エピローグ裏話Part22022年09月03日 13:36

『ユリディケ』旧バージョンのエピローグでは、レアナの生徒のひとりが、

戦争で行方不明になっていた兄が戻ってきた!と伝えるシーンがあります。

彼はピアノが上手で、重傷を負って捕虜となり、片目を失っていました。

名前はジェナス。

胸を痛める妹に、もう片方の目を失ってもピアノは弾けると笑う健気な少年で、

音楽院への進学が決まっています。


〈サラファーンの星〉では、ジョサという名で主役のひとりとして登場。

今回は、ユリディケでも、わかりやすく同じ名前で出てもらいました。

音楽院への進学が決まっている、というところはそのままに、

重傷を負ったなんていう悲惨な話はなしで(2千年前、充分辛い目に遭ってる)

レアナとヒューディとの再会を予感させる展開にしました。

四部作では、ヒューディが、ジョサと気持ちを通わせられないまま、

別れてしまって、彼の心残りになっていたので、

今回は最初から幸せに出逢ってほしい。そんな思いを込めました。


犬のチェスターは、旧バージョンのエピローグでは、白いふわふわの子犬で、

レアナの生徒が家からこっそり学校に連れてきています。

名前も出てきませんが、四部作を書くときに、どうしてもこの子が気になって、

ヒロインのリーヴ(レアナ)と一緒にいる薄茶色の犬のイメージが浮かび

彼女の犬になりました。

『星の羅針盤』のプロローグ、第一ページ目から登場します。

(白い子犬ものちに登場。こちらは、両親の知人に起こったとある事件から

生まれたキャラです。)

 

ルドウィンとチェスターの関係も、改稿版エピローグの密かなポイントです。

四部作では、ルドウィンとレアナは兄と妹で、チェスターはルドウィンのことも

大好き。

彼が帰省するたびに、大喜びで飛びつきます。

そのときの、ルドウィン(ウィルナー)の決り文句が、

「やあ、チェスター。元気だったかい?」

なので、今回もルドウィンに、「やあ、チェスター」は言わせたく、

「チェスター!」と名前を呼ぶレアナのセリフを、その前に入れました。


ただ、そうでなくとも、ルドウィンは、

2千年前の愛犬を思い出していたんじゃないかな

今回彼は、エレドゥ峡谷で九死に一生を得たあと、暗黒の洞窟を旅しています。

それは、暗くて狭い産道を通ってふたたび生まれるような体験でもあり、

そのあいだに、過去のことをいろいろ思い出しただろう気がするのです。

そう考えると、チェスターのことも、なんとなく思い出しているのかなって。


一方のチェスターは、もちろん彼を覚えています。

犬は人間よりずっと鋭いですからね(と、犬好きのわたしは思っています)。


ルドウィンとチェスターにとって、これが待ち望んだ再会であることは、

ユナには全然わからなくて、チェスターの喜びようがなんだか微笑ましく、

「まるであなたの犬みたい」と笑うのだけど、

ヨルセイスはわかっているので、温かく見守っています。

(彼の視点を入れるとうるさくなるので、書いてないけど、きっとそう。)


ヒューディが旅の途上で見出した馬のアンバーは、2千年前の彼の愛馬です。

レアナにとっても、大切でなつかしい馬なのですが、

エピローグに書いている範囲では、ヒューディとの再会に胸がいっぱいなので

アンバーに気づくのは、ずっとあとかな…。

アンバーも、恋人たちに気を利かせて、近くで草をはんでいます。


大型の台風が北上しています。

皆さまどうぞくれぐれも気をつけてお過ごしくださいね。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログのタイトルは「サラファーンの○ができるまで」です。
○に入る漢字一文字はなに?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://serafahn.asablo.jp/blog/2022/08/31/9522252/tb