フジコ・ヘミングさんを偲んで2024年05月02日 21:21

魂の演奏家と呼ばれたピアニスト、フジコ・ヘミングさんが亡くなりました。

去年、名古屋でのコンサートのチケットを買って、楽しみにしていたのですが、
怪我でリハビリに専念するため、オーケストラとのコンサートは延期になり、
その後、今年の5月(今月です)にソロコンサートが決定し(同じチケットが使える)
復帰を信じて待っていたところ、先月、中止の知らせを受けたところでした。
ご高齢なのでリハビリが大変なのだろう、早く回復されますようにと祈っていたので
今日のニュースは、本当にショックでした。
先月の21日に旅立たれたそうです……。

彼女を好きになったのは、彼女の愛するショパンがジョルジュ・サンドと暮らした
マヨルカ島を訪れたドキュメンタリーを見たのがきっかけです。
最初にシューベルトの即興曲(好きで好きでサラファーンの星のトレイラーに使った曲)
を奏でるシーンが流れ、私のイメージする即興曲!と心揺さぶられました。
他の演奏も本当に愛を込めて奏でられているのが伝わってきて、すぐにCDを探しました。

そうして買い求めたのが『COLORS』です。
5枚組で、ブックレットの最初のページはこんな言葉で始まっています。

「これまで私の録音されたものの中から
未来に残したいと思ったものを
じっくりと時間をかけて選びました。」

どれもずっと聴いていたくなるような珠玉の演奏で(ショパンのノクターン、
バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』、ドビュッシーの『月の光』、
ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』など、大好きな曲がいっぱい!
もちろん、シューベルトの『即興曲作品90の3』も。そして、
フジコさんの歌唱曲『Make it Home』も入っています。)、
心を込めて選んだのがわかります。

COLORS

いつか生の演奏を聴きたいと思っていましたが、叶いませんでした。
もっと早く知っていればよかったなぁ。

NHKで追悼番組があります。
5月4日 11時〜12時29分
「フジコ・ヘミング ショパンの面影を探して〜スペイン・マヨルカ島への旅〜」
(私が見たドキュメンタリーです)

5月4日 22時〜22時45分
「フジコ〜あるピアニストの軌跡」
(こちらは見ていません。録画予約しないと!)

フジコさんは若い頃、大切なリサイタルの直前、風邪から聴力を失ってしまい
長いあいだ、治療を続けながらの、不遇の時代を過ごしました。
『COLORS』には、そんななか、再起をかけてで頑張っていたころ、
ふと訪れた教会でもらった冊子にあった聖書の言葉がはさんであります。

「遅くなっても、待っておれ。それは必ず来る」

そしてフジコさんは、60歳を越してから認められ、聴力がもとには戻らないなかでも、
精力的にコンサートをこなし、世界中で愛されるピアニストになります。
公式サイトによると、復帰したいとの強い意志で、治療とリハビリに励み、
病室や病院内でピアノを弾かれたこともあったそうで、
3月に予定していたニューヨークのカーネギーホールでの公演や日本での公演を
楽しみにされていたそうです。

フジコさん、未来への遺産をありがとうございます。聴いていると心が洗われます。
神さまのもとに召されたフジコさんは、いまごろ、
ショパンやリスト、シューベルトやモーツァルトと一緒に演奏されているのでしょうか。

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