『星水晶の歌』裏話Part12020年03月01日 17:23


『星水晶の歌』上巻書影

物語が完結する第4部は、すべての伏線を回収し、物語をエンディングに導く必要があり、
上下二巻になりました。
編集の小林さんから、上巻にはウィルナーの軍服姿を入れたいので、どんな軍服か
簡単に送ってほしいとメールが来て、いそいでスケッチしたのが、こちら↓です。

ウィルナーの軍服ラフスケッチ

なんで紫色のペンで描いたのか? 緑の軍服なのにって、突っ込まれそうですが
特に理由はなくて、紫色のボールペンを買ったすぐあとだったのかな、なんとなく
それで描き始めてしまったのです。
寒い冬に耐えられるよう、生地は暖かく、騎兵隊なので、後ろから見ると、
裾が割れているかな、というイメージです。
ひとつ失敗したのは、服や靴に気を取られ、騎兵隊のヘアスタイルは、長めだと、
注意書きを入れるのを忘れてしまったこと。
ジャケットのイラストは、兵士らしく短髪になっていますね。
みなさんは、どんなイメージをお持ちでしょうか。

さて。上下巻でとても長くなってしまった第4部。
今回も、最大の難題は、どこをカットするかでした。
入稿前の最終稿では、まず情景描写をカット。
5行のところを2行にしたり、全てカットしたり。
膨大な原稿を読み直して、1シーン、1シーン、チェックしていきます。

また、なくても話の流れがわかるシーンは当然カット。
たとえば、上巻で、ニッキがジョーを救うために、軍の要塞の馬を借りるシーンは、
許可証がなければ借りられない規則のもと、杓子定規の将校を説得するため、
ニッキが兄から教わった諜報員の奥の手で切り抜ける・・・はずでしたが、
あっさり借りられる設定に変更。(これで2ページ短くなりました。)

そんなこんなで、かなり短くして最終稿を送ったのですが、上巻だけで550ページに。
編集の小林さんから、これだと価格が1300〜1400円になってしまうとメールが。
わわ。第一巻からして、ただでさえ、周りから高いと言われていたので、
それだけは避けたい。

小林さんからは、4部作の最後なので、読者にとって説明不足で不親切ではいけないし
ストーリーだけを追って、ふくらみのない物語になってもいけないから難しいけれど、との
フォロー。
せめて1200円におさえたいので、512ページになるようにお願いします、とのこと!
扉、人物紹介、地図、奥付を入れた数字なので、本文は502ページ以内です。

なにやら、紙の単位の関係で、それを越えると、100円上がってしまうとのことで、
ゲラが上がってきたあと、上下巻とも、数十ページのカット作業に入り
(これまでで一番きつかった!)
なんとか上下とも、奥付も入れてぎりぎりの512ページにおさめました。

やった〜、とほっとしたのもつかの間。なんと、最終的に、1500円になって
しまいました(T_T)
発行部数が少ないから、その値段でないと赤字になってしまうのだそうです。

ガ〜ン!!!

上下二冊で3000円プラス税金。
読者の方たちに申し訳なくて申し訳なくて、
思わず小林さんに、印税要らないからもっと安くしてください、とお願いしてしまいました。
でも、例外は作れないとのことで(そりゃそうですよね)、泣く泣くあきらめました。
編集者と作家が努力しても、どうしようもないことってあるのですね……。
ものすごくショックを受けて、一週間ほど、寝込みそうになりました。

本が出たあと、やはり、高すぎるという批判をたくさんいただきました。
3巻までが売れていたら、発行部数も増えて、もっと安くできたので、わたしの
力不足です……。
本当にごめんなさい。

ユリディケをネットで自由に読めるようにしたのは、4部作を読んでくださった方への
感謝の気持と同時に、本が高くなってしまったことへの、お詫びの気持ちもありました。

昨今の出版事情は本当に厳しくなっています。海外の翻訳もののシリーズなどは、
続きが出ないのもあり、残念に思うことがあります。
もっと本を読む人が増えますようにと心から願っています。

4部の内容に関しての裏話は、また今度☆

コロナウイルスで大変な状況ですが、みなさま、どうぞ気をつけてお過ごしください。
一日も早く、普通の生活に戻りますように。

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