1600本の井戸。星の王子さまの井戸2019年12月05日 17:24

アフガニスタンで支援活動を行っていたペシャワール会の医師、中村哲さんが武装グループに
銃撃されて亡くなりました。

医療活動だけでは命は救えないと、内戦と干ばつにあえぐアフガニスタンで
1600本の井戸を掘り、25キロ以上に及ぶ用水路をつくった中村さんは、
現地の人々の信頼も厚かったといいます。

その信頼関係は、
「利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さ」
(中村さんの著書「天、共にあり」NHK出版)
の上に築かれたものでした。
その言葉の重みに、心がふるえるとともに、そんな方の命が、テロリストによって
一瞬で奪われてしまったことが、あまりに理不尽で、とても悲しいです。

中村さんは、困っている人がいたら助けるのは当たり前だと話していたといい、
砂漠が緑に変わるのを見て、本当に喜んでいたそうです。

井戸というと、「星の王子さま」を思い出します。

サハラ砂漠に墜落した飛行士と、その砂漠で出逢った星の王子さまは、
どちらも喉が渇いて、一緒に井戸を探します。
そして見つかった井戸で、綱を引いて滑車を動かすと、車の回る音が響いて、
王子さまは、井戸が目を覚まして歌っているといいます。

飛行士は、きみには重すぎるからと、王子さまに水を汲んであげます。
その水は特別な水で、お祝いの日のごちそうのように美味しい水でした。
なぜなら、星空の下を歩いたあと、車の音を聞きながら、飛行士が王子さまのために
汲んだ水だったからです。

中村さんが大変な苦労をして、現地の人々のために心を込めて掘った井戸から
湧いた水も、きっと同じだと思います。

王子さまはいいました。

「水は、心にもいいものかもしれないな……」
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」

(「星の王子さま」サン=テグジュペリ作 内藤濯訳 岩波書店)

中村さんの中には、いつも、清らかな井戸があふれていたのだと思います。
心よりご冥福をお祈りします。

コメント

_ nancy ― 2019年12月09日 14:18

中村さんの訃報。
本当に本当に悲しいです。
ご冥福を心よりお祈りいたします。

_ fumiko ― 2019年12月10日 10:28

nancyさま

本当にそうですね。友だちが、中村さんの身体は砕かれても
理想の灯と魂は不滅だよ、と語ってくれて、心に響きました。
みんなで志を受け継いでいかないとなりませんね!

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