りんごが小さな実をつけました ― 2023年06月01日 19:36
手紙と夕焼け ― 2023年06月09日 23:55
今年も杏ジャムを作りました ― 2023年06月25日 15:30
初めて手作りの杏ジャムを口にしたのは、ずっと昔『ユリディケ』を出版する前後、
友人たちと埼玉の美しい清流沿いを旅したときのこと。
その小さな町には友人の友人が住んでいて、彼女の家でお茶をした際、杏ジャムをたくさん
作ったからと、いただきました。新鮮で甘酸っぱく、ものすごく美味しくて(市販のより
甘さ控えめで)、みんなでこんな杏ジャム食べたことないねと話したら、
「あら。簡単よ。杏と砂糖と煮るだけ」と、作り方を教えてくれて、全員にお土産として
小さなタッパーに分けてくれました。
その味が忘れられず、翌年、信州の果樹園を探して、杏を取り寄せ、ジャムを作りました。
こんな不器用者にもできるのか?と半信半疑で。
そうしたら! ちゃんとできたのです。
杏に切り目を入れて、くるっとひねって種を取り、鍋に入れてグラニュー糖をふりかけ
(長持ちさせるには杏の量の50%だけど、わたしは少なめにします)一晩置いて火にかけ
アクを取りながら煮るだけ。そっとかきまぜるのがコツです(果実感が残るから)。
その後、姪と甥が生まれ、ふたりとも杏ジャムが大好きになり、ほぼ毎年作るように。
今年は杏の出来がよくないと聞いて心配しましたが、なんとか2キロ手に入り
まずは、よく色づいた半分を糖度33度で作りました。
少し手間なのは、このアクを取る段階だけ。5分もすればきれいになります。
まだ熟していなかった分は、数日後、色づいてから28度で作りました。
酸味が強いので、ヨーグルトによく合います。
埼玉の清流を訪れた時、一緒にいたのがイタリア人のジュリアーノさん。
『ユリディケ』の印税をぜ〜んぶはたいて5週間ヨーロッパを旅したとき、
イタリアを案内してもらい、フィレンツェでは彼の知っている修道院に滞在。
生の杏がデザート用に食卓にでていて、陽気なシスターたちと、毎日いただきました。
そのさわやかさも忘れられません!
そうしてますます杏大好き人間が出来上がり、〈サラファーンの星〉シリーズでは、
杏は欠かせないアイテムとして物語に出しちゃいました。
そのまま食べたり、ジャムにしたり、「カシェル」という郷土料理にも使ったり。
杏の最も重要なシーンは、「ミンカ」という焼き菓子に使われるところ。
幼い頃にさらわれた少年(盗賊の親方に命を救われ、やがてあとを継いで黒のジョーに)
の母親(ヨハンデリ夫人)が作ってくれた「おふくろの味」です。彼は2歳だったので
焼き菓子のことは覚えていませんが、その香りはしっかりと心に刻まれています。
杏は、新バージョンの『ユリディケ』でも使いました。
ユナとレアナの家には、杏の木があるし、エンディング近く、リーが杏入りの
焼き菓子「ミンカ」に目を輝かせるシーンを入れました。
リーは黒のジョーの生まれ変わりなので、絶対にこれが好きだなって思って。
ヨルセイスが、その昔エルディラーヌに渡った人たちから教わったと言っていますが、
教えたのはもちろん、ヨハンデリ夫人。
そんなことを新バージョンにひそませるのも、楽しかったです。
(犬好きですがーーなかなか事情があってかえません(T_T)ーーもしいつかわんちゃんに
ご縁があったら、「あんず」って名前にしちゃおうかな〜)
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