母の入院。そして退院 ― 2025年04月12日 10:02
ちょうど四週間前の土曜日でした。
母が部屋で転倒し、大腿骨を骨折しました。
前にわたしが胸椎を骨折した際は、母が救急車に付き添ってくれたのですが、今度は逆。
救急隊員の方々には、今回も大変お世話になりました。ありがとうございます。
家族の非常事態ですので、具合が悪いなどとは言ってられません。
アドレナリン出まくりで、身体も動きます。
妹も飛んできて、一緒に先生の説明を受け、月曜には人工骨頭を入れる手術で、
翌日からリハビリが始まりました。
コロナが五類に移行するまでは面会禁止だったそうですが、幸い、毎日面会でき、
届け物をしたり、洗濯物を受け取ったりする時、顔を見ることができました。
先生はとても前向きで、母より高齢の方が、先日リハビリ頑張って2週間で
退院しましたよ、とおっしゃり、「それを目指しましょう!」と頼もしく、
その明るさに救われました。
また、介護申請をしたほうがいいと言われ、区役所に手続きに行きました。
福祉課で手続きをしたあと、地域包括支援センターに相談に行くよう言われ、
翌日、妹と二人で行ってきました。
障害福祉のことは、姪と甥が自閉症スペクトラムだったので、手続きが煩雑なことや
ソーシャルワーカーの方が忙しくてなかなか見つからないということも知っていましたが
高齢者福祉も一緒で、ケアマネさん不足で探すのが大変だと知りました。
制度も色々な決まりがあって、とても複雑です。
「二つの脳は一つよりよい」と言いますが、妹と私の脳では、どうも足りないようで、
1時間以上、いろいろと説明を聞きましたが、頭がパンク状態になってしまいました。
でも、相談に乗ってくださったスタッフの方が、とっても頑張ってくださって、
翌週には奇跡的にケアマネさんが見つかり、
母が退院したら、訪問リハビリと福祉用具の方たちと一緒に、我が家で母の様子を
確認しながら、担当者会議を開くことになりました。
介護認定が降りるのは一か月くらい先になるそうですが、
待ったなしの状況なので、先に動きます、と言われ、
本当に、みなさんに素早く動いていただけて、ありがたかったです。
わたしの方も、今後、母が生活しやすいように、家を整えなくてはなりません。
(母の部屋よりわたしの部屋のほうがトイレに近いので)
部屋を取り替えることにして、自分で動かせる小さな家具は移動し、
クローゼットやチェストなどのタンスは、中身だけ入れ替えることに。
こんなとき、魔法が使えたらなぁ。指をパチンと鳴らすだけで入れ替わったら、
どんなに楽でしょうね。
けど、魔法使いではないので、病院や地域のソーシャルワーカーの方々との連絡の合間に
少しずつすすめていきました。
母は膝も悪くてもともと杖を使って歩いていたので、どうなるか心配しましたが、
そうこうしているあいだに(結局、服の入れ替えは、まだまだ道なかばです)
リハビリをかなり頑張って、数日前、無事退院してきました。
杖を使って歩行できるようにならなければ、リハビリ専門病院に転院と聞いて、
家に帰りたい一心で頑張ったそうです。
退院の翌日には、ケアマネさんたちがいらして担当者会議を開き、福祉用具の方は
さっそくお試しのシャワーチェアを置いていってくださり、その日からシャワーが
できて、とても助かりました。
そして、その翌日から、ベッドの柵や、据置式のトイレの手すり(もともと手すりを
つけていたのですが、位置が高すぎて役に立たなかった)、家の中の歩行器や
四点杖が順次届き、また、廊下に手すりをつけるため、福祉用具の方が、建築士の方を
呼ばれ、一昨日には、最初のリハビリも始まりました。
なんだか嵐のような四週間でしたが、今日は週末で、久しぶりにゆっくりできています。
母は、入院中は検査やリハビリや面会の時間以外は、退屈だったそうで、
「退院してからのほうが忙しかったわ」と言っています。
怪我人は、治すのが一番の仕事ですから、病院で静かにしている時間も大切だったと
思います。
救急隊員の方々、病院の先生や看護師さん、理学療法士さんなどのスタッフの方々、
福祉用具や訪問リハビリの皆さん、区役所や地域包括支援センター(名古屋では、
いきいき支援センターと呼んでいます)の方々に支えていただき、
なんとか母も家で生活していけそうです。感謝の気持でいっぱいです。
それにしても、去年のわたしの入院と重ならなくて、本当にラッキーでした。
わたしが退院してから、化学療法に通院している間も、副作用で動けなくて、母が
すべての家事を引き受けてくれたので、もともと膝が悪かったところにもってきて、
それで負担がかかって、骨が折れやすくなっていたのかなと思います。
お母さん、ごめんね。
副作用もずいぶん軽くなってきたので、これからは、福祉の方々の力をお借りして、
わたしが頑張ろうと思います!
少し落ち着いたら、仕事にも戻れると思います。
待ってくださっている方がいらしたら、ごめんなさいね。
家族の危機に、うつ病の妹も、がんばっていろいろと手伝ってくれて、ありがたいです。
妹は疲れが出ると、膀胱炎を発症するので、心配ですが、
みんなで力を合わせれば、なんとかなるかな、と思っています。
病院や区役所に通う際、桜が蕾から日々開いていく様子や、新緑が少しずつ芽吹いていく
様に、心が慰められました。
冒頭の写真は、雨の日、バスを待つときに見かけた白い花。名前はわからないのですが、
雨粒を宿して、清楚な風情に惹かれました。
追記:優しい友人がこの花の名前を教えてくれました。
リキュウバイ(利休梅)といって、古くから茶花としても親しまれてきたそうです。
カワウのひなたぼっこ&春の花たち ― 2025年03月14日 11:30
暖かな日が続いています。
が、実は一週間ぐらい前からちょっと体調を崩しています。
気持ちいい陽気なのにもったいないなぁ。
先生に、抗がん剤で免疫力が落ちているからと言われ、あんなに注意していたのに。
喉が痛くて頭が痛くてだるい…ということは数年ぶりの風邪(鬼の撹乱)??
毎日5000〜6000歩、少々疲れているときも、頑張って歩いていたからだと
思われます。仕事の準備も、急にギアを上げてしまったし。
そんなわけで、この数日は家でゆっくりしています。
震災のことを思ったり、ウクライナのことを思ったり、なぜかときを同じくして
友人や先輩から、悲しいお知らせを受け取ったり。なんの力にもなれなくて
人生の切なさを思います。
悲しいことがあっても、世界が変わらずに回り続けるのが、昔から不思議でした。
ただ、本当は、地球もいつまでも回り続けるわけではないですよね。
だからいっそう大切な存在なのだと感じます。
体調を崩す前、頑張って遠くまで歩いていた時、見かけた光景から、いくつか写真を。
春を感じていただけたらいいな。
まずは、池の畔でひなたぼっこをするカワウ。通りかかると、羽を大きく広げて
じっと動かない鳥の姿が。岐阜にいた頃よく見たカワウです。
最初、彫像かなにかだと思いました。あまりにじーーっとしているから。
で、わたしも動かずじっと見ていると、ゆっくりと羽を動かして、片方ずつ
たたみました。(片方をたたんだら、もう片方をまた伸ばす。)
あ、生きてる! 暖かな日だったので、カワウもお日様が気持ちよかったのでしょうね。
こちらは八重の梅。淡いピンクで青空に映えて、すっくと伸びた姿が美しかったです。
ヒヨドリが、花をつついていました。蜜が目当てかな。
公園の片隅のむらさきのパンジーや、壁にきれいに飾られたハンギングバスケットにも、
思わず目を引かれました。
パンジーの蕾って、くるくる巻いていてとっても可愛いです。
黄色いパンジーも鮮やかで気持ちも華やかになりそうですね。
来週は寒の戻りがあるそうです。
どうぞわたしみたいに風邪を引かないようくれぐれも気をつけてくださいね!
あの日から14年になります ― 2025年03月11日 11:41
大船渡の山林火災は、避難指示がすべて解除され、本当によかったです。
でも、ニュース映像で映し出される被災地の惨状に、胸が痛みます。
東日本大震災から14年になります。関連死も含めて2万2千人以上の犠牲者が出ました。
単なる数字ではありません。
そのひとりひとりに家族があり、人生があり、夢があったはずです。
どんなに無念だっただろうと思います。
亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りしています。
昨日、ニュースで大川小学校の映像を見ました。震災遺構として整備されたようで、
以前訪れたときと違って、フェンスなどができていましたが、
そのときお話をしてくださった、娘さんをなくした方が、お話をされていました。
歳月が流れようと、残された方々の悲しみは、決して消えることはないと思います。
すごく辛いでしょうに、伝えていかないとという思いで、語り部をされているのだと
思います。子どもたちが生きた証と、二度とこんなことがあってはならないと
伝えるために。すぐ裏の山にさえ逃げれば、助かったのですから。
亡くなった子どもたちは、どんなふうに天から見つめているのでしょうか。
銀河鉄道の夜を描いた壁画は、まだ残っているのかな…。また必ず訪れたい場所です。
地震の翌日には、福島の原発で水素爆発が起こりました。
未だに故郷に帰れない人たちがいる現実を前に、政府は原発回帰に向かっています。
CO2削減のためといいますが、あの事故で、原発は安全ではないとわかったはずで、
気候危機を言い訳にするのは、とんでもないことです。
遅々として進まない廃炉。原発は結局、高くつきます。それは電気代に上乗せされて
いるんです。他のクリーンなエネルギーの開発に力を入れてほしいです。
今年は、戦後80年の節目となる年でもあります。
昨日は、東京大空襲から80年でした。広島や長崎の被災者と同様、当時のことを
語れる方が減っているなか、若い人で語り部を受け継ぐ方たちも現れていることに、
希望を感じます。
一方、被団協がノーベル平和賞を受賞したのに、先日の核兵器禁止条約締結会議に、
日本は今回もオブザーバー参加もしませんでした。
世界情勢がいつになくきな臭くなっている今、核の傘に頼っている手前、できなかったの
でしょうが、一触即発の危険がすぐそこにある今だからこそ、
勇気を持って、核兵器の廃絶を訴えてほしいです。
数日前、雨上がりの散歩をしていたら、路地で、水仙が雨粒を宿し、清楚に咲いていました。
水仙はギリシャ神話のナルキッソスの物語から、「うぬぼれ」という花言葉がありますが、
「気高さ」もあるそうです。
寒い季節にいち早く咲くことから、縁起が良いと言われているとも聞きました。
どうか被災地が元気に復興を遂げますように。そして、世界が良い方向に向かいますように。
あの日から14年となる今日、私も早く元気になって、できるだけのことをしようと、
新たに心に誓います。
大船渡の山林火災の一刻も早い鎮火を願って ― 2025年03月02日 11:10
先月26日に発生した大船渡の森林火災が、延焼を続けています。
住宅の被害は、少なくとも84棟、消失した面積は1800ヘクタール。数日で、これほど大きな火災になるなんて、想像を絶します。
大船渡は東日本大震災で最大10メートルを超える津波に襲われ、甚大な被害を受けた街。
能登もそうですが、なぜ同じ場所が繰り返し大きな災害に見舞われるのでしょう。
とても理不尽で、どんな思いで避難をされているのかと思うと、胸がつまります。
LAでの森林火災で、友だちが避難したのはついこの間のことです。
恐ろしい災害が、今度は東北で起こるなんて。
今日も風が強く、消防活動が難航していると聞きます。
亡くなった方の御冥福をお祈りするとともに、一刻も早く火が鎮まることを願っています。
そして、消火にあたっている方々が、どうか無事で、怪我などありませんように。
義援金の呼びかけが始まっています。こちらが大船渡市のホームページです。
↓↓
その他NPOやドコモ、Yahooも受け付けています。(詐欺には注意してくださいね。)
東北には友だちが何人かいて、東日本大震災のときとても心配しましたが、
大船渡市には、高校時代の、ささやかな思い出があります。
当時、新沼謙治さんの素朴な人柄に惹かれてファンになったわたしは、
初めてファンクラブなるものに入りました。
抽選で本人から電話がかかってくるとのことでしたが、ある午後、学校から帰ったら、
本当にかかってきて、びっくりしました。
お母様のお名前がわたしと同じ「文子」であることや、
故郷の大船渡について、とても美しいところだと言われたのを覚えています。
(後ろから、最初に電話を取り次いだ事務所の方が「もう時間ですよ!」と何度も言って
いるのに、少し長く話してくれる優しい方でした。歌の好みはその後いろいろと
変わっていきましたが、あの優しさは忘れません。)
風がやみ、消火活動が進んで、その美しい大地が、できるだけ守られますように。
ウクライナへの祈り ― 2025年02月24日 15:24
ウクライナの地にロシアが侵攻して、今日で3年になります。
そして今、ウクライナの頭越しに、
世界の平和を守るべき、国連の安全保障理事会の大国同士が
停戦に向けて協議を始めています。
戦争が始まった当初、侵攻の直前、クリスマスを祝うウクライナの人たちの映像が、
よく流れていましたが、本当に平和そのもので、忘れられません。
希少な鉱物や資源のために、平和な小国を好き勝手に踏みにじるなど、
あってはならないこと。どれだけ資源や資産を持っているかではなく、人びとが
どれだけ豊かで寛大な心を持っているかが、本当に大切なのではないでしょうか。
世界で大規模な災害が相次ぐなか、互いに争うよりも、いかに助け合うかが
問われていると思います。
今日、散歩をしていて、ほころび始めた梅の花を見かけました。
日本各地で大雪が続いていますが、雪に閉ざされた大地にも、
ウクライナにも、光あふれる春が訪れますように。
LGBTQ+とサラファーンの星〜2:ハル・ソーン ― 2025年02月22日 12:11
サラファーンの星とLGBTQ+のお話の続きです。今日は、ハル・ソーン。
都の通信員で通っていますが、その実は、王室情報部の精鋭「第七班」の諜報員。
同じ諜報員だったロンドロンドの友人で、ディヴァレアン王子の学友。
父親のソーン卿は、第七班の長で、生まれも育ちも良いはずですが、若いときから
大いに羽目を外す問題児。
でも、大胆不敵な性格と、その知性を買われ、諜報の仕事についています。
いつもクールで、どこか世の中を斜に見ている三十代の独身男。
本人がいうには「第一夫人は酒、第二夫人は海」。
酒に強く、各国の情報を集めるため何度も航海に出て、海をこよなく愛しています。
どこから見ても、頼れる兄貴のハルですが、わたしの想像なんですけれど、
性根は優しく、感性が鋭く(そうじゃないとスパイは務まりませんよね)
繊細な一面も持っています。
第一巻では、諜報の仕事から足を洗ったロンドロンドに、昔の仕事に戻るよう持ちかけ、
第二巻で、説得に成功し、ともに命を懸けて世界を守るために奔走しますが、
これも作者の想像ですけど、ハルはずっとロンドロンドを愛していたんじゃないかな。
おそらく、学生時代、最初に会ったときから。
そのロンドロンドが、ずっと従姉のフェルーシアに恋していることは察知しているので、
自分の恋が実らないものであることも知っている。だから、決して口にしません。
そして、ロンドロンドの幸せを祈って、「(従姉に)告白しろよ」とアドバイスし
恋の行方を見守ったりしちゃいます。
書きながら、ハルの想いを感じて、ちょっと切なかったです。
父親のソーン卿も、気がついているだろうなと思いました。
それでも、第七班の長として、息子やロンドロンドの仕事を、黙って見守っている。
ハルは、諜報員としてすこぶる優秀で、物語は彼の活躍なしには成り立ちません。
第四巻で取る、彼のある行動も、もちろん、世界を救うためではあるのですが、
愛するロンドロンドを救うためだったのだろうという気がしています。
でも、いつもお伝えしている通り、それぞれの読者の方が、キャラクターも物語も、
余白の部分を好きなように想像するのが、読書の醍醐味だと思っているので、
ハルのことも、同性愛者に限らなくてもまったくOKです。
プレイボーイで、港みなとに彼女がいるかもしれないしね!
ところで、キャラクターのイラストとして、世の中を斜に見る彼には、文字通り、
斜に見ているポーズがほしかったので、荒川ディレクターのアドバイスに従いました。
すなわち、「描きたいポーズを自撮りをして、スケッチをする」。
で、男性の身体の厚みを出すために、ガウンなどをモコモコ着込んで、
その上に、知人からもらった、ゆったりしたシルクのシャツをまとい、
でーんと構えて、腕組みしました。
↓↓

逆サイドの腕とか、指とか、ああ、こうなるんだとわかって、確かに描きやすかったです。
なお、公式サイト掲載のイラストは、デザイナーの畠山さんが、わたしの素人絵を、
デジタルのイラストに仕上げてくれたものです。「砂色の髪」とかベストや柄の色合い、
そでのゴミをとってください、など、いつもながら面倒なリクエストにも動じず、
本当にありがたかったです。
今朝は名古屋でも小雪が降りました。でも、歩けるくらいで、しっかりリハビリのための
散歩をしてきました。
日本海側を中心に大雪が続いていますが、能登は特に厳重警戒だそうで、
地震や大雨のあとも大変な日々が続いていて、被災地の方々の大変さは想像もつきません…。できるだけ被害が少なく、寒波が早く過ぎることを祈っています。
絵とピアノとタイムリミット ― 2025年02月17日 15:20
先日、ガンの寛解後、最初の検査結果を聞いてきました。
「状態変わらず」ということで、それはよかったのですが、
抗がん剤の副作用である末梢神経障害は、半年から1年ぐらいたって治らなければ、
一生残る場合が多いそうです。
手の痺れが、治療直後よりも、ほんの1ミリずつよくなっている感覚があったので、
そのことを先生に伝えると、そう言われました。
今がリハビリの頑張り時だそうです。
治療が終わって一年というと、タイムリミットは10か月を切っています。
わぁ〜。真面目にやらなきゃ!(別に今まであえてサボっていたわけではありませんが。)
足の麻痺は、マッサージと歩くくらいしかないようですが、手は使ったほうがいいそうで、
イラストを描こうと思っています。
前に書いたと思いますが、サラファーンの星のキャラクターを(おだてられて)描いたとき、
ほんとーに大変だったので、もう二度とイラストは描かない!と宣言したのに、
『ユリディケ』を書き終えたら、やっぱり紋章やキャラクター相関図を作りたくて、
紋章と地図まで描いたところで発病し、キャラはペンディングになっていました。
でもきっと、指のリハビリになる!と思って、少しずつ始めようと考えているところです。
サラファーンのときに参考にしたイラストの本はほとんど捨てちゃったけど、
水彩色鉛筆はさすがに捨てられずにとっておきました。
上の写真がそのセット。母が持っていた24色に加えて、さまざまな水色を中心に
東急ハンズで買い足したものと、コンパス(紋章を描くのに使いました)と絵筆など。
下の写真は、そのお絵描き道具をしまっている箱。
甥っ子が生まれた時、父の知人がプレゼントしてくれたクマちゃんのお皿が入っていた
運べるケース。可愛いので、ずっと前には、カセットテープを入れていました。
(カセットテープ! わかります? 巻き戻しとかできるやつです。巻き戻しって
死語なんですってね。)

あと、2年前に買って放ってあった電子ピアノを、少しずつ弾き始めています。
Eテレでやっていた「3か月でマスターするピアノ」を録画していたので、
見てみましたが、初心者にサティの『ジムノペディ』。ハードル高い!
バイエルまで習った人には、ショパンの『革命』。マジ? 私の場合、
ピアノを弾いていたのは中学二年まで。
右手の音符の読み方はだいたい覚えていますが、左手の読み方は完全に忘れています。
(どこが基本のドですか?という感じ。)
電子ピアノを買ったのは、『麗しのローレア』の副旋律を譜面に起こすためで、
曲は頭の中にはあるので、それを楽譜にしたいのですが、まずは、しっかり左手の
譜面を読めるようにしなければ。
3か月でマスター〜の本田先生、すごく可笑しくて、楽しいです。
(でも、生徒さんは大変ですよね。)
昔弾いたショパンやシューベルトも弾けるようになるといいなぁ。
それで末梢神経障害のリハビリになるのだから、一石二鳥?
というわけで、体力を取り戻すために日々散歩しながら、手のリハビリも続けています。
(すぐにめげそうなので、こうしてブログに書いて、逃げないようにしています😆
その効き目のほどは、果たして?!)
手足は、痺れているのにひどく痛む時があって、毎朝、足の痛みが目覚まし時計みたい
でしたが、朝の痛みがだいぶよくなってきたので、やっぱり歩くのはいいのかな。
ほかにも、まだ副作用が残っていますが、基本、焦らずに、と思っています。
千里の道も一歩から、ですね!
『伝説とカフェラテ』 ― 2025年02月09日 15:52
カバーイラストMIKEMORI&カバーデザイン藤田知子
最強の寒波が来ています。昨日は名古屋も雪がつもりました。
岐阜にいたころ、何度も大雪に見舞われたのを思い出します。
前日、新幹線が止まって、仕方なく京都で一泊した家族を迎えに行くため、
まず勝手口からガレージまでの道を作り、ガレージにたどりついたあと
車の周りの雪をどけ、その後、市道に出るまでの路地の雪かきをして、
ようやく車が出せたこともありました。
今回の大雪は全国的に被害が出ていて、雪おろしや車の事故で亡くなる方もいて、
切なくなります。これ以上被害が出ないよう祈るばかりです。
さて。久しぶりに本のお話。
抗がん剤治療を受けて、静養をしていた最初の頃は、本を読むエネルギーも
なかったのですが、だんだん読めるようになってきました。
『伝説とカフェラテ』は、入院前、編集の小林さんにいただいた本のひとつです。
タイトルからして美味しそうで、ジャケットも美味しそう。静養にはぴったりの、
身も心も温まりそうな心地よいファンタジーでした。
実は私は紅茶派で、コーヒーは飲まないのですが(本格的な濃いコーヒーは
胃が痛くなることあり)、カフェラテは大好きです。
抗がん剤の副作用の味覚障害で、水が不味くて飲めない時には、ミルクか豆乳、
カフェラテかソイラテを飲んでいました。
(インスタントのカフェインレスコーヒーにミルクをたっぷりいれるから、
ラテというより、オレなのかもしれませんが。)
『伝説とカフェラテ』は、心地よいと同時に、エキセントリックなお話でもあります。
殺しの仕事に嫌気が差した傭兵がヒロインなのですが、なんと女性のオーク。
オークって、『指輪物語』では悪役で、たぶん、ほとんどのファンタジーでそうなのでは
ないでしょうか。しかも、女性。相当にめずらしいです。
サキュバスとかストーンフェイとかラットキンとか、よく知らない種族が出てきて
(私はファンタジーを書いているけれど、そのあたり詳しくなくて。エルフやドワーフ
あたりまでならわかるのですが。)
最初は読むのにちょっとだけ苦労したけれど、あまりに飲み物やお菓子が美味しそうで、
そんなことは気にせず読み進みました。
で、ヒロイン。昔ある仕事をしていて、ふと鼻にした(?)コーヒーの香りに惹かれて
お店に入り、癒やされたことが忘れられず、自分でお店を開こうと足を洗います。
オークで傭兵というのは、物語の社会では、底辺の人。
彼女は、自分が世間からどんな目で見られているか、十分に知っています。
そして、同じように、世間から見下されている者たちを雇って、お店を開きます。
彼女の国にはまだコーヒーがないという設定なので、本当に大胆!
のちにそのヒロインと恋に落ちる女性もとっても魅力的ですが
(はい。LGBTQ+の要素も入っている物語です)
私のお気に入りは、粉だらけで奮闘するパティシエのシンブル。
ラットキン(小鼠人)だそうで、小さなねずみ族というのかな、
ジャケットにある、エプロン姿のねずみちゃんです。
とても無口ですが、肝心なことはささやくように話すキュートな存在。
狭くて暑い厨房で、一生懸命お菓子を焼いて、汗だくになって、換気扇を作って
もらったら大喜び。小さなオーブンをフル回転させ、休みなしに働いているから、
大きなオーブンがほいしなって夢見ています。
どんなときでもあきらめず、まっすぐに物事に向き合うシンブル。
ほんとにけなげで、その上、よだれの出そうな美味しそうなお菓子を焼くから、
好きにならずにはいられません。
『伝説とカフェラテ』というのは、ヒロインが始めたお店の名前。
ジャケットには看板が描かれていますね。
シンブルが抱えているのは、真夜中の三日月(ミッドナイトクレセント)。
クロワッサンにチョコがたっぷり入ったようなイメージ。
その上にシナモンロールが描いてあります。
本を読んでいて、シナモンロールが食べたくなって、味覚障害なのも忘れ
思わず買っちゃいました。
そんなふうに、この物語の魅力は、ほんとに美味しそうなお菓子と飲み物なんですが、
隠れた魅力というか、面白さは、「誰もが見かけと違う」ということ。
こわもてのヒロインは心優しい女性だし、美しいエルフの男性は、悪魔的な策略家。
男を誘惑すると思われていたサキュバスは、共感能力が高くて繊細。
恐ろしげな巨大な猫は実は頼もしい守護神だし、街を牛耳るボスたちも、
見かけとは違います。
偏見がいかに馬鹿げたものか、教えてくれる本でもあります。
作者のトラヴィス・バルドリーは、ゲームの開発者を経て、オーディオブックの
ナレーターをしていた人で(作家業とともに今もしているんじゃないかな)、
当然と言えば当然かも知れませんが、この『伝説とカフェラテ』のAudibleは
自分でナレーターを務めています。
思わず買って、iPadで聴きました。
とっても上手! 作者ならではで、どのキャラがどんなイメージか、
ありありと浮かんでくるようなナレーション。完璧に全キャラを使い分けています。
シンブルのささやくような声も、ああ、こんなイメージで描写していたのね、と
わかって嬉しかったです。
英語が好きな方にはおすすめです。
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