キャラクター相関図〜手描きラフ原稿 ― 2019年06月03日 16:41
白猫のスーフィ〜メリサ号の21番目の乗組員 ― 2019年06月06日 17:35

キャラクターの名前や地名は、音が聞こえる感じで浮かぶことが多いです。
ルシタナとか、ジョサとか、ロンドロンドとか。
でも、黒のジョーやダン伯父さんの名前を、祖父母の犬の名前からとったように
れっきとした?由来のある場合や、まれに、別の方法で決める場合もあります。
『石と星の夜』に登場する猫のスーフィは、そのまれな例のひとつ。
この真っ白な猫は、茶葉運搬船メリサ号の21番目の乗組員。
船のネズミ退治という重要な任務を担っていて、
見習い水夫で20番目の乗組員、孤独な少年パコの良き友だちでもあります。
どんな名前がいいかなぁ。いつものように、音は聞こえてきません。
じゃあ、考えないとなぁ。白猫もパコと同じ水夫だよね、とぼんやりと思いました。
水夫、すいふ、スーフ、スーフィ・・・。はい、決まり。
スーフィは、人なつこかった先代と違い、パコにしかなつきません。
船長以下全員、一度は猫パンチを食らっています。
メリサ号の船長は海軍出身で、『石と星の夜』では、極秘で王室諜報員のローラン、
ミコルト、ステランの三人を乗せます。
このときローランは、仲間に打ち明けられない秘密を抱えていました。
彼がひとりで甲板にいるとき、スーフィが近寄ってきます。抱き上げるローラン。
ふわふわのスーフィは、孤独なローランの心を、ほんのひととき、あたためます。
スーフィを探しに来たパコは、スーフィが自分以外の人間に抱かれているのを見て驚き、
優しい人なんだな、と感じます。
スーフィとパコ少年は、『星水晶の歌』の初稿にも登場していました。
負傷して海岸に流れ着いたある人物を発見するというお手柄を立てるのです。
残念ながら、最終稿でそのシーンはカットになりましたが
(ただでさえ、上下巻で長いのですよね…)
黒猫のアイラとともに、わたしにとって、とても大切なキャラクター。
モノクロのスケッチを描いてみました。
色はつけなかったけど、瞳はきれいなブルーです。
あんずの季節 ― 2019年06月12日 16:34

ホトトギスの歌 ― 2019年06月14日 19:57
満月と木星 ― 2019年06月19日 20:27
スピリ〜サンザシ館の愛すべき料理人 ― 2019年06月24日 19:57

スピリは、サンザシ館の家政婦で、ディール家の人々を長年支えてきた女性。
日頃から、一家のために美味しい料理をこしらえますが、
少年たちが休暇で帰ってくると、はりきって、いっそう腕をふるいます。
働き者ですが、頑固なことといったら、村の医師ランス老先生と張り合えるくらい。
最初、人物相関図のキャラの中で、イラストを描くリストには入っていませんでした。
脇役だし、年齢不詳でひっつめ髪の年配の女性は素人が描くにはハードルが高すぎて。
それでも、最終的に彼女を描くことにしたのは、二つの理由からでした。
一つは、誰のイラストを入れるか話しあった時の、Webディレクター荒川さんのひと言。
「私的にはスピリのイラストはほしいですね」 …なぬ!?
もう一つは、熱心に何度も読んでくれた優しい友だちのひと言。
「一番好きなキャラはスピリ!」 …え??
……というわけで、どうにかこうにか描いたのがこのイラスト。
右肩の位置がちょっと高すぎたので、公式サイトのイラストでは、
デザイナーの畠山さんに、肩の位置を修正してもらっています。
わたしにとって、スピリは、登場人物の中でもっとも謎めいた人物です。
キャラクターたちはたいてい、自分の方からから、生い立ちや人柄をどんどん
明かしてくれますが、スピリだけは、いまもって何も教えてくれません。
東部の出身かな、とは思うのですが、いつどこで生まれ、いま何歳なのか、
どういう生い立ちで、どういう経歴なのか、恋をしたことがあるのかないのか
(たぶん、あると思うんだけど…)ほとんど何も。
だから、わたしも無理に聞き出したりせず、そのままにしています。
そして、なんだかそれが、スピリのスピリたるところかな、という気がしています。
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