杏の花が咲きました2024年03月24日 22:10


名古屋大学の杏

友だちから、庭の杏(あんず)が咲いたとメールをもらって、名古屋大学の杏のことを
思い出しました。去年、名大に杏の木があると初めて知って、見に行ったのでした。
ネットで調べたら、今年の満開は14日だったと出ています。
大好きな杏の花を見逃す手はません! 急いで今朝行ってきました。
地下鉄の駅を降りて広場に出ると、博物館の建物の先に、淡いピンクの花が見えました。
あ〜よかった、間に合った!
地面には花びらがいっぱい散っていましたが、雨が降るなか、ご覧の通り、
可憐な花が、まだ半分ほど残っていました。

杏は花も実も大好きで、物語でもたくさん使っています。
『杏の花の咲くしたで』は、戦場の若者たちが、故郷(の恋人)を思って歌う歌です。
杏の花は、歌詞の二番に使いました。

村一番のべっぴんさん
鍛冶屋の息子に首ったけ
けれども平和が訪れて
いつか故郷に戻ったら
杏の花の咲くしたで
ぼくと踊ってくれるかい

いま、ウクライナやガザの戦場で戦う若者たちも、きっと故郷を、そして大切な人を
恋しく思っていると思うと、切なくなります。
世界中の戦争、紛争が、一日も早く終わるよう祈らずにはいられません。

戦争と平和と核と〜アカデミー賞に思う2024年03月17日 22:10

先日行われた第96回アカデミー賞授賞式で、日本の二作品がオスカーを受賞しました。
おめでとうございます!
長編アニメ賞の『君たちはどう生きるか』視覚効果賞の『ゴジラ−1.0』を含めて、
『オッペンハイマー』『関心領域』『実録 マウリポリの20日間』といった
戦争と平和、核の問題を考えさせられる作品が多く受賞したのは、今の世界情勢と、
それに対する人々の祈りが反映されていると言えるのではないでしょうか。

『ゴジラ−1.0』の山崎監督が、受賞後のインタビューで語っていました。
「ゴジラというのは戦争の象徴であったり、核兵器の象徴であるゴジラを
なんとか鎮める話だと思うんですけど、その鎮めるという感覚を世界が今欲しているの
ではないかな、それがゴジラのヒットの一部につながったのではないかと思います」

『実録マリウポリの20日間』の長編ドキュメンタリー映画賞は、ウクライナ映画として
初めてのオスカーだそうです。
チェルノフ監督は、そのことを光栄に思うと話したあとで、自分は、この壇上で、
この映画を作ることがなければよかったと言う初めての監督だろうと続け、
この賞をロシアのウクライナ侵攻と引き換えにできたなら……と、切実な思いを
静かな口調で吐露していて、胸がつまりました。

国際長編映画賞の『関心領域』も、深く考えさせられる作品です。
ホロコーストが行われているアウシュビッツ強制収容所の隣で平穏に暮らす一家を描く
静かな(そして、心理的にとても怖い)反戦映画。
受賞スピーチでは、去年のハマスによるイスラエルの奇襲や、その後のイスラエルによる
ガザへの報復に触れ、我々はどうやって抵抗すべきか?と問いかけ、
出演した女優さんが席で拍手をしながら涙を流す姿が見られました。

作品賞、監督賞を含め、最多七部門に輝いたのは『オッペンハイマー』。
主演男優賞のキリアン・マーフィは、スピーチの最後をこう締めくくっていました。
「この映画は原爆を作った人の話です。わたしたちは今も彼の世界に生きています。
この賞を、世界中のピースメイカー(平和を求めて努力する人、
平和をもたらそうと仲裁する人)に捧げます」
彼はアイルランド人。作品によって様々な顔を見せてくれる俳優さんですが、中でも
祖国の独立とその後の内戦を描いた『麦の穂をゆらす風』の演技が心に残っています。
そんな背景もあって、平和への思いは、とても強いのではないかと思います。

授賞式の翌日、クローズアップ現代で、ノーラン監督のインタビューを見ましたが
(オスカーを受賞する前にハリウッドで行われたインタビューです。)
10代の息子さんに映画の内容を話したとき、自分たちの世代は、核の脅威よりも
気候危機の方が差し迫った問題だ、というようなことを言われ、ショックを受けたと
語っていました。
その後、時計の針を逆に回したように、核の脅威が高まっています。
映画は、原爆の父と呼ばれる理論物理学者オッペンハイマーの視点で描かれており、
広島と長崎の惨状は画面に登場しないそうですが、
それでも、世界を破滅させる恐ろしいものを生み出してしまった、という
オッペンハイマーの苦悩、ジレンマは、映画紹介の画面から伝わってきました。

サラファーンの星四部作に登場する〈氷河〉は、核兵器のメタファーとして描いたこと、
『ユリディケ』を書いた時代、「地球温暖化」が叫ばれ始め、それも意識して描いたことは
このブログでも何度か書いていますし、本のあとがきにも書いた気がします。
そんな恐ろしい兵器を生み出した人物の心は、いったいどのようなもの
だったのか、物語を書き進めながら掘り下げ、体験していきました。
人物のバックグラウンドも、開発のきっかけも、世界も全く違いますが、
天才的な科学者が抱えるジレンマは、オッペンハイマーと重なるのではと感じています。

アカデミー賞授賞式を見たのは、たぶん、十数年ぶりです。諸々の事情で、
そんな余裕もなかったけれど、今回、気合を入れてWOWOWを入れ、久しぶりに見て、
自分がどれほど映画が好きだったかあらためて思い出しました。
物語を紡ぐようになったのも、幼い日、映画に恋したことから始まったのです。
4部門で受賞した『哀れなるものたち』も、とても好きな本、メアリー・シェリーの
『フランケンシュタイン』が下敷きになっているそうで、気になっています。
少し所用が重なり忙しい日々が続きますが、なんとかいろんな作品に足を運びたいです。

八重咲きの梅とメジロ2024年03月04日 15:10

昨日はひな祭り。散歩の途中、目の前をさっと小さなシルエットがよりぎました。
このサイズ。きれいな緑。メジロ!
そう思う間にも、目は自然と追っていて、すぐ横の満開の梅の木にとまったのを確認。
ド近眼で乱視、老眼の私の目。なぜか、こと鳥となると、イチロー並みの動体視力を発揮します(冗談です。でも、その瞬間だけ、いつもより良く見えるのは確かです)。
「写真撮らせてね」とそっとささやいて、先日のようにiPhoneでパシャリ。
八重咲きの梅は、八重揚羽かな。アゲハチョウのように大きいからその名がついたとか。
メジロは花の蜜を吸っています。
小さいから、見づらいかもしれません。クリック拡大するとわかるかな。

メジロ

私みたいに目の悪い人のために、黄色の丸で囲んでみました。

メジロ

この前のジョウビタキは、さすがに車だったから、写真は撮れませんでしたが、先週のヒヨドリや昨日のメジロは、長い間じっとしていてくれて(メジロは梅の枝から枝に移りましたが、基本的には同じ木でじっとしていた)、しばらく見ていられたので、よかったです。
野生の鳥が大好きです。だからかな、物語にもたくさん想像上の鳥を登場させます。

青い実をくわえてオリーブの木にとまるヒヨドリ2024年03月04日 14:16

先週のこと。母がリハビリをする間、整形外科の周りを散策していたとき、
目の前の歩道から、なにかくちばしにくわえて、慌てて飛び立った鳥がいました。
「あ、ごめんね」と言って目で追うと、道から少し入った大きなオリーブにとまりました。

青い実をくわえるヒヨドリ

とても小柄なヒヨドリでした。あまり小さくて(ツバメくらい)他の鳥かと思ったほどです。
でも胸元の模様や、頬が赤褐色でそうだとわかります。
口にはしっかりと、濃い青い実をくわえています。岐阜の実家の庭にもよく来ていました。
鳥たちにと、ミカンを餌台に置いておいたこともありますが、ジョウビタキやメジロなど
小さな鳥が食べていると、ヒヨドリがやってきて追い払って独占するので、やめました。
意地悪しないでよ〜と思ったものですが、こうして、人間(私)に気づいてあわてて
飛び立ったあと、葉っぱでいっぱいのオリーブに隠れたつもりで、じっとしている様子は、
とてもほほえましかったです。
撮らせてね、と心で言って、そっとスマホで一枚。この木の実、なんだろう。
オリーブには実がなかったから、オリーブではないみたいです。
上の写真では、クリック拡大しても、見づらいかな。こちらに矢印入れてみますね。

ヒヨドリと木の実

昨日は、今年初めてメジロに会いました。このあと別の記事でアップしますね。

立春に友を想う〜Friendship stays2024年02月04日 17:20

昨日は節分、そして今日は立春ですね。
名古屋は昨夜の雨が上がり、午後は晴れて、今はパステルカラーの夕焼け空です。

先日、半年以上連絡が取れないと書いた台湾の友人。
彼からの最後のクリスマスカードの言葉が、ずっと心にこだましています。

Everything comes and goes  but friendship stays.
なにごとも来ては過ぎゆく。されど友情は残る。

カードでもメールでも、いつも、友情に感謝するといっていた彼。
友情はずっと変わらないという温かなメッセージが伝わってきます。私たち家族こそ、
いつも忘れずにいてくれて、その思いに支えられてきました。

クリスマスカードには、毎年、タイプライターで打った英文のあと、
日本語のメッセージと彼の署名とが丁寧な手書きで添えられていました。
写真は先ほどの文章が書かれたところです。本来なら彼の同意を得て載せるべきですが、
連絡が取れないし、彼ならきっと、「いいよ」と言ってくれると思って
元気でいますようにとの祈りを込めて、立春の今日、アップします。

クリスマスメッセージ

被災地に早く春が来ますように。北陸の大地に、また、東北をはじめとする、いまだ地震や豪雨などからの復興の途上にあるすべての大地に。そして、人々の心に。

ブライアン・メイと虫愛づる姫君2024年01月26日 15:10


the big Issue Vol471

大雪、みなさんのところは大丈夫だったでしょうか。被災地が気がかりです。
実家は岐阜県大垣市にあったので、雪が降ると雪かきが大変でした。
関ケ原は近く、何度も行っていて、今回の立ち往生も他人事とは思えませんでした。
今後、気温が上昇する地域もあるそうで、雪崩などくれぐれも気をつけてくださいね。

こちらは発売中のビッグイシュー。クイーンのブライアン・メイが表紙です。
素敵なインタビューが掲載されています。フレディへの思い、ジョン・ディーコンヘの思い、
天体物理学者としての一面、政府の自然政策への批判、ゴールデン・ジュビリーの思い出、
伝説のライヴ・エイドのことなど、読み応えたっぷり。
もしクイーンが存在しなかったらどのバンドで演奏したかったかとの質問に、
たぶん、ビートルズと答えていたのにも、ぐっときました。

そして、表紙のブライアンの下のタイトル、「一期一会、新種発見」。
地球上の未知の生物を発見した5人の物語が載っています。そしてなんと、その一人が
友だちのお嬢さん! このブログの、2020年1月21日づけで書いた記事
「虫愛(め)づる姫君、熱き思いを語る」で紹介した今田弓女(ゆめ)さんです。
わあ〜、弓女ちゃん!!!と本当にびっくりしました。

2020年1月といえば、ちょうど四年前。名古屋の昆虫同好会の主催で、
名古屋で講演するとのことで、どきどきわくわくしながら行ったことを思い出します。
当時は愛媛大の助教でしたが、現在は、母校京大の助教になられて、本当に子どもの頃から
特に好きだった蛾の研究に身を捧げ、それだけで、すごいの一言。感動します。

ビッグイシューには、学生時代、これまでコバネガ(現存する最も原始的な蛾)の生息が
確認されていなかった東北の森をひとりで縦断し、”羽化前線”を追いかける形で、
新緑のブナの森に分け入り、新種を4種発見したエピソードが語られています。
ツキノワグマによる人身被害も出ており、リュックにスピーカーをつけてラジオを流しながら
また、一歩間違えば無職になるという不安も抱えながらの旅だったそうです。
それでも、6月のブナの柔らかくて白い毛に包まれた優しい緑の葉の美しさは、
いまだに忘れられないそうで、全身全霊で自然を感じていたんだなと思います。

弓女ちゃんは、フィールドワークを始めた13年前と比べ、
環境がすごい勢いで劣化しているのを感じるそうです。
この一年の間でも、通い続けてきた森の渓流沿いで、コケの量が半分になったとのこと。
コケの減少は、コケを食べる虫だけでなく、コケで巣を作る動物の繁殖にも影響します。
インタビューは、次の世代が生き物の世界は素晴らしいと目を輝かせることができるよう環境を守っていきたいというメッセージで締めくくられています。
心にしみます。
それは、今を生きる私たちすべてに課された使命ではないでしょうか。
今宵は満月。美しい月を愛でながら(SLIMの写真、JAXAが公開しましたね!)
地球の今と未来に思いを馳せたいです。

金星とアンタレスと台湾の友だちと2024年01月23日 20:03


金星&アンタレス

昨日の未明、ほのかに暁に染まる南東の空に、明けの明星がきらきらと輝き、
その右上には、蠍座のアンタレスが赤い光を放っていました。
肉眼でははっきり見えたのですが、写真でもわかるでしょうか。アンタレスは夏の星ですが、
見上げる時間によっては、こうして冬にも見ることができます。

先ほど夕刊を取りに外に出たときには、満月が近い月が大きく輝き
(JAXAの打ち上げたSLIMが、あんな遠いところにいるんだと、感じ入ります)
少し離れたところでは、木星がきらめいていました。

同じ空の下、被災地の人たちはどうしているだろうかと思います。
明日、明後日はこの冬一番の寒気が来るそうで、大雪が心配です。あまり降りませんように。

そして、この半年ほど、ずっと心にかかっている友だちがいます。
昔、家族で台湾を訪れた際、父の友人が案内してくれたのですが、その方の息子さんです。
父の友人も父も亡くなりましたが、クリスマスカードをやりとりしていた親の世代に代わり、
クリスマスカードやメールを交換するようになりました。
とても繊細で素敵な英語を使う人なのですが、その彼からのメールが途絶え、いつも12月の最初には届くクリスマスカードも、届きませんでした。十数年で初めてのことです。
その後、何度かメールをしたのですが、メールアドレスが使われていないとのことで、戻ってきてしまいました。
私より少し年上で、ショートメッセージは使ってないそうで、電話番号は聞いていません…。

台湾の総統選挙では、彼が応援している与党が勝利して、そのことは母と喜んだのですが、
彼自身はどうしたのかなと、二人で心配しています。
どうか、どこかで無事に過ごしていますように、そして、いつかまた連絡がとれますように。

夜明けと明けの明星2023年12月14日 06:41

昨日の日中は雲ひとつない青空が広がっていましたが、夜にはうっすら雲が出てきました。
流星が見られるだろうかと思いながら、お風呂から出た10時ごろ窓からのぞくと、
その瞬間、輝く流星が南東の空にすーっと落ちていきました。わあ、間一髪間に合った。
外に出てみると、星が流れてきた上に、ふたご座が輝いています。まさに放射点から
流れてきた星。(流星は空いっぱい広い範囲で飛ぶから、これまで、ぴったり放射点から
飛ぶ星を見ることは、私はあまりありませんでした。)

未明に起きたときには、もっと雲が出て、目の端をかすかに流れた星が二度見られた
だけでしたが、東の空が茜色に染まり、徐々に水色に変わりゆく空にも、つい先ほどまで、
明けの明星が輝いていました。現在マイナス四等星ですから、本当に明るいのです。
そして、これを書いている7時前、朝日が登ってきました。いくつもの雲を金色に輝かせて。
夜明けはいつも、希望を感じますね。悲しいときでも、寂しいときでも。

こちらは、夜明け前の空と金星のショットです。クリックすると、金星がみえるかな…。
夜明けと明けの明星