薬草使いの少年Part2 ― 2022年09月30日 13:47
今回は、リーのお話の二回目です。
二千年前。
リーが黒のジョーで、グルバダがダイロスだったころ、
大いなるダイヤモンドのほかにもうひとつ、
ダイロスが探し求めていたのがありました。
それは、紫の菫石(すみれいし)が中央にきらめく美しい額飾り。
その時代からさらに二千年さかのぼった古代アルディス王国で、
国王が花嫁に贈ったという伝説の額飾りです。
ダイロスはその国王。
黒のジョーは、竪琴を奏でながら、愛と平和を歌う詩人でした。
そして、王の侵略戦争を止めようとして、処刑されます。
ユナが夢で逢うリーの姿は、この愛の詩人アローディのイメージ。
〈サラファーンの星〉の第一部、竪琴を奏でて歌う若者の夢を
リーヴ(レアナ)が見るのですが、そのシーンと重ねました。
さて。愛の詩人だった前世など、とんと覚えていない黒のジョー。
盗賊仲間と、伝説の額飾りのありかを見つけたものの、
ダイロスの放った灰色の騎士の襲撃を受け、
仲間を全員殺された上、地下牢に入れられるはめに。
このときの盗賊仲間、ひょろりとした若者ジジは、
ジョージョーを思って描きました。
黒のジョーと仲間たちは、盗賊の親方から兄弟のように育てられ、
(ジョーはひとり生き残ったことで自分を責めていたけれど)
お互い会いたかったに違いありません。
『ユリディケ』の改稿は、彼らが自然な流れで会えるようにと
思いながら進めて、最後も、リーとジョージョーが、
しばらく一緒に過ごせたらいいな、と思いました。
ほかの仲間とも、いつか会えるといいな。
ところで、黒のジョーは幼いころ、旅芸人の一座にさらわれ、
その後、盗賊の親方にひろわれて、教育(?)を受けるので、
盗みの腕はピッカピカ。
リーとして生まれ変わっても、その腕は健在で、
迷宮跡に強制連行されたあと、大いに役に立つことになります。
そのことがわかるリーのセリフが、こちら。
(物語中には、入れるところがなくて、カットしました。)
「村にいたころ、旅の一座がやってきた。
実際は、旅芸人をよそおった盗賊団で、芝居とそのあとの宴のあいだ、
一座の裏方が密かにみんなの金品を盗んでまわった。
ぼくはそれに気づいて、反対に、一座の持ち物をくすねてまわり、
やつらが盗み出したものが入った麻袋の中身と入れ替えておいた。
やつらは二度と戻ってこなかったよ。
お祖母ちゃんはいった。わかっていておくびにも出さないとは、
手強い村だと思ったのだろうって。
たぶん村の人たちは、いまでも彼らを旅芸人の一座だと信じてる。
ぼくがしたことに気づいたのは、お祖母ちゃんだけだったから。
お祖母ちゃんはいったよ。おまえがあの一座についていったら、
将来さぞ優秀な座長になったに違いないって」
リーの大好きなお祖母ちゃん。
自然の中を歩き回ったり、家の外回りの仕事もするから
日焼けして魅力的なしわがたくさんあって、長い白髪をさらりとまとめて、
凛とした女性が、いつも頭に浮かんでいました。
(近いのが、ヴァネッサ・レッドグレイブのイメージ。
映画や舞台で主役を何度も演じ、アカデミー賞など受賞歴も華やかだけど、
『ディープ・インパクト』や『つぐない』の脇役も印象的です。)
広くやさしい心の持ち主ですが、主張すべきことはきちんという人物。
両親を早くになくしているリーたちには、唯一の肉親。
そんな祖母を目の前で兵士に殺され、リーは怒りのあまり、
兵士に立ち向かって、こめかみに深い傷を負います。
その後も、くっきり残ることになるその傷痕は、
黒のジョーのこめかみの傷痕と重ねました。
(ジョーは灰色の騎士に捕らえられたあと、壮絶な拷問を受けて
迷宮の地下牢に放り込まれ、こめかみに深い傷痕が残ります。)
本当は、〈サラファーンの星〉を完成させる前に、『ユリディケ』を改稿し、
もう一度、世に出したかったのですが、それはかないませんでした。
そうして〈サラファーン〉を書き終え、『ユリディケ』に戻ったとき、
あれほどフィーンのダイヤモンドに執着していたダイロスが
そう簡単に最期を迎えるはずはないこと、
また、ジョーが出てこないはずがないことに気づいたのでした。
もしもあのとき、『ユリディケ』の書き直しを先にしていたら、
リーという存在は生まれていなかったでしょう。
そのリーに関して、執筆当時から、いまだにわからないことがあります。
その話はまた、ゆっくり考えながら、書きますね。
まだ長時間パソコンを見ていると、あとから疲れが出て、
翌日寝込んだりしちゃいます。
そこで、体力を取り戻そう!と、散歩していたら、転んで足首を捻挫。
整形の先生に「しばらく運動厳禁ね」といわれてしまいました(TT)
でも、整形は母をリハビリに送迎している病院なので一石二鳥(?)だし、
その程度ですんで、よかったです。
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