日常のなにげない幸せ ― 2024年02月22日 14:56
昨日は、妹と一緒に、月に一度の精神科の診察でした。
そのあと、妹が泊まりに来たのですが、途中でカフェに寄りました。
お店の飲み物はバラエティに富んでいるのに、レジで後ろに並んでいる人が気になって、
つい同じようなものを頼んでしまいます。
でも、昨日は、雨のせいか空いていて、カフェオレタイプで気になった飲み物を2つ
スタッフの方に丁寧に内容を教えてもらいました。
うーん、どちらも美味しそう。
「どちらがおすすめですか?」と聞くと、「そうですね、私はこちらの方が好きです」と
オーツミルク入りのをすすめられ、そちらにしてみました。
優しい味と言われたのですが、思った以上に優しい味で、心がほんわかしました。
それからお店は混んできましたが、帰り際、またちょっと空いていたので
さきほどの女性に、「おすすめ、とっても美味しかったです」と声をかけて帰りました。
「そうですか? よかったです」と素敵な笑顔が返ってきました。
今日は、母と妹と三人でスーパーで買い物をしてきました。
レジには、とても感じの良いチェッカーの女性がいて、彼女のレジに当たると、
いつもちょっとした言葉を交わします。
たとえば、三人で行くときは、「さわがしくてすみません〜」などというと
「にぎやかでいいですね」と明るい笑顔。
今度はいついつに割引がありますよ、というオトクな情報も教えてくれます。
次に行ったパン屋さん(こちらも、時々行く素敵なパン屋さん)では、
入り口の消毒液(手をかざすとシュッとでてくるもの)が何度手をかざしても
でなかったので、若い男性の店員さんに伝えると、すぐに直してくれて
「ありがとうございました」と、ちょっとはにかんだ笑顔。
そういえば、お店の方全員、いつも親切でフレンドリーです。
お店の方たちの話が続きましたが、たとえば、信号のない横断歩道。
うちの近所にも何か所かあります。たまにビュンビュン通り過ぎる車もあるけれど、
すっとやさしく止まってくれる車もけっこうあります(70%くらいの高確率です)。
おじぎをして通ると、にこっと笑顔のドライバーの方と目があうことも。
(急いで渡らなきゃ、と思って、なかなか車の中を見る余裕がないのですが。)
そうした、なにげない出来事で、気持ちがとても明るくなります。
日常には、幸せがあふれているなと感じます。
ジャムを作るのも幸せなひととき。写真は、いただいた柚子で作ったジャム。
皮を薄く切ったり、湯がいたり、果肉と砂糖を入れて時間をかけて煮たり。
ゆったりとした作業。心が無になるというか、大根おろしとか、生姜をおろすのも
同じ感覚なのですが、一心になにかをしていると、瞑想のような境地になって
とても好きです。
ただ、母や妹は、大根おろしとか、つまらないし疲れるから嫌いだそうで…。
人によるのですね。
ジャム作りに話を戻しますが、柚子や杏など特にそうですが、作っているあいだも
そのあとも、良い香りがあたりにいっぱい漂って、それもとても好きです。
物語の中でも、ジャムやプリザーブを登場させるのは、自分が好きだからかな。
林檎や杏。やはり、自分の大好きなものを登場させちゃうし。
物語にとっても、そうした脇役は、欠かせない存在です。
〈サラファーンの星〉では、そんななにげない日常が、戦争で奪われてゆきますが、
ヒロイン、リーヴのいる最果ての国のシーンでは、世界の終わる時まで日々の暮らしを
愛おしみ、大切にする人々の姿を思いながら描きました。
金沢からの贈り物 ― 2024年02月18日 11:42
金沢の友だちから、地元のものがぎっしり詰まった贈り物が届きました。
ほんとは私から何か送りたかったのですが、救助や復興に道路が使われているかもと、
少し落ち着いてからにしようと思っているうちに、彼女の方からいただいてしまいました。
きれいな字でびっしり書かれた分厚いお手紙もそえられていました。
このところずっと、心身の調子がいまひとつのなか、本当に嬉しかったです。
金沢は余震もそれほど大きく感じず、倒れたお墓の修理も無事終わったそうです。
(友だちが電話した時点で、すでに200件ほどの依頼があり、順番待ちだった)
彼女は福祉介護の仕事に就いているのですが、お手紙には、
能登の方の状況はいまだ深刻で、金沢のお子さんの家を頼ってこられた高齢の方が、
いざ同居を始めたものの、避難生活で足腰を悪くされて介護が必要な人が増えていること、
彼女の職場でも数人受け入れたけれど、限界があって、今は新規を断らざるを得ないこと、
スタッフにも地震でご家族を亡くしたり、実家が倒壊したりされている方もいて
何もできないのを申し訳なく感じると書かれていました。
それで、せめて地元を応援したいと、大好きなものをいっぱい詰めてくれたそうです。
ひとつは金沢で有名な甘納豆やさんの甘納豆。たくさんいただいた中から、
大納言と緑豆の写真を。大納言は能登が産地。緑豆の方は大浜、珠洲市と書かれていて、
被害が甚大だったところです。農家さんはどうなったでしょう。どうか皆さんご無事で、
農園も、たとえ時間がかかっても、復活しますようにと願いながらいただきました。
甘納豆といえば、お砂糖がまぶしてあるイメージでしたが、そうではなく、煮豆の水分を飛ばしたようなというか、あっさりして、とっても美味しかったです。
大切にいただこうと思ったのに、封を開けたが最後、つい手が止まらず、母と一気に食べてしまいました。(我が家では、手が止まらないお菓子を「危険なお菓子」と呼んでいます。)
さすがお茶処の金沢です。
また、羊羹や、地元で知らない人はいないというソウルフード「ビーバー」の揚あられ、
甘いもののお供にと、金沢のほうじ茶とコーヒーも入っていました。
(「ビーバー」もすごく美味しいです。こちらも「危険なお菓子」です。)
私もこんな応援したいなと思って調べてみたら、甘納豆や揚あられはオンラインで
買えるようです。お店との直接のやりとりはもう少し現地が落ち着いてからがいいのかも
しれませんが、名古屋では中日ビルにこちらを発見。
↓↓
震災の影響で、現在どういった商品があるかはわかりませんが、体調の良い日に、ぜひ行こう思っています。ほうじ茶もすごく美味しく、身も心も温まって、元気になりそうです。
おやすみなさい、マエストロ〜小澤征爾さんをしのんで ― 2024年02月12日 15:10
2月6日、小澤征爾さんが亡くなりました。
去年、ジョン・ウィリアムスが指揮したセイジ・オザワ松本フェスティバルのTV放映で、アンコール曲(「スター・ウォーズ」の帝国のマーチだったと思う)のとき、サプライズで、
ステージ上に登場された姿が思い出されます。
ジョン・ウィリアムスが、車椅子の小澤さんをやさしくいたわり、とても印象的でした。
ボストンにゆかりのある者同士、本当に朋友なんだなと心揺さぶられました。
小澤さんのコンサートは、若いころ、友だちに誘われて聴きに行きました。
ライオンのような髪を振り乱し、情熱的に指揮棒を振っていた姿が心に焼きついています。
汗も飛び散っていたと思います。
メインはベートーヴェン。ところが、記憶ではサントリーホールで「田園」だったのに、
調べても、ホールのアーカイブにありません。「第4」だったのかな。それとも別の作曲家?
忘れてしまうなんて、なんてもったいないことでしょう。
友だちは、小澤さんの本(20代の時、貨物船に乗ってフランスに渡り、ミニバイクで
旅をした思い出を綴った、すごく面白い本)を紹介してくれた、大のクラシック好きです。
彼女なら覚えているかも。今度聞いてみます。
演奏会ではありませんが、確かな思い出もあります。長野五輪の開会式です。
幸運にもチケットが手に入り、会場に入ったのですが、北京、ニューヨーク、喜望峰、
シドニーのオペラハウス、ベルリンのブランデンブルク門と開会式会場が中継でつながり、
小澤さんの指揮で、第九の「歓喜の歌」が合唱されることになったのです。
会場に入ってびっくり。ひとりひとりに楽譜が配られました。
ドイツ語の歌詞が添えられ、その上にカタカナが書かれています。
スタッフから、小澤さんが合唱団と長野県民文化会館にいて、そこから指揮を振るから、
みなさん歌って下さい、と言われました。
え? マジ? ドイツ語無理なんですけど…。
驚くうちに、練習が始まりました。口パクでもわからないよね?と思ったものの、
人間、やればできるんですね。
本番では私も、一緒に行った母や友人たちも歌っていました。周り中が歌っていました。
平和の祭典オリンピックで、心から平和を望み、願っている小澤さんのパッションが
ひしひしと伝わってきて、素人の観客に力を与えてくれたのだと思っています。
戦時下で育った小澤さんは、平和の大切さを身にしみて感じていたのでしょう。
音楽は国境を超え、世界を結ぶ力があると信じていたそうです(私も信じています)。
あの「歓喜の歌」は、そのことを象徴するようなステージでした。
今日の深夜(13日の未明)、NHKBSのプレミアムシアターで、2016年に
小澤さんがサイトウ・キネン・オーケストラを指揮した「ベートーヴェン交響曲第7番」が
オンエアされるそうです。
まさに疾風怒濤。駆け抜けた88年の生涯。ありがとうございました、マエストロ。
どうぞゆっくり休んで下さい。そして、時々、空の上から、私たちを叱咤激励して下さい。
立春に友を想う〜Friendship stays ― 2024年02月04日 17:20
昨日は節分、そして今日は立春ですね。
名古屋は昨夜の雨が上がり、午後は晴れて、今はパステルカラーの夕焼け空です。
先日、半年以上連絡が取れないと書いた台湾の友人。
彼からの最後のクリスマスカードの言葉が、ずっと心にこだましています。
Everything comes and goes but friendship stays.
なにごとも来ては過ぎゆく。されど友情は残る。
カードでもメールでも、いつも、友情に感謝するといっていた彼。
友情はずっと変わらないという温かなメッセージが伝わってきます。私たち家族こそ、
いつも忘れずにいてくれて、その思いに支えられてきました。
クリスマスカードには、毎年、タイプライターで打った英文のあと、
日本語のメッセージと彼の署名とが丁寧な手書きで添えられていました。
写真は先ほどの文章が書かれたところです。本来なら彼の同意を得て載せるべきですが、
連絡が取れないし、彼ならきっと、「いいよ」と言ってくれると思って
元気でいますようにとの祈りを込めて、立春の今日、アップします。
被災地に早く春が来ますように。北陸の大地に、また、東北をはじめとする、いまだ地震や豪雨などからの復興の途上にあるすべての大地に。そして、人々の心に。
ブライアン・メイと虫愛づる姫君 ― 2024年01月26日 15:10
大雪、みなさんのところは大丈夫だったでしょうか。被災地が気がかりです。
実家は岐阜県大垣市にあったので、雪が降ると雪かきが大変でした。
関ケ原は近く、何度も行っていて、今回の立ち往生も他人事とは思えませんでした。
今後、気温が上昇する地域もあるそうで、雪崩などくれぐれも気をつけてくださいね。
こちらは発売中のビッグイシュー。クイーンのブライアン・メイが表紙です。
素敵なインタビューが掲載されています。フレディへの思い、ジョン・ディーコンヘの思い、
天体物理学者としての一面、政府の自然政策への批判、ゴールデン・ジュビリーの思い出、
伝説のライヴ・エイドのことなど、読み応えたっぷり。
もしクイーンが存在しなかったらどのバンドで演奏したかったかとの質問に、
たぶん、ビートルズと答えていたのにも、ぐっときました。
そして、表紙のブライアンの下のタイトル、「一期一会、新種発見」。
地球上の未知の生物を発見した5人の物語が載っています。そしてなんと、その一人が
友だちのお嬢さん! このブログの、2020年1月21日づけで書いた記事
「虫愛(め)づる姫君、熱き思いを語る」で紹介した今田弓女(ゆめ)さんです。
わあ〜、弓女ちゃん!!!と本当にびっくりしました。
2020年1月といえば、ちょうど四年前。名古屋の昆虫同好会の主催で、
名古屋で講演するとのことで、どきどきわくわくしながら行ったことを思い出します。
当時は愛媛大の助教でしたが、現在は、母校京大の助教になられて、本当に子どもの頃から
特に好きだった蛾の研究に身を捧げ、それだけで、すごいの一言。感動します。
ビッグイシューには、学生時代、これまでコバネガ(現存する最も原始的な蛾)の生息が
確認されていなかった東北の森をひとりで縦断し、”羽化前線”を追いかける形で、
新緑のブナの森に分け入り、新種を4種発見したエピソードが語られています。
ツキノワグマによる人身被害も出ており、リュックにスピーカーをつけてラジオを流しながら
また、一歩間違えば無職になるという不安も抱えながらの旅だったそうです。
それでも、6月のブナの柔らかくて白い毛に包まれた優しい緑の葉の美しさは、
いまだに忘れられないそうで、全身全霊で自然を感じていたんだなと思います。
弓女ちゃんは、フィールドワークを始めた13年前と比べ、
環境がすごい勢いで劣化しているのを感じるそうです。
この一年の間でも、通い続けてきた森の渓流沿いで、コケの量が半分になったとのこと。
コケの減少は、コケを食べる虫だけでなく、コケで巣を作る動物の繁殖にも影響します。
インタビューは、次の世代が生き物の世界は素晴らしいと目を輝かせることができるよう環境を守っていきたいというメッセージで締めくくられています。
心にしみます。
それは、今を生きる私たちすべてに課された使命ではないでしょうか。
今宵は満月。美しい月を愛でながら(SLIMの写真、JAXAが公開しましたね!)
地球の今と未来に思いを馳せたいです。
金星とアンタレスと台湾の友だちと ― 2024年01月23日 20:03
昨日の未明、ほのかに暁に染まる南東の空に、明けの明星がきらきらと輝き、
その右上には、蠍座のアンタレスが赤い光を放っていました。
肉眼でははっきり見えたのですが、写真でもわかるでしょうか。アンタレスは夏の星ですが、
見上げる時間によっては、こうして冬にも見ることができます。
先ほど夕刊を取りに外に出たときには、満月が近い月が大きく輝き
(JAXAの打ち上げたSLIMが、あんな遠いところにいるんだと、感じ入ります)
少し離れたところでは、木星がきらめいていました。
同じ空の下、被災地の人たちはどうしているだろうかと思います。
明日、明後日はこの冬一番の寒気が来るそうで、大雪が心配です。あまり降りませんように。
そして、この半年ほど、ずっと心にかかっている友だちがいます。
昔、家族で台湾を訪れた際、父の友人が案内してくれたのですが、その方の息子さんです。
父の友人も父も亡くなりましたが、クリスマスカードをやりとりしていた親の世代に代わり、
クリスマスカードやメールを交換するようになりました。
とても繊細で素敵な英語を使う人なのですが、その彼からのメールが途絶え、いつも12月の最初には届くクリスマスカードも、届きませんでした。十数年で初めてのことです。
その後、何度かメールをしたのですが、メールアドレスが使われていないとのことで、戻ってきてしまいました。
私より少し年上で、ショートメッセージは使ってないそうで、電話番号は聞いていません…。
台湾の総統選挙では、彼が応援している与党が勝利して、そのことは母と喜んだのですが、
彼自身はどうしたのかなと、二人で心配しています。
どうか、どこかで無事に過ごしていますように、そして、いつかまた連絡がとれますように。
ともに ― 2024年01月17日 23:26
阪神淡路大震災から29年の歳月が流れました。
あのときのことを、つい昨日のように思い出します。
当時は岐阜の実家に住んでいましたが、ドンと突き上げるような揺れで飛び起き、
居間でゴーンと大きな音がして、ぐわんぐわんと地面が回るような揺れに襲われ、
横須賀から帰省していた妹も、部屋から飛び出してきました。
居間に行くと、大きなこけしが床に転がっていました。
その後、テレビのニュースで、最初はよくわからなかった被害の大きさが、
どんどん大きくなっていくのを見て、言葉がなかったです。
今回の能登半島地震も、東日本大震災のときも、そうでしたね……。辛いです。
三宮の公園、東遊園地には「ともに」という言葉が灯籠で灯され、地震の起きた5時46分に黙祷が捧げられ、16時10分、能登半島地震の発生時刻にも、黙祷が捧げられたそうです。
能登半島地震で被災された人たちとも、ともにいる、というメッセージ。
東日本大震災で被災された人たちもとも、ともにいると、伝えているとも感じます。
石川県の友だちのところへは、飛んでいけないけれど、いつも心配です。
ただ思い、祈ることしかできないけれど、被災地にずっと心を寄せていきたいです。
そして、今、自分ができることを、誠実にやっていきたいです。
この地球に生を受けて、生かされていることは、当たり前ではなく、本当に奇跡。
祈りの日、そのことをしっかり心に留めておこうと、自分に言い聞かせています。
月と金星のランデブー〜1月9日未明の空 ― 2024年01月09日 08:56
6時に起きると、未明の空に、新月の前の細い月と、明けの明星が輝いていました。
7時に夜が明け、太陽の光が空を水色に染めるにつれ、次第に薄くなりながらも、
月も金星も、それから20分以上見えていました。
どこにあるかわからなければ見えないほどですが、淡くても輝くその姿は美しかったです。
被災地では積雪もあり、厳しい状況が続いています。
空爆され、瓦礫の中で救助を続けるウクライナやパレスチナのニュースを見ると、
能登地震と重なります。けれども、片方は人災。
世界が抱える悲しみは、地震や津波など天災だけでも、充分過ぎないでしょうか。
それだけでも、どれほどの痛みをもたらしていることか……。
空を見上げながら、平和な世界を願い、被災地に思いを馳せて祈る朝です。
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