戦争が落とす影〜マリアンヌ ― 2019年09月10日 17:38
数学で戦争を止めようとした男 ― 2019年09月14日 17:22
戦争と平和は、わたしにとって、生涯のテーマです。
ものごころつく前から、始終戦争の夢を見て、本当に怖かった。
ですので、誰に言われるでもなく、戦争について深く考えるようになりました。
サラファーンの星で、戦争や国家の暴走を止めようとする者たちを描いたのも
自然ななりゆきでした。
『アルキメデスの大戦』は、数学で戦争を止めようとした男の物語と聞いて
ぜひ観たいと思っていた作品。
時は1933年。
映画は、戦艦大和の建造に邁進する帝国海軍と、開戦を止めるべく、
その海軍に挑む若き数学者の、息詰まるような攻防を描いていきます。
戦争が起こることは、史実として知っていても、
なんとか止めようと奔走する主人公を、応援せずにはいられなくて
タイムリミットが迫るなか、手に汗握って観ていました。
映画の主人公は実在の人物ではありません。
けれど、当時、戦争を止めようとした人たちは数多くいたと思います。
そうした人々の、叶わなかった願い、平和への祈りもこめられた作品とも
いえるのではないでしょうか。
悲惨な戦争が起こってしまったという事実を前に、
ラストの主人公の表情は、観る者の心を激しく揺さぶります。
緊張感の中に哀しみの漂う音楽も、心に残りました。
わたしは数学は苦手なのですが、主人公の「数字は美しい」という言葉は、
わかるような気がします。
数式を描くところは、宇宙の神秘をあらわしているみたいで、わくわくしました。
(実在の天才数学者を描いた「ビューティフル・マインド」という映画も、
数式を描く映像が、とっても素敵なんです。)
演じる菅田将暉が、猛烈な勢いで黒板に書き殴っていくのですが、
エグゼクティブ・プロデューサーの話によると、
彼は本当に数学が得意で、全部そらで覚えたそうです。
本当にびっくり!
その彼と、最初は反発していた部下、柄本佑とのコンビがなんともユーモラス。
やがて悲劇が訪れることを、観る者すべてが知っているなか、
そこはひとつ、ほっとさせられるところです。こういうシーン大事ですよね!
戦争を知らない世代が増え、平気で戦争をしようと語る政治家が出てくる時代。
こうした作品は、いまとても大切に思えます。
双子のこと ― 2019年09月17日 14:31
『アド・アストラ』〜父を探す孤独な旅の果てに ― 2019年09月19日 14:53
Ⓒ 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
映画『アド・アストラ』の試写会に行ってきました。
舞台は近未来。主人公は、ブラッド・ピット演じる宇宙飛行士のロイ。
地球外知的生命の探索に向かって消息を絶った父を探すため、
遙かなる宇宙空間へと旅立つロイの、長く孤独な旅路を描いた壮大な物語です。
どんな任務も完璧にこなし、いかなる状況でも冷静で優秀なロイですが、
同じく宇宙飛行士だった父は、家庭を顧みることはなく、
母はそのために心を病み、ロイ自身も、深い孤独を抱えています。
彼は、伝説の宇宙飛行士である父が、実は生きており、
海王星で人類の脅威となる実験をしていると聞かされ、
その暴走を止めるという極秘の使命を帯びて、宇宙へ送り込まれるのですが、
父を探すミッションは、思わぬ危機の連続。
最後まで、何が起こるかわからない展開で、まるで自分が探索の旅に
出ているような錯覚にとらわれました。
冒頭の、国際宇宙ステーションから見る、息を呑むような地球。
月の基地や火星の基地も、宇宙の旅の途上のさまざまなトラブルも、
驚くほどリアルです。
宇宙が好きな人にとっては、もうそれだけでドキドキしっぱなしでしょう。
人類はどうあるべきか、科学のあり方、文明のあり方は、といったテーマを
深く追求し、父と子という個人の物語をも内包して、
台詞を最小限に抑えた静かな作品は、澄んだ水のように、心に染みます。
明日9月20日(金)から全国ロードショー公開。
『ゼロ・グラビティ』や『オデッセイ』も、宇宙空間での主人公の孤独が
ひしひしと感じられましたが、『アド・アストラ』は、もともと人との関係が
うまく築けないというロイのキャラクターによって、その孤独はいっそう際立ちます。
言葉を失うほどの圧倒的な映像と、暗黒の中の限りない孤独を肌で感じるには、
ぜひ、大きなスクリーンでご覧くださいね。
キャラクターの名前のつけ方 ― 2019年09月24日 14:43
希望は行動から生まれる〜グレタさんの言葉 ― 2019年09月30日 18:21
TEDプレゼンテーション(2018年11月ストックホルム)
スウェーデンのひとりの少女が、世界を変えようとしています。
グレタ・トゥーンベリさん。16歳。環境活動家。
国連の気候変動スピーチで日本でも大きく取りあげられました。
グレタさんは去年の8月、政府に気候変動問題を訴えるため
スウェーデンの国会議事堂前でたったひとりで座り込みを始めました。
こちらも報道されている通り、今では世界各地の若者が賛同し、ストをしています。
これまでの30年間、気候変動を訴える科学者はいても
政治家や実業家は目先の経済発展を優先し、それを無視してきました。
「まさかそんなことは起こらないだろう」そう思っているのでしょう。
実際に世界の崩壊が起こるまで、そんなことは信じたくないのでしょう。
でも、それでは、若い世代にとっては、遅すぎます。
待ったなしの状況なのですから。
去年行われたこのTEDのスピーチで彼女は、希望は必要だといいます。
でも、希望以上に必要なのは行動だ、と続けます。
いったん行動を始めれば、希望が生まれる。そう言っています。
本当にその通りだと思います。
同じくこのTEDのプレゼンテーションの中で、
グレタさんは、自身がアスペルガー症候群であることも公表しています。
彼女のスピーチを聴きたくてきている人を前に
先日の国連のスピーチよりも、落ち着いて話しています。
どうぞ、耳を傾けてみてくださいね。
わたしも、作品に同じ想いを込めて書き続けいます。
世間には届かないのかなぁと、元気をなくすときもあるけれど
彼女の言葉に、勇気をもらいます。
落ち込んではいられません!
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