン三世 THE FIRST〜愛しのレティシア2020年01月07日 16:50


ルパン三世 THE FIRST ムビチケ

ルパンの物語は、小学校の時、学級文庫でわくわくしながら読んだ記憶があります。
三世じゃなくて、初代ルパン。モーリス・ルブランの原作です。

学級文庫にあったのは、子ども向けに簡単にしたものでしたけど、
神出鬼没で、変装の名人。女性や子どもにやさしい紳士で、
貴族や大富豪の宝石や美術品だけを狙う素敵な盗賊ぶりに、ほれぼれしました。
ロビン・フッドもそうですが、義賊って、子どものあこがれですよね。
(そのあこがれが、のちのち、黒のジョーというキャラクターを生みだすことに
なったのですね、きっと!)

ルパン三世は、その怪盗ルパンの孫(という設定)。
ご存じ、モンキー・パンチさんの原作で、現在公開中の
「ルパン三世 THE FIRST」は、彼の悲願だったという3DCG作品です。

去年、公開まもなく劇場で観てきたのですが
とても雰囲気のある映像で、特に、パリの風景が素敵でした。
冒頭、第二次世界大戦下のフランスから始まって、十数年後のパリから
本格的に物語が始まるのですが、特に、夜のパリが美しかったです。
20世紀なかばのパリに、タイムスリップしたようでした。
3Dのルパンは、長い指がきれいで、顔の表情も豊かで、なかなかよかったです。
(モンキー・パンチさんに見せてあげたかった!)

おなじみの面々も元気に登場。台詞のやりとりもお洒落で可笑しく、
家族で楽しめる作品に仕上がっています。
(お正月映画にぴったりなのに、紹介が遅くなってごめんなさい。)
場所や建物の説明が出るとき、文字がカシャカシャって、暗号が解読される
みたいに動くのや、発射された弾丸が、道路標識を止めたナットをくるくる回して
標識を落としてしまうところなど、遊び心がいっぱい。

今回のお宝は、宝石ではなく未知のエネルギー。
盗むのは、そのエネルギーを生みだす装置のありかを記した考古学者の日記。
登場するヒロインは、考古学者をめざす少女レティシア。
作品全体として、ちょっと「カリオストロの城」を思わせます。
レティシアは、カリオストロのクラリスをお転婆にした感じかな。

このレティシアという名前。
たぶん、わたしと同世代か、少し上で映画好きな人は、きっと、聞き覚えが
あるでしょう。
青春映画の永遠のヒロイン。
1967年のフランス映画「冒険者たち」のヒロインの名前です。
(公開以降、生まれた女の子にレティシアと名づける人が続出したそうです!)

「冒険者たち」は、海に眠る財宝を求めて冒険に出た男女三人の物語。
レティシアは、マヌーとローランのふたりから愛される新進芸術家。
マヌー演じるアラン・ドロンは「愛しのレティシア」という歌を歌っています。
フランソワ・ド・ルーベの口笛の主題曲に歌詞をつけたもので
口笛やピアノの主題歌同様、すがすがしく、そして切ない素敵な曲。
公開当時、わたしは小学生。さすがにリアルタイムでは観ていませんが、
学生時代、リバイバルで観たとき、
「愛しのレティシア」はエンディングに流れていました。
(初回公開時や、本国では、劇中には使われなかったようです。)

モンキー・パンチさんは、このレティシアを意識したのかなぁ。
ググってみたら、ルパン三世のTV放映アニメPartⅢの第38話に、
「俺を愛したレティシア」というエピソードがあって、このレティシアは
なんと、イルカでした!

モンキーさんが「冒険者たち」をお好きだったかわかりませんが、
わたしは本当に大好きで、リバイバル公開に何度も通いました。
わたしが男だったら、絶対にレティシアに恋をするなぁって思います。

レティシアという名前も、あまりに好きで、とうとう自分の作品
(サラファーンの星シリーズ)にひっそりと使いました。
でも、恐れ多くて、レティシアのままでは使えず、「レティ」として、
ジョサの生みの母の名前に。

そして、レティシアを愛したローランの名前も、同じ作品に入れました。
こちらは、ローランのまま!
この響きもとても好きです。
エリス卿暗殺事件特捜班のチーフの名前に使いました。

物語の登場人物の名前は、ふと浮かんだ名前がほとんどですが、
以前にも少し書いたように、まれにこうして、とっても好きで「拝借」する
名前もあります。(中でも、このふたつは特別!)

ともあれ、そんなわけで、ヒロインの名前もとても気になった映画でした。
あ、そうそう。忘れてはいけません。
作品中の、帽子とステッキの使われ方も、とってもお洒落。
こうしたディテールへのこだわりもよかったです。

チェスター〜リーヴの愛犬のモデル2019年12月27日 11:55

サラファーンの星四部作の中で、唯一、実在のモデルがいるキャラクター。
それが、リーヴの愛犬チェスターです。

物語の初稿を書いたとき、そのベージュのむく犬は、フィツィという名前でした。
けれども、1997年、両親と一緒にスコットランドに行き、
父の友人デイヴィッドの素敵なお屋敷を訪ねたとき、まさにイメージとぴったりの、
ベージュでむくむくしたチェスターと出逢ったのです。

チェスターと

チェスターは、人なつこくてお利口で、けっしてでしゃばらず、
いつもそっと家族に寄り添う、本当に可愛いわんちゃん。
スコットランドの大自然が、とっても似合っていました。

「登場人物のモデルは?」という記事で書きましたが、
チェスターは虐待されていたところを保護された犬です。
父の友人のデイビッドさんは、心が広くて優しい紳士。奥さまのダフネも
明るくておおらかで笑顔の素敵なレディです。
日本から訪れたわたしたちを、それはそれは歓待してくれました。
そんな暖かな家庭にもらわれて、チェスターは世界一幸せな犬だと思ったものです。
(虐待されていた犬が幸せになるというエピソードは、白樺亭のウィスパーに
反映されています。)

子犬のチェスターphoto by DP

この写真は、まだ子犬のチェスター。来たばかりのころでしょうか。
チェスターとはたくさん遊んだのに、写真はほとんど撮らなくて、
先日ダフネに頼んで送ってもらったのです。ありがとう、ダフネ♡

若き日のチェスターphoto by DP

こちらは子犬から成長した若き日のチェスター。とてもハンサムでしょう?
いまは天国に行ってしまったそうですが、
きっと時々、あの広々とした館の敷地に降りてきては、
元気に駆け回っている気がします。 そうだよね、チェスター?

わたしはしゃべらない子どもだった〜場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)の子どもたち2019年12月20日 12:17

ドイツで買った陶器の天使


わたしの書く物語には、シャイで内気なキャラクターがしばしば登場します。

たぶんわたし自身がそうだからかな、と思います。


幼いころ、わたしは本当にしゃべらない子どもでした。

通っていた保育園では、誰とも話しませんでした。

どういうわけか、自分でもわからないけれど、声が出なかったんですね。

 

ただ、家に帰ったら家族とは普通に話したし、

一緒に保育園に通った隣のたかちゃんとは帰ってから毎日遊んで、そんな時は

ちゃんとおしゃべりしたのですが、一歩外に出るとまったく話さなかったのです。

 

小学校に行く前の年、幼稚園に上がりましたが、

そこでも、長いあいだ誰ともしゃべりませんでした。

ところが、何がきっかけだったか今では覚えていないのですが、

あるとき「しゃべった」んですね。

そうしたら、みんながまわりを囲んで、

「あーって言ってみ(言ってごらんの方言)」「いーって言ってみ」

と次々いいました。

そして、みんなが飽きるまで、そんなことが二日か三日続いたのを覚えています。

 

その話をかっこちゃん(図書館の運動の記事で紹介した作家の山元加津子さん)

にしたら、もしかして、場面緘黙(かんもく)症だったのかもと言われました。

かっこちゃんは、長年、石川県で養護学校の先生をしていたのですが、

同じような子どもにたくさん出会ったというのです。


え? なになに? そんな言葉は初めて聞いた、と思いました。

(姪と甥が自閉症スペクトラムだから、いろいろ勉強したし、

大学のゼミは児童発達心理学だったのに!)

でも、もしかしたら、知らない人の方が多いかもしれません。


場面緘黙症(選択性緘黙症ともいうようです)とは、

家族とは問題なく話せるのに、家族以外の者や、保育園や学校などでまったく話せない

状態が一か月以上続くことだそうです。

おとなしい子どもに多いので、内気さから話せないとか、わざと話さないと誤解される

場合もありますが、そうではなく、また、本人もなぜ話せないかわからないとのこと。

 

あ~~~まさに、わたしもそれだ! と、びっくり仰天。

長いあいだ、なんだかわからなかったことが氷解し、とってもすっきりしました。

変な子どもだったと思っていたけど、違ったんだ。

わたしだけじゃないんだ、と知って、心からほっとしたのです。

(ありがとう、かっこちゃん。)


内気な子どもに多く発症するので、単なるおとなしい性格というのと区別が難しいけど

症状が非常に強く、一か月以上(時には、わたしのように何年も)続くそうです。


小さいときに周りが気づけば、症状も早く治りやすいようですので、

場面緘黙症というものがあるんだよ、それはこういうものなんだよ、という

社会の理解が進んでいくように願っています。


(写真の天使は、昔ドイツを訪れたとき、空港でみつけた小さな陶器の天使。

いつも、内気で無器用なわたしを見守っていてくれます。)

マリア〜諜報員ステランの愛妻2019年12月02日 17:28


マリア(ステランの妻)by fumiko

王室情報部〈イリュリア〉の諜報員ステランには、愛妻マリアがいます。

黒髪に黒い瞳。サラファーンの星の登場人物の中でも、もっともやさしい
キャラクターのひとり。
国王に忠誠を誓った者として、危険をともなう任務に就いて、
つねに死と隣り合わせのステランを、献身的に支えています。

ふたりはお互いに一目ぼれ。
波打つ黒髪と夢見るような瞳で、ステランの心を一瞬にしてとらえたマリアは
おっとりした見かけによらず、芯は強く、意外に頑固な一面も。
そしてなにより、食いしん坊。
ステランの同僚パーセローの妹ニッキもやせの大食いで、とっても気が合います。

マリアは生まれつき左足に障害があり、ステランと出逢ったときには
すでに両親もなく、家柄も、ステランのように貴族ではありませんでした。
そのため、ステランの父親から結婚を反対されます。
ステランは爵位よりも彼女を選び、父親に勘当されましたが、彼にとっては
生涯でただひとりの女性。後悔などまったくありません。

とはいえ、ステランは王室の諜報員。
任務は妻にもいえません。それはそれで孤独ですが、そういう諜報員の妻も
同じくらい孤独だと思います。
そんなステランを誰よりも理解し(任務の内容は知らないとしても、
ステランという人間の根本の部分を、頭ではなくハートで理解して)
心から愛して、戻らないかもしれない夫を、いつも笑顔で送り出します。

マリアの強さとやさしさは、親を早くに失い、また、障害があることで、
普通の人よりはずっと苦労が多かったことから来ているでしょうし、
また、生まれついての楽天家、という面もあるでしょう。
「人の心は海より広いのよ」というマリアの台詞があるのですが、
彼女こそ、本当に広い心の持ち主だと思います。
(わたしが男だったら、こんな女性と結婚したい!)

左足が悪くて歩くときに引きずる、という設定は、最初はありませんでした。
でも、わたし自身の人生において、妹の子どもたちに障害があるとわかったあと
さまざまな経験をし、さまざまなことを考え、マリアの設定を変えました。
どんな困難にも負けない女性を、登場人物の中に入れたかったのです。
(もうひとり、シャンベルという少年も、障害を抱えるキャラクターとして
登場しますが、同じ理由です。)

そんな彼女を描く際、参考にしたのは、ボッティチェリのヴィーナスです。
ウフィツィ美術館で見た、ヴィーナスの誕生の、ヴィーナスです。
そのとき買った絵はがきを見ながら描きました。
まあ、全然違うのですが、雰囲気が出ればなぁと。その絵葉書が、こちら。

ヴィーナスの誕生(部分)ボッティチェリ

髪と目の色や、視線は違いますが、なんとなく、参考にした、という感じはわかって
いただけるでしょうか。
(ボッティチェリのこの絵、ものすごく好きなのです。ウフィツィで、長い長いあいだ
ぼーっとこの前にたたずんでいた時間は、まさに至福のひとときでした♡)

冒頭に載せたわたしのイラストは、いつものように水彩色鉛筆で描きました。
下の方に線があるのは、折りたたんでしまってから、スキャンしたから(間抜け…)。
そしていつものように、このスケッチを、チャーミングなデザイナー畠山さんが
CGにしたものを、公式サイトのキャラクターページにアップしています。

キャラクターはひとりずつ、説明や台詞がポップアップするようになっていますが
マリアの台詞は、先ほどの「人の心は〜」と迷った末、夫を案じる台詞にしました。
従軍看護師になろうというニッキを引き止めるために、戦場では美味しいもの食べられ
ないわよ、という台詞でもよかったかもしれません。

ステランは戻ってはすぐに遠くへ出かけるので、描いていて切なくなることも
ありましたが、ふたりのシーンは、いつも互いを想い合っているので、心が温まる
ことが多かったです。
ふたりが最後にどうなるかは、かなりあとになるまで見えなくて、ドキドキしました。