インディ・ジョーンズと運命のダイヤル2023年08月06日 13:50


インディのパンフ

インディアナ・ジョーンズが帰ってきました!
学生時代に第1作を観てから40年。
最初、5作目ができると知った時には冗談かと思いました。
ハリソン、御年79歳。(いまは誕生日が来て80歳!)できるのかな?と。
けど、冗談じゃなかったんですね。

1作目から観ていたファンとしては、これだけは大画面で観ないと!というわけで、
調子を崩してから一年半行けていなかった映画館に、気合入れて行ってきました。
パンフレットもゲット。表紙がとってもクールで感動(上の写真です)。
中身もぎゅっと詰まっていて、読み応えもたっぷり。最近は世界同時公開で
観てから作れないこともあり、中身のないパンフレットも多々見受けられますが、
これは力が入ってました。シリーズを知らない人のために、それぞれを見開きでまとめて
あるし、コンセプトアートやインディのパスポートの写真まで載ってます。

4作目はいまひとつだったけど、最後を飾る今作は、役者と制作者の思いのこもった
まさにファンのための映画といえる作品で、一作だけでも家族で楽しめる映画ですが、
シリーズを知っていると楽しみが増す心憎い仕掛けが随所にちりばめられています。

1作目と3作目がナチスドイツが敵役の第二次大戦を背景にしたもの(2作目は1作目の
前の年にさかのぼる)。4作目は1950年代の冷戦下(別れた恋人マリオンとのあいだに
息子がいた!という設定)。
今作『運命のダイヤル』では、インディは大学教授を退職します。
時は1969年。
アポロ11号が人類初の月面着陸を成功させ、ちょうど教授の座を退く日に、ニューヨークで
凱旋パレードが行われます。ベトナム戦争真っ只中で、若者たちは反戦デモで抗議をし、
ロックンロールに夢中です。
インディのアパートメントの下の階から聞こえる音楽は「マジカル・ミステリー・ツアー」。
ヒッピーの若者が大音響でレコードをかけているのですが、タイトルが、
これから起こるインディの旅を思わせます。

お決まりの小道具は、今回も大活躍。トレードマークの帽子と鞭ももちろん登場。
帽子はお守りのようなもの。この帽子の由来は、3作目『最後の聖戦』で描かれています。
このとき少年時代のインディを演じたのがリヴァー・フェニックス。
インディのパパをショーン・コネリーが演じて豪華でした。ふたりとも、残念ながら
もうこの世の人ではないけれど、1作目にエジプトで発掘を手伝い、
3作目にも登場したサラーは、ニューヨークに一家で移民し、今作でも登場します。
嬉しい再会。(ジョン・リス=デイヴィス。「ロード・オブ・ザ・リング」のギムリです。)
いつものお約束の地図ーーインディが場所を移動すると、その軌跡を矢印でたどる
古風な地図と古風な演出もそのままだし
インディが馬で駆けるシーンも登場(NYの街と地下鉄構内&線路!)、
インディが大の苦手とするヘビは、ちょっと形を変え、オオウナギとして登場。

今回のヒロイン(インディの親友の娘で、インディが名付け親)の相棒は、もとスリ。
2作目『魔宮の伝説』でインディがスリの少年を、大切な仲間にするくだりを思わせます。
『魔宮の伝説』のショーティ(キー・ホイ・クアン)は、今年度のアカデミー助演男優賞を
『エブリシング・エブリウェアー・オール・アット・ワンス』で受賞したんですね。
(街を歩いていると『エブリシング〜』に出てた人だねといわれるそうですが、いまだに
『インディ』に出てたショーティだね?とも声をかけられるそうです!)

インディ映画のオープニングには、毎回、物語の発端となるエピソードが出てきます。
学生のころ映画館で、『レイダース 失われたアーク』の予告編で大きな岩がごろごろと
ハリソンを追いかけてくる予告編をみたときの強烈な印象は、今も鮮明に覚えています。

今回は、第二次世界大戦さなかの1944年、ナチスの手から考古学の貴重な発掘品を
インディが取り戻そうとするエピソードが描かれますが、そのシーンのハリソンの若いこと!
25年の歳月をどうやって若返らせたのか不思議でしたが、パンフレットを読んでびっくり。
ルーカスフィルムが保有する40年前に撮影したインディと『スター・ウォーズ』のフィルム
(映画には使われなかったものも含めて数百時間分)を検索し、画角や明るさなどが
一致するショットを発見できる技術を使ったそうです。
今回ハリソンは実際にそのシーンを演じ、それに過去のフィルムの顔をあてはめる作業です。
セリフもハリソンが話していて、若い頃と比べて、いまは声のトーンが低くなっているから、トーンを高くするよう心がけたそうです。
みていて全然違和感がなかったので、舞台裏を知って、本当に驚きました。

アントニオ・バンデラスがインディの親友役で出ていたのも嬉しいサプライズでした。
彼、『デスペラード』や『マスク・オブ・ゾロ』での、南欧の濃い色男というイメージが
あったのですが、すごくいい感じに歳を重ねていて、パンフレットをみるまで、彼だと
気づきませんでした。渋かったなぁ〜。こんなふうに成長できる俳優さんって素敵です。

『運命のダイヤル』(the Dial of Destiny)というタイトルだからこその演出もありました。
これはさほどネタバレってことにならないんじゃないかな(注:一番最後に、ネタバレかな、
と思うことーーこの映画の大好きなシーンのことをひとつ書くから、これから観ようと
思っている人は、そこはスルーしてくださいね)。
インディとヘレナ(ヒロイン)が洞窟に入って、「音が一番響くところ」を探すシーン。
なにか歌って試そうと、ふたりがともに口ずさんだのが、ベートーベンの『運命』。
「ババババーン! ババババーン♪」
(ベートーベンの交響曲、英語でもDestinyってタイトルです。)私の頭では『運命』の冒頭は
ダダダダーン!なんだけど、母に話したら、「私はババババーンよ」と。そうなんかなぁ。

スピルバーグとルーカスがタッグを組んで生み出した、ある考古学者の冒険物語。
今回スピルバーグとルーカスは製作総指揮で、監督はジェームズ・マンゴールド(インディの
世界観をしっかり受け継いでいます)。『3時10分、決断のとき』や『ナイト&デイ』
『フォードVSフェラーリ』など、私も大好きな作品の監督さんです。
音楽はもちろん、ジョン・ウィリアムズです。こちらは御年90歳!

『スター・ウォーズ』を見たときからハリソンのファンですが、『スター・ウォーズ』も、
もう作らないのかなってあきらめていたら、しっかりハリソン出演でシリーズが完成したし
(でも、ちょっとハン・ソロの運命には納得できない…)、インディの壮大な物語が
素敵なエンディングを迎えて、とてもうれしいです。
インディの長年の旅路には、ほろ苦い面もたくさんあります。
前作に出ていた息子が出てこないな、と思っていたら、ベトナム戦争に出征していたり、
教授としての人生を華々しく終えたわけではなかったし(引退のシーンもささやかです)、
妻とは離婚協議中で別居している、一人暮らし。
そんなふうに始まるところも、なんだかよかったなと思います。最近のアクション映画に
よくあるように、これでもか!と激しいシーンが続く、ということはなく、
ちょっと静かなシーンもあって、そういうところでは、オールドファッション人間としては
ひと息つけて、ほっとします。

文面からすぐにわかると思いますが、この映画だけではなく、ハリソンのファンです。
(とはいえ、映画三昧できた若い気軽な身分の頃、彼の映画は片っ端から観ていましたが、
その後はそうでもないので、それほど忠実なファンとはいえないかもしれませんが。)
で、映画三昧していた当時、『ママはシングル』という小説を書き、ママハリソンの
大ファンにしました。自分のことは(周りの人も)小説のモデルにはしませんが、
ハリソンのファンで広告代理店勤め、ということは、キャラクター設定に使いました。
寝坊して起きないママに、娘が、「ハリソンがテレビに出てる!」と嘘をつき、
「え? どこどこ?」とママが起きてくる、というシーンに。
(当時の私も絶対そう言われたら飛び起きてます。)

インディは考古学的に貴重な品を探しているけれど、彼の精神はつねに(本人はおそらく
意識していない)世界の真の平和のために、そして、ささやかな日常のために、
命を張っています。(そして、その活躍は、世間には知られていません。)
今日は広島に原爆が投下された日。地球に生きる人間として、忘れてはならない日です。
核を使われる危険が、これまでになく現実味を帯びて感じられる今、わたしたちは、
核兵器は抑止力にはなりえないと悟り、未来の世代に少しでも良い世界を手渡さなければ。
その思いを新たにしながら、犠牲になった方々のご冥福を祈り、平和への祈りを捧げます。

☆    ☆    ☆

最後に。『運命のダイヤル』で、お洒落で素敵だなって、心が温かくなったのが、
マリオンとのシーン。(ネタバレ注意)

『レイダース 失われた聖櫃(アーク)』での、有名なキスシーンの再現です。
同じセリフを使っていて、ぐっと来ました。やっぱり、こうでなくちゃ!
そして、世界は「争い」ではなく「愛」でできていると信じたいです。

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