アラン・ドロンとサラファーンの星2024年08月19日 20:40

アラン・ドロンが亡くなりました。
数年前に脳卒中で倒れて以来、体調を崩していると聞いていて、いつかはこの日が来ると
覚悟はしていましたが、やっぱり寂しいです。
中学生の時、人生で初めて、ファンになった「スター」だったから。

当時のアラン・ドロンの人気ときたら、本当にすごくて、映画雑誌の表紙を何度も飾り、
映画もたくさん公開されたり、テレビでオンエアされたりしていました。
日本のCMにも出ていました。レナウンのダーバン! 愛馬と一緒のが特に好きでした。

こんな美しい人がこの世にいるだろうかと信じられない思いでしたが、
美しさよりも、彼の翳りに惹かれました。
4歳のとき両親が離婚。母親に引き取られるも、母の再婚で里子に出され、
いくつもの学校を(問題児だったため)放校になり、
17歳で軍隊を志願、インドシナ戦争に従軍し、軍でも問題を起こしたそうです。
たぶんずっと、愛情を求めていたのだと思います。

恋多き人でしたが、5年に渡る婚約が破綻して、長すぎた春と言われた
ロミー・シュナイダーとのその後の逸話は、とても胸を打たれます。
別れたあともずっと気にかけ、ロミーの一人息子が悲劇的な事故で亡くなったときには
半狂乱のロミーに代わって、葬儀をすべて準備したり、その後ロミーが亡くなった際には
3日間棺に付き添ったと言われています。そして、葬儀は静かなものにしたいと
(メディアが騒がないように)自身は出席しませんでした。
ボディガードが他殺体で見つかったときには、殺人容疑がかかりました。
この事件は未解決のままです。
真実はわかりませんが、この事件が彼の人生に大きな影を落としたのは
間違いありません。
そんなところも含めて、謎多き人ですが、犬と馬が大好きなことでも知られています。
孤独な分、動物と心を通わせることができるんだなと感じます。

青春の1ページのアラン・ドロン。
高校生の時に書いた短編の一つは、彼をモデルにしています。
また、ずっと前、このブログに書いたように、サラファーンの星のダイロスのイラストを
描くときには、彼の写真をたくさん参考にしました。
ダイロスは金髪ですので、髪の色は違いますが、アラン・ドロンの翳りと冷たい美しさを
投影したイメージです。こちらが、モノクロのスケッチ。(本物の美貌には届かないけれど
精一杯描きました。)

ダイロス・スケッチ(部分)by fumiko

そしてもう一人。まだ記事にはしていませんが、いつか書こうと思っているキャラが
ロンドロンド。
アラン・ドロンの明るく純粋で繊細な一面を投影したキャラクターです。
俳優として、ルネ・クレマンやヴィスコンティなど、超一流の監督と仕事をした人ですが、
ヴィスコンティの『若者のすべて』は、本当にピュアで心やさしい若者を描いて秀逸です。
ロンドロンドのイラストを描くときも、無論アラン・ドロンの写真を参考にしました(が、
全然似ていなーい! とても難しかったです)。

特に好きな映画は『冒険者たち』。これも前にブログで書きましたが、ヒロインの
レティシアがとっても素敵で、ジョサの母親の名前をレティにしました。
日本版とアメリカ版は、エンディングでアラン・ドロンが歌う『愛しのレティシア』が
流れます。テノールの素敵な歌声です。(ロンドロンドは歌が上手で素晴らしいテノール)
フランソワ・ド・ルーベ作曲で、主題曲ともども、口笛が印象的な、一度聞いたら
忘れられない曲です。かつてはレコードを買いましたが、今はCDを持っています。

抗がん剤の副作用の痛みで眠れないとき、何度も聴いていました。
不思議と気持ちが落ち着くんです。
それで、彼はどうしているかなと思っていたのですが。
亡くなった直接の原因は公表されていませんが、悪性リンパ腫を患っていたそうです。
B細胞型。私が罹患しているガンと同じタイプのリンパ腫です。
彼は逝ってしまったけれど、私は頑張って治さなくちゃね!

今週、4回目の抗がん剤の投与を受けます。
その直前、訃報を受け、思わずこの記事を書かずにはいられませんでした。

たくさんのインスピレーションを与えてくれたアラン。ありがとう。
いまごろ、先に旅立った愛する人たちと再会して、喜びに包まれていますように。

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