『アド・アストラ』〜父を探す孤独な旅の果てに2019年09月19日 14:53

映画『アド・アストラ』より

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映画『アド・アストラ』の試写会に行ってきました。

舞台は近未来。主人公は、ブラッド・ピット演じる宇宙飛行士のロイ。

地球外知的生命の探索に向かって消息を絶った父を探すため、

遙かなる宇宙空間へと旅立つロイの、長く孤独な旅路を描いた壮大な物語です。

 

どんな任務も完璧にこなし、いかなる状況でも冷静で優秀なロイですが、

同じく宇宙飛行士だった父は、家庭を顧みることはなく、

母はそのために心を病み、ロイ自身も、深い孤独を抱えています。

 

彼は、伝説の宇宙飛行士である父が、実は生きており、

海王星で人類の脅威となる実験をしていると聞かされ、

その暴走を止めるという極秘の使命を帯びて、宇宙へ送り込まれるのですが、

父を探すミッションは、思わぬ危機の連続。

最後まで、何が起こるかわからない展開で、まるで自分が探索の旅に

出ているような錯覚にとらわれました。

 

冒頭の、国際宇宙ステーションから見る、息を呑むような地球。

月の基地や火星の基地も、宇宙の旅の途上のさまざまなトラブルも、

驚くほどリアルです。

宇宙が好きな人にとっては、もうそれだけでドキドキしっぱなしでしょう。

 

人類はどうあるべきか、科学のあり方、文明のあり方は、といったテーマを

深く追求し、父と子という個人の物語をも内包して、

台詞を最小限に抑えた静かな作品は、澄んだ水のように、心に染みます。

 

明日9月20日(金)から全国ロードショー公開。

『ゼロ・グラビティ』や『オデッセイ』も、宇宙空間での主人公の孤独が

ひしひしと感じられましたが、『アド・アストラ』は、もともと人との関係が

うまく築けないというロイのキャラクターによって、その孤独はいっそう際立ちます。

言葉を失うほどの圧倒的な映像と、暗黒の中の限りない孤独を肌で感じるには、

ぜひ、大きなスクリーンでご覧くださいね。

コメント

_ ita3 ― 2019年09月22日 03:04

はじめまして。私は「あなたを信じる人が世界にたった一人でも」で触れてていただいた仙台の友人の義弟です。私は東京在住ですがお盆に田舎に帰った時に姉から「サラファーンの星」を勧められ帰京後紀伊國屋書店で初版本を買い求め早速読み始め一昨日読み終えたところです。最終巻Ⅳ下の冒頭から感動でした。一気に読み終えてあとがきをみると「ユリディケ」をwebサイトで立ち上げるとあり検索してこれも一気に読み終えたところです。続きを見たいと思い絶版になった「ユリディケ」を検索しましたが近くの図書館にはないようでした。毎月の更新を待つしかないようですね。
実は今日『アド・アストラ』を観てきたところです。そのあとこのブログを初めて目にして不思議な縁を感じてコメントしている次第です。
「サラファーンの星」を読んでいて登場人物の相関図が欲しいと思っていたのですが出来ていたんですね。文庫本の帯にでもWebサイトの情報があれば良かったです。
「サラファーンの星」の登場人物は皆魅力的ですがとりわけリーヴが気になる存在でした。ルシタナの夢に現れたりしたので最後はリーヴがなにか重要な働きをするのではないかと期待していましたがわたしの期待とはちがっていました。「ユリディケ」にも登場するのでしょうか、楽しみです。

_ fumiko ― 2019年09月22日 17:51

ita3さま

はじめまして。というか、ご無沙汰しています。
すごくびっくりして、思わず仙台の友だちにメールしてしまいました!
(お兄さまと彼女の披露宴でお目にかかっていると思います。)

四部作と「ユリディケ」を読んでくださったとのこと、ありがとうございます。
Webサイトのこと、帯に記載がなくすみません。わたしも載せて
もらいたかったのですが、帯は出版社サイドで製作しており、
タッチできないのです。当時サイトができていたら、頑張って
少し押せたかもしれませんが…。

リーヴは、「ユリディケ」では、あまり出番がないのですが
(楽しみにしてくださっているのに申し訳ないです)、
リーヴなど四部作のキャラクターが登場する短編をいつか書く予定です。

「アド・アストラ」初日にご覧になったのですね。
お兄さまご夫妻はJAXAの近くに住んでおられたので、なんだか
それも不思議ですね。

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