金木犀とすみれ2019年10月18日 17:45


雨の中の金木犀

金木犀の花が咲き始めました。
窓を開けると、さわやかな香りがただよってきます。
雨降りの一日でしたが、雨に濡れた花や葉も好きです。

レイ・ブラッドベリの作品に「十月はたそがれの国」という短編集がありました。
原題は、The October Country。(なんて素敵な訳でしょう!)
金木犀の香りと、オレンジ色の愛らしい小さな花を見ると、
なぜか毎年、そのタイトル本が浮かびます。
読んだのは学生のころで、内容は忘れてしまったのですけれど。

金木犀は、咲き始めもきれいですが、満開を過ぎて、朝起きると、
緑の芝生の上に、小さな花がたくさん散っているのも、大好きな光景です。
まるで、妖精たちが、ひと晩中パーティをしたあとのよう。
思わずほほえんでしまいます。

こちらは、すみれの種(右上、閉鎖花が三つに分かれて開いた中に、小さな種が並んで
いるのがわかるでしょうか)。左下に見えるのが、まだ新しい閉鎖花です。 

すみれの種

日を追うごとに、台風の被害の大きさがどんどんわかってきて、本当に胸が痛みます。
金木犀やすみれを見ながら、被害に遭った地域でも、金木犀や秋の花が咲いて、
大変な思いをしている人たちの心が、どうか少しでもなごみますようにと祈っています。

一日も早く普段の生活が戻りますように2019年10月14日 21:26

12日の台風は、岐阜の実家で迎えました。
実家は土地が低く、たびたび浸水の被害に遭っているので、
いろいろと備えをして、ドキドキしながら過ごしました。

今回、我が家は無事でしたが、
各地のあまりの被害の大きさに、言葉を失っています。
こんなにも広範囲で、あちこちで河川が氾濫し、洪水が起こるなんて…。
連休は、コンサートを聴きに信州へ行く予定でしたが、
その大好きな美しい地方も、千曲川の決壊などで、大変なことになっています。

そんななか、昨夜のラグビーW杯のスコットランド戦、
みんな、被災地に思いを馳せて戦っていて、心揺さぶられました。
また、カナダの選手たちが、試合が中止になってがっかりしているでしょうに
釜石の土砂など台風の後片付けを手伝っている姿にも、胸がいっぱいになりました。

犠牲になった方々のご冥福を心からお祈りしています。
そして、被災地に、一日も早く、普段通りの生活が戻りますように。

秋のすみれ2019年10月10日 17:13


ローマ郊外のすみれ

かつてローマ郊外でみかけたすみれは、花は咲いていなかったけど、
緑がとても清々しくて、その上で眠りたくなるほどやわらかそうでした(写真)。

すみれは大好きな花のひとつ。濃い青や紫、淡い紫、白など、どれも清楚で、
野の花というのが奥ゆかしくて、とても愛おしくなります。

春になると、道ばたや公園など、あちこちで見かけますが、
実家の庭にも、いつのまに種が飛んできたのか、春が訪れるたびに
小さな淡い紫の花を咲かせるようになりました。
たちつぼすみれかな。ローマで見たのと同じハート形の葉をしています。

いまの季節は、つぼみが開かないまま、ある日突然三つに割れては、
さかんに種を飛ばしています。
(閉鎖花というのだそうです。)
友だちに種を送ろうと思って手折ると、包んだ手の中で、ぱんぱんとはじけました。
かなりの勢い。手を開くと、茶色い小さな種が手のひらに。

よく観察すると、ものすごく遠くに飛ぶのです。
小さな花なのに、びっくりするほどたくましい。
ああ、そうして子孫を増やすんだなぁと思います。

サラファーンの星に登場する銀の森には、
楡と薄葉楓がひとつになった大木のもとこんこんと湧く泉があって、
そのまわりには、ありとあらゆるトーンの青い花が咲き乱れています。
すみれもそのひとつ。
青い花を思い浮かべたとき、大好きなすみれと忘れな草は、外せませんでした!
また、架空の鉱物、菫(すみれ)石は、
青みがかった濃い紫のすみれからイメージしています。

『星たちの祈り』から、小さな物語を…2019年10月03日 20:55

かつて「小学四年生」という雑誌に、毎月、星たちの祈りというテーマで、
きたのじゅんこさんが絵を描かれていました。
わたしはその絵に、詩や物語を添えていました。とても楽しい仕事でした。
連載が終わると、詩画集として出版されましたが、現在は絶版になっています。
今夜は、その中から、小さな物語をひとつ…。

☆   ☆   ☆   ☆   ☆

真夜中のことです。
輝く肌をした少年があらわれていいました。
「ぼくといっしょにおいで」

少年がわたしの手をとると、わたしの部屋は消え、
わたしたちは暗黒の空間に浮かんでいました。
どんな夜よりも暗く、なんの音もない世界です。

「ここはどこ?」
わたしがたずねると、少年はこたえました。
「ここは夢が終わり、夢が始まるところ……。ごらん」
少年は、合わせた両手を静かに開きました。

すると、ほのかに光る手のあいだから、
輝く星がいくつもいくつも生まれてきました。
氷の環を持つ惑星や、
まばゆい尾を引く彗星、金と銀の二重星……。
闇の世界は、たちまち、きらめく星であふれました。

少年の手のなかには、最後にひとつ、小さな星が残っていました。
わたしがそっとのぞきこむと、
星は一瞬またたくようにふるえ、みるみる青く輝きました。

なんて美しく、なんてこわれやすそうな星でしょう。
わたしの胸は、その星への愛しさでいっぱいになりました。

少年が静かにささやくのが聞こえました。
「これがきみの住む星ーー地球だよ」

希望は行動から生まれる〜グレタさんの言葉2019年09月30日 18:21


TEDプレゼンテーション(2018年11月ストックホルム)

スウェーデンのひとりの少女が、世界を変えようとしています。
グレタ・トゥーンベリさん。16歳。環境活動家。

国連の気候変動スピーチで日本でも大きく取りあげられました。

グレタさんは去年の8月、政府に気候変動問題を訴えるため
スウェーデンの国会議事堂前でたったひとりで座り込みを始めました。
こちらも報道されている通り、今では世界各地の若者が賛同し、ストをしています。

これまでの30年間、気候変動を訴える科学者はいても
政治家や実業家は目先の経済発展を優先し、それを無視してきました。
「まさかそんなことは起こらないだろう」そう思っているのでしょう。
実際に世界の崩壊が起こるまで、そんなことは信じたくないのでしょう。

でも、それでは、若い世代にとっては、遅すぎます。
待ったなしの状況なのですから。

去年行われたこのTEDのスピーチで彼女は、希望は必要だといいます。
でも、希望以上に必要なのは行動だ、と続けます。
いったん行動を始めれば、希望が生まれる。そう言っています。
本当にその通りだと思います。

同じくこのTEDのプレゼンテーションの中で、
グレタさんは、自身がアスペルガー症候群であることも公表しています。
彼女のスピーチを聴きたくてきている人を前に
先日の国連のスピーチよりも、落ち着いて話しています。
どうぞ、耳を傾けてみてくださいね。

わたしも、作品に同じ想いを込めて書き続けいます。
世間には届かないのかなぁと、元気をなくすときもあるけれど
彼女の言葉に、勇気をもらいます。
落ち込んではいられません!

キャラクターの名前のつけ方2019年09月24日 14:43

サラファーンの星の登場人物に、名前をつけるにあたっては、
おもに5つのパターンがありました。

1:自然と浮かんでくるものにする。
2:好きな名前をつける。
3:考えてつける。
4:別の作品の使い回し。
5:犬の名前からつける。

1:最も多いのが、この自然に浮かんでくるもので、
ルシタナやウィルナー、ランドリア、ロンドロンド、ヨルセイスなどです。
(エルディラーヌなど国の名前や地名も、ほぼこれです。)

2:次に多いのが、好きな名前です。
マリアやステラン、レイン、ピップなど。
サラ(沙羅)は昔から響きが好きで、今回は地名にも人名にも使いました。
ユリディケは、オルフェウスとエウリュディケの神話から。

3:たまに、考えてつけます。
たとえば、前に紹介した、『石と星の夜』に登場する白猫。
水夫のパコが可愛がっているので、水夫をもじって、スーフィ。

また、同じ『石と星の夜』に出てくる王子は、簡単な名前にしようと思いました。
ただでさえキャラが多く、覚えられない!と言われていたので、
出番の少ないこの王子は、極力簡単にしたかったのです。
なんという名前にしようかな〜。
なんという名前・・・そうだ! 「なんと」にしよう。
というわけで、「ナント王子」。ほんと、適当ですねえ。

もう少し真剣に?考える場合もあります。
たとえば、盗賊のピップは、ディケンズの小説『大いなる遺産』の主人公と
同じ名前です。『大いなる遺産』のヒロインはエステラ。
なので、ピップが追う伝説の宝石の名を〈エステラの瞳〉にしました。

4:『ユリディケ』に登場する名前を使い回した例もあります。
戦士デュー・レインの苗字は、四部作ではリーヴ一家の苗字、というように。

もうひとつが、ロデス伯父さんとイルナ伯母さんの名で、
『星水晶の夜』に登場する諜報員として使い回しました。
(これ、どこかに書いたかな。生まれかわり、というわけではなく、
名前を拝借した形です。諜報員の運命に思いを馳せると、どうしても
そうしたくなってしまって。)

5:犬の名前に関しては、二巻のあとがきに書いたとおりです。
昔、祖父母の家にいた犬ダンとジョーの名を、黒のジョーとダン伯父さんに。
『インディアナ・ジョーンズ』は、飼い犬インディから名づけられたのですよね。
なので、犬から人もありかな、と。

そのほか、ハーシュは、卒業旅行で訪れたニュージーランドで、
農場に滞在したとき、愛馬マーキュリーに乗せてくれた優しい少年
ハーミッシュからとりました。
ありがとう、ハーミッシュ(*^_^*)
きっと今頃、立派な大人に成長しているだろうなぁ。
ラグビーのワールドカップ、観てるかな。

『アド・アストラ』〜父を探す孤独な旅の果てに2019年09月19日 14:53

映画『アド・アストラ』より

    Ⓒ 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.


映画『アド・アストラ』の試写会に行ってきました。

舞台は近未来。主人公は、ブラッド・ピット演じる宇宙飛行士のロイ。

地球外知的生命の探索に向かって消息を絶った父を探すため、

遙かなる宇宙空間へと旅立つロイの、長く孤独な旅路を描いた壮大な物語です。

 

どんな任務も完璧にこなし、いかなる状況でも冷静で優秀なロイですが、

同じく宇宙飛行士だった父は、家庭を顧みることはなく、

母はそのために心を病み、ロイ自身も、深い孤独を抱えています。

 

彼は、伝説の宇宙飛行士である父が、実は生きており、

海王星で人類の脅威となる実験をしていると聞かされ、

その暴走を止めるという極秘の使命を帯びて、宇宙へ送り込まれるのですが、

父を探すミッションは、思わぬ危機の連続。

最後まで、何が起こるかわからない展開で、まるで自分が探索の旅に

出ているような錯覚にとらわれました。

 

冒頭の、国際宇宙ステーションから見る、息を呑むような地球。

月の基地や火星の基地も、宇宙の旅の途上のさまざまなトラブルも、

驚くほどリアルです。

宇宙が好きな人にとっては、もうそれだけでドキドキしっぱなしでしょう。

 

人類はどうあるべきか、科学のあり方、文明のあり方は、といったテーマを

深く追求し、父と子という個人の物語をも内包して、

台詞を最小限に抑えた静かな作品は、澄んだ水のように、心に染みます。

 

明日9月20日(金)から全国ロードショー公開。

『ゼロ・グラビティ』や『オデッセイ』も、宇宙空間での主人公の孤独が

ひしひしと感じられましたが、『アド・アストラ』は、もともと人との関係が

うまく築けないというロイのキャラクターによって、その孤独はいっそう際立ちます。

言葉を失うほどの圧倒的な映像と、暗黒の中の限りない孤独を肌で感じるには、

ぜひ、大きなスクリーンでご覧くださいね。

双子のこと2019年09月17日 14:31

子どものとき、同じ学年に、3組の双子がいました。
女の子がふた組、男の子がひと組。
小学校と中学校の九年間、一緒だったので、どの双子とも、
少なくとも、片方とは同じクラスになりました。

みんな一卵性だったので、そっくりでしたが、
いつも一緒に遊んでいるわたしたち生徒は、
どちらがどちらかちゃんと区別がつきます。
声も、顔も、微妙に、でも、明らかに違うのです。
ところが、先生たちときたら、てんで見分けがつきません。
どうしてわからないんだかなぁって、みんなで不思議に思ったものです。

双子たちは、おもしろがってクラスを入れ替わったりしました。
(ふたりのロッテみたいですよね。)
でも、ただの一度もばれたことはありませんでした。

どの双子もきょうだい仲がよくて、話したり歌ったりすると
ハーモニーがきれいでした。
姿形はそっくりなのに、性格はそれぞれとても個性があって、
それが不思議で面白く、双子は、わたしにとって、
永遠に神秘的で、魅力的な存在となりました。

大学の卒論では、双子の女の子が主人公のファンタジーを書きました。
サラファーンの星にも、林檎園の双子(いたずらざかりの男の子)と、
葡萄亭という食堂兼宿屋の双子(子どものころは、やはり村一番の
いたずらっこだった十代後半の少年)を登場させました。
脇役で、葡萄亭の少年たちに至っては、話の中で語られるだけですが、
なぜかやっぱり双子の存在は、外せないのです。
どのキャラクターも、同級生とは、容姿も性格もまったく違うけれど
ありありと目に浮かんできて、つい書いてしまうのです。

高校に進学すると、同じ学年どころか、学校全体でも双子はいなくて、
以来、長いあいだ、まったく出会いませんでした。
そして数年前、双子の姉妹のお姉さんとお友だちになりました。
ひさしぶりの双子です。
二卵性なので、見かけは少し違いますが、とっても素敵な姉妹。
やっぱり双子と縁があったのかなと、なんだか嬉しく思っています。