『ユリディケ』エピローグ裏話Part12022年08月30日 17:01

裏話となると、四部作を含めて、スポイラーになってしまう箇所もありますが、
エピローグに関しては、それほど気にならない部分かなと思っています。
(注:これは作者の独断で、あまり当てにはなりません。
というのも、わたしは、映画でもメイキングとか見たあとで本編を観て
あ、これはあんなふうに撮ったシーンだ!と思うんだけど、たとえば、妹などは、
絶対になにも知らないで観たり読んだりしたいそうで、わたしが少しでも
話そうとすると、「あ〜〜! 言っちゃだめ〜〜!!」と耳をふさぎます。)

さて。まずは、エピローグの新バージョンと旧バージョンについてですが、
新旧ともに、第一章と呼応させている構成は、同じです。
舞台はユナの故郷クレナで、レアナのシーンで始まり、ユナの帰還で終わります。
最後、ユナが風に吹かれて、世界との一体感を感じているところも、まったく同じ。
このシーンは、昔、最初に『ユリディケ』のアイデアが浮かんだときから
はっきりと映像が見えていたので、変えられない部分でした。
(派手さは全然ないんですけど。)

そのほかの部分は、ほとんど変わりました。
〈サラファーンの星〉四部作を書いたあとでは、このエピローグが
すべてのエンディングともなるわけで、
(もっと大きな意味では、おそらく、40章からエピローグまでを
エンディングと呼ぶべきかもしれませんが)
やっぱり、四部作で切ない別れをした友だちとは、めぐり逢わないとね!
というわけで、
復活してほしいと願っていたキャラクターを登場させました。
『ユリディケ』は、2千年前の世界の終わりを乗り越えた、
あらたな希望の物語だから。

そこで、四部作を読んでいる人には、そうだとピンとくるように、
また、今作だけ読んだ人には、とってつけたようにならないように描くよう
心がけました。
(そうなってるといいのですが……。とにかく、そんなわけで、
エピローグは早くから取りかかり、何度も書き直していました。その過程で、
バドとディーンは、第4章から名前だけさりげなく入れてみました。)

ピンと来てもらうにはどうするか?
最も単純な方法として、四部作と同じ名前にしました。
主役たちは、ユナ(=ルシタナ)やレアナ(=リーヴ)ルド(ウィルナー)
など、名前がほとんど変わっているのですけれど、
エピローグは短く、想像がしづらいという問題があります。

なので、バドはバド。シャスタはシャスタ。ジョサはジョサ。
ディーン先生はディーン先生。
そして、犬のチェスターはチェスターです♡

バドとシャスタは、2千年前、ヒューディとレアナの親友でした。
バドは通信兵として、シャスタは看護師として戦場に行き、
レアナたちとの再会を願っていたのに、叶いませんでした。
それがとても切なくて、『ユリディケ』の改稿の際には、
絶対に会えるように、と決めていました。

バドとシャスタの外見も、わかりやすく、前と同じにしました。別に
同じにしなくてもいいんだけど、まずは、この二人が出逢ったときに、
お互いにわかりやすいほうがいいし。
どちらも熱い人たちだから、お互いを見つける前に、
うっかりほかの人に恋しちゃってもいけないしね。

いざ書いてみると、バドは思いのほか、うっかり者ではありませんでした。
明るいし、やさしいし、面白くて、人気あるだろうし、
付き合った女の子はいただろうけど、家につれて来て紹介するほどの彼女は
いなかった。レアナが、バドが友だちのことを話すのを聞いて、
男友だちだと勘違いするほどに。
心配することはなかったなぁ。

四部作では、みんなのお気に入りのお店が出てくるんだけど、
(バドとシャスタが最初に出逢う場所でもあります)
そこの「ファゼ」というデザートはシャスタのお薦めです。
(ファゼって、『ユリディケ』一番の食いしん坊の名前に似てますね。)
リーヴ(レアナ)との別れの日にもシャスタと二人でオーダーする
そのなつかしのデザートのことも、新エピローグに、ちらっと入れました。
(どんなデザート?と思われたら、公式サイトのWorldページの
自然と暮らし〉コーナー食べ物のとこをチェックしてみてくださいね。
こちらから飛べます。)
↓↓

バドの父、ディーン先生も、四部作で非業の死を遂げてしまったので
どうしてもまた会いたくて、登場してもらいました。
実際に出てくるシーンはなくて、会話の中だけですけれど。
奥さんは、もちろん最愛のエリーです。
バドとシャスタは、かつて、戦場でいろいろと悲惨な経験をしたと思うんです。
今回、二人が医師の道を選んだのは、そんなことがあったからかもしれません。

ジョサやチェスターのことなど、また次回、裏話Part2に書きますね。

私事ですが、家族の一番の懸案事項が、頼れる相談員さんのおかげで解決しました。
本当に、彼女をはじめ、たくさんの人に感謝の気持ちでいっぱいです。
まだ妹の病気や自分自身の心身の問題などありますが、よき精神科の先生のもと、
通院を続けて、看護師さんの訪問看護も受けながら、
少しずつ、元気を取り戻していこう思っています。

コメント

_ T.Sato ― 2022年09月02日 06:48

ユリディケ、本当にすばらしかったです。
サラファーンの星に最初に出会って、2000年後がどうなっているか知りたくて図書館に走り、ユリディケを借りて読んだときを思い出しました。
でも、そのときに読んだユリディケ以上に感動しています。
本当に本当によかったです。
ホームページ上で公開してくださって本当にありがとうございました。
もう一度ユリディケ全章を読みなおしてみようと思います。
きっとまたわくわくドキドキしそうです。とても楽しみです。

_ fumiko ― 2022年09月02日 21:16

T.Satoさま
ありがとうございます。
旧バージョンを読まれている方がどう思うかなと心配だったので、
そう言っていただけると、ほっとするし、とても嬉しいです。
(旧の方がいいと言う方もおられるでしょうし、
もちろん、それは人それぞれでいいと思っているのですが。
読んだ人の数だけ物語はありますものね。)

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