虫愛づる姫君、熱き思いを語る2020年01月21日 20:19


名古屋昆虫同好会総会特別講演リーフレット
         ©名古屋昆虫同好会

友だちのお嬢さん弓女(ゆめ)ちゃんは、幼いときから虫が大好き。
虫愛づる姫君、あるいは、ナウシカといったところでしょうか。
親子で大自然の中を旅をするという話を、環境保護活動をしている友だちから
聞きながら、いつか会ってお話を聞いてみたいなぁと思っていました。

わたしは、ひとつのことに情熱を燃やす人にとても惹かれます。
(なので、物語の中でも、音楽を奏でていると、食事も睡眠も大事な約束も
ぜ〜んぶ忘れてしまう少年ジョサのようなキャラクターを描いたりします。)

弓女ちゃんは、日本で虫の研究が思う存分できるのは、生態学研究センターのある
京都大学だと知って、虫への思いを貫くために猛勉強して京大に進学。
イギリスの科学誌に論文が掲載され、ネイチャー・ニュースの取材を受け、
大学院卒業後は、スミソニアン研究所の研究員に。
現在は、愛媛大学大学院の助教です。

多忙で偉い人になっちゃったから、気軽にお話を聞くのはもう無理だなぁと
弓女ちゃんのためには嬉しいけど、自分のためには少し寂しく思っていました。
が、なんと、友だちから、弓女ちゃんが名古屋で講演するとのメッセージが!
しかも、姪の公演と同じ日で、会場はそこから徒歩圏内!
神さまは、なんて粋なはからいをしてくれることでしょう。

ところで、わたしは虫があまり得意ではありません。
子どものころは、青虫をとって(手でつまんだんですねえ。信じられないけど)
蝶になるまで育てたり、鈴虫を飼ったりしていたのに、
いつごろから怖いと思うようになったのかなぁ。
昆虫は、地球において、とっても大切な存在なのに。
(昔『ユリディケ』の物語が降ってきたとき、虹色の蝶が舞う光景は、ほとんど
同時に降ってきたのです。蝶の前はサナギ、サナギの前は幼虫だったわけですよね…。
それに関しては、ひとしきり考察をしたことがあるので、いずれ記事にします。)

そんなこともあって、弓女ちゃんが、どういうふうに虫を好きになったのか、
とても興味がありました。
それに、ひとつのことを溢れんばかりの情熱で愛する人の思いを
ぜひ聞いてみたいではないですか。
そんなわけで、わくわくしながら会場に向かいました。

お話はとっても面白くて、あっというまの1時間半でした!
最初に好きになったのは、蛾だったそうです。
なぜかっていうと、模様がとっても美しかったからだそうです。

「その模様を見ているだけで美しい。
街灯にむらがっているだけで美しい。
死骸が地面に落ちているだけで美しい。」

淡々とした語り口に、逆に、熱い思いがほとばしっているのが感じられて
蛾はあまり得意でないわたしまで、そうか、美しいんだ!と思えてきました。
そこから、どうやったら昆虫学者になれるか真剣に考え、今の道に進んできたそうです。
いいなぁ。まっすぐな生き方。まばゆいです。

そして、最も原始的な蛾、生きる宝石(!)と呼ばれるコバネガの研究をした京大時代。
コバネガと、コバネガが食べる苔を求めて日本や世界を飛び回ったそうです。

大学院では、苔を食べるアブを研究。捕食性のアブとは違って、
幼虫は、リーフマイナーといって(葉に潜る。文字通り、潜葉虫)植物の中で
植物の中を流れる液体を食べるのだけど、顕微鏡で見ると、食べてるときの目が
動いて可愛んです、と弓女ちゃん。
その映像を見せてくれたのですが、本当だ。つぶらな瞳が食べるのに合わせて、
ちょっとくるくる動くんですよね。なるほど、可愛いかも!

いままで知らない虫の世界を、新しい視点から(虫をこよなく愛する人の視点から)
見ることができて、興味の尽きないひとときでした。
本当にやりたいことはなにか、ということが大切だと学んだスミソニアン時代の
エピソードや、
変わった女の子だった自分を、両親はいつも応援してくれた、という
感謝の言葉にも、胸を打たれました。

これからも、植物の進化と虫の進化が、いかに互いにかかわりあってきたかという、
虫たちの背後にある見えない物語、生き物の多様性と進化の物語を読み解く研究を、
続けていきたいとのこと。
そんな彼女を、遠くからそっと応援していきたいです。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログのタイトルは「サラファーンの○ができるまで」です。
○に入る漢字一文字はなに?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://serafahn.asablo.jp/blog/2020/01/21/9204893/tb