おやすみなさい、マエストロ〜小澤征爾さんをしのんで ― 2024年02月12日 15:10
2月6日、小澤征爾さんが亡くなりました。
去年、ジョン・ウィリアムスが指揮したセイジ・オザワ松本フェスティバルのTV放映で、アンコール曲(「スター・ウォーズ」の帝国のマーチだったと思う)のとき、サプライズで、
ステージ上に登場された姿が思い出されます。
ジョン・ウィリアムスが、車椅子の小澤さんをやさしくいたわり、とても印象的でした。
ボストンにゆかりのある者同士、本当に朋友なんだなと心揺さぶられました。
小澤さんのコンサートは、若いころ、友だちに誘われて聴きに行きました。
ライオンのような髪を振り乱し、情熱的に指揮棒を振っていた姿が心に焼きついています。
汗も飛び散っていたと思います。
メインはベートーヴェン。ところが、記憶ではサントリーホールで「田園」だったのに、
調べても、ホールのアーカイブにありません。「第4」だったのかな。それとも別の作曲家?
忘れてしまうなんて、なんてもったいないことでしょう。
友だちは、小澤さんの本(20代の時、貨物船に乗ってフランスに渡り、ミニバイクで
旅をした思い出を綴った、すごく面白い本)を紹介してくれた、大のクラシック好きです。
彼女なら覚えているかも。今度聞いてみます。
演奏会ではありませんが、確かな思い出もあります。長野五輪の開会式です。
幸運にもチケットが手に入り、会場に入ったのですが、北京、ニューヨーク、喜望峰、
シドニーのオペラハウス、ベルリンのブランデンブルク門と開会式会場が中継でつながり、
小澤さんの指揮で、第九の「歓喜の歌」が合唱されることになったのです。
会場に入ってびっくり。ひとりひとりに楽譜が配られました。
ドイツ語の歌詞が添えられ、その上にカタカナが書かれています。
スタッフから、小澤さんが合唱団と長野県民文化会館にいて、そこから指揮を振るから、
みなさん歌って下さい、と言われました。
え? マジ? ドイツ語無理なんですけど…。
驚くうちに、練習が始まりました。口パクでもわからないよね?と思ったものの、
人間、やればできるんですね。
本番では私も、一緒に行った母や友人たちも歌っていました。周り中が歌っていました。
平和の祭典オリンピックで、心から平和を望み、願っている小澤さんのパッションが
ひしひしと伝わってきて、素人の観客に力を与えてくれたのだと思っています。
戦時下で育った小澤さんは、平和の大切さを身にしみて感じていたのでしょう。
音楽は国境を超え、世界を結ぶ力があると信じていたそうです(私も信じています)。
あの「歓喜の歌」は、そのことを象徴するようなステージでした。
今日の深夜(13日の未明)、NHKBSのプレミアムシアターで、2016年に
小澤さんがサイトウ・キネン・オーケストラを指揮した「ベートーヴェン交響曲第7番」が
オンエアされるそうです。
まさに疾風怒濤。駆け抜けた88年の生涯。ありがとうございました、マエストロ。
どうぞゆっくり休んで下さい。そして、時々、空の上から、私たちを叱咤激励して下さい。
立春に友を想う〜Friendship stays ― 2024年02月04日 17:20
昨日は節分、そして今日は立春ですね。
名古屋は昨夜の雨が上がり、午後は晴れて、今はパステルカラーの夕焼け空です。
先日、半年以上連絡が取れないと書いた台湾の友人。
彼からの最後のクリスマスカードの言葉が、ずっと心にこだましています。
Everything comes and goes but friendship stays.
なにごとも来ては過ぎゆく。されど友情は残る。
カードでもメールでも、いつも、友情に感謝するといっていた彼。
友情はずっと変わらないという温かなメッセージが伝わってきます。私たち家族こそ、
いつも忘れずにいてくれて、その思いに支えられてきました。
クリスマスカードには、毎年、タイプライターで打った英文のあと、
日本語のメッセージと彼の署名とが丁寧な手書きで添えられていました。
写真は先ほどの文章が書かれたところです。本来なら彼の同意を得て載せるべきですが、
連絡が取れないし、彼ならきっと、「いいよ」と言ってくれると思って
元気でいますようにとの祈りを込めて、立春の今日、アップします。
被災地に早く春が来ますように。北陸の大地に、また、東北をはじめとする、いまだ地震や豪雨などからの復興の途上にあるすべての大地に。そして、人々の心に。
ブライアン・メイと虫愛づる姫君 ― 2024年01月26日 15:10
大雪、みなさんのところは大丈夫だったでしょうか。被災地が気がかりです。
実家は岐阜県大垣市にあったので、雪が降ると雪かきが大変でした。
関ケ原は近く、何度も行っていて、今回の立ち往生も他人事とは思えませんでした。
今後、気温が上昇する地域もあるそうで、雪崩などくれぐれも気をつけてくださいね。
こちらは発売中のビッグイシュー。クイーンのブライアン・メイが表紙です。
素敵なインタビューが掲載されています。フレディへの思い、ジョン・ディーコンヘの思い、
天体物理学者としての一面、政府の自然政策への批判、ゴールデン・ジュビリーの思い出、
伝説のライヴ・エイドのことなど、読み応えたっぷり。
もしクイーンが存在しなかったらどのバンドで演奏したかったかとの質問に、
たぶん、ビートルズと答えていたのにも、ぐっときました。
そして、表紙のブライアンの下のタイトル、「一期一会、新種発見」。
地球上の未知の生物を発見した5人の物語が載っています。そしてなんと、その一人が
友だちのお嬢さん! このブログの、2020年1月21日づけで書いた記事
「虫愛(め)づる姫君、熱き思いを語る」で紹介した今田弓女(ゆめ)さんです。
わあ〜、弓女ちゃん!!!と本当にびっくりしました。
2020年1月といえば、ちょうど四年前。名古屋の昆虫同好会の主催で、
名古屋で講演するとのことで、どきどきわくわくしながら行ったことを思い出します。
当時は愛媛大の助教でしたが、現在は、母校京大の助教になられて、本当に子どもの頃から
特に好きだった蛾の研究に身を捧げ、それだけで、すごいの一言。感動します。
ビッグイシューには、学生時代、これまでコバネガ(現存する最も原始的な蛾)の生息が
確認されていなかった東北の森をひとりで縦断し、”羽化前線”を追いかける形で、
新緑のブナの森に分け入り、新種を4種発見したエピソードが語られています。
ツキノワグマによる人身被害も出ており、リュックにスピーカーをつけてラジオを流しながら
また、一歩間違えば無職になるという不安も抱えながらの旅だったそうです。
それでも、6月のブナの柔らかくて白い毛に包まれた優しい緑の葉の美しさは、
いまだに忘れられないそうで、全身全霊で自然を感じていたんだなと思います。
弓女ちゃんは、フィールドワークを始めた13年前と比べ、
環境がすごい勢いで劣化しているのを感じるそうです。
この一年の間でも、通い続けてきた森の渓流沿いで、コケの量が半分になったとのこと。
コケの減少は、コケを食べる虫だけでなく、コケで巣を作る動物の繁殖にも影響します。
インタビューは、次の世代が生き物の世界は素晴らしいと目を輝かせることができるよう環境を守っていきたいというメッセージで締めくくられています。
心にしみます。
それは、今を生きる私たちすべてに課された使命ではないでしょうか。
今宵は満月。美しい月を愛でながら(SLIMの写真、JAXAが公開しましたね!)
地球の今と未来に思いを馳せたいです。
金星とアンタレスと台湾の友だちと ― 2024年01月23日 20:03
昨日の未明、ほのかに暁に染まる南東の空に、明けの明星がきらきらと輝き、
その右上には、蠍座のアンタレスが赤い光を放っていました。
肉眼でははっきり見えたのですが、写真でもわかるでしょうか。アンタレスは夏の星ですが、
見上げる時間によっては、こうして冬にも見ることができます。
先ほど夕刊を取りに外に出たときには、満月が近い月が大きく輝き
(JAXAの打ち上げたSLIMが、あんな遠いところにいるんだと、感じ入ります)
少し離れたところでは、木星がきらめいていました。
同じ空の下、被災地の人たちはどうしているだろうかと思います。
明日、明後日はこの冬一番の寒気が来るそうで、大雪が心配です。あまり降りませんように。
そして、この半年ほど、ずっと心にかかっている友だちがいます。
昔、家族で台湾を訪れた際、父の友人が案内してくれたのですが、その方の息子さんです。
父の友人も父も亡くなりましたが、クリスマスカードをやりとりしていた親の世代に代わり、
クリスマスカードやメールを交換するようになりました。
とても繊細で素敵な英語を使う人なのですが、その彼からのメールが途絶え、いつも12月の最初には届くクリスマスカードも、届きませんでした。十数年で初めてのことです。
その後、何度かメールをしたのですが、メールアドレスが使われていないとのことで、戻ってきてしまいました。
私より少し年上で、ショートメッセージは使ってないそうで、電話番号は聞いていません…。
台湾の総統選挙では、彼が応援している与党が勝利して、そのことは母と喜んだのですが、
彼自身はどうしたのかなと、二人で心配しています。
どうか、どこかで無事に過ごしていますように、そして、いつかまた連絡がとれますように。
ともに ― 2024年01月17日 23:26
阪神淡路大震災から29年の歳月が流れました。
あのときのことを、つい昨日のように思い出します。
当時は岐阜の実家に住んでいましたが、ドンと突き上げるような揺れで飛び起き、
居間でゴーンと大きな音がして、ぐわんぐわんと地面が回るような揺れに襲われ、
横須賀から帰省していた妹も、部屋から飛び出してきました。
居間に行くと、大きなこけしが床に転がっていました。
その後、テレビのニュースで、最初はよくわからなかった被害の大きさが、
どんどん大きくなっていくのを見て、言葉がなかったです。
今回の能登半島地震も、東日本大震災のときも、そうでしたね……。辛いです。
三宮の公園、東遊園地には「ともに」という言葉が灯籠で灯され、地震の起きた5時46分に黙祷が捧げられ、16時10分、能登半島地震の発生時刻にも、黙祷が捧げられたそうです。
能登半島地震で被災された人たちとも、ともにいる、というメッセージ。
東日本大震災で被災された人たちもとも、ともにいると、伝えているとも感じます。
石川県の友だちのところへは、飛んでいけないけれど、いつも心配です。
ただ思い、祈ることしかできないけれど、被災地にずっと心を寄せていきたいです。
そして、今、自分ができることを、誠実にやっていきたいです。
この地球に生を受けて、生かされていることは、当たり前ではなく、本当に奇跡。
祈りの日、そのことをしっかり心に留めておこうと、自分に言い聞かせています。
月と金星のランデブー〜1月9日未明の空 ― 2024年01月09日 08:56
6時に起きると、未明の空に、新月の前の細い月と、明けの明星が輝いていました。
7時に夜が明け、太陽の光が空を水色に染めるにつれ、次第に薄くなりながらも、
月も金星も、それから20分以上見えていました。
どこにあるかわからなければ見えないほどですが、淡くても輝くその姿は美しかったです。
被災地では積雪もあり、厳しい状況が続いています。
空爆され、瓦礫の中で救助を続けるウクライナやパレスチナのニュースを見ると、
能登地震と重なります。けれども、片方は人災。
世界が抱える悲しみは、地震や津波など天災だけでも、充分過ぎないでしょうか。
それだけでも、どれほどの痛みをもたらしていることか……。
空を見上げながら、平和な世界を願い、被災地に思いを馳せて祈る朝です。
心からお見舞い申し上げます ― 2024年01月06日 13:46
能登半島地震の被害の大きさが、日ごとにわかってきています。
犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
救助活動が、がけ崩れ等で難航していると伝えられています。一刻も早く駆けつけられますように。
羽田の航空機事故も、直接の原因は未だ解明中ですが、海保機が被災地に支援物資を運ぶ使命を帯びていたことを思うと、言葉を失います…。
個人的には、金沢の友だちとは連絡が取れ、小松にいる別の友だちも無事だと教えてもらいました。金沢でも経験したことのない揺れだったそうです。
ショッピングセンターにいた時で、棚から物が落ちてくるし、息子さんと別行動をとっていたため、会えるまで心配でならなかったとのこと。
今も余震が続いています。友だちも、他の方々もどんなに怖い思いをしているでしょう。
ネットではすぐに義援金の受付が始まり、日本赤十字社も色々な形で受付を始めました。
被災地全体にと、地域別があります(石川県と富山県)。寒い時期なので、一層心配です。
今の私はそれくらいしかできませんが、ずっと心から祈っています。
忘れな草とネモフィラ二輪。無垢な青い花が少しでもなぐさめとなりますように。
地震大丈夫でしたか? ― 2024年01月01日 19:59
元旦から、大きな地震が起こりました。
石川県能登地方には大津波警報が出ています。東日本大震災を思い出します。
名古屋もかなり揺れました。
足の悪い母をテーブルの下に避難させるのは思った以上に時間がかかりましたが、
それでもまだ揺れていました。長かったです。
みなさまのところは大丈夫でしたか?
被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
いまニュースを見ていますが、火災が発生しています。早く収まりますように。
また、救助を求めている人々が多いとのこと。早く救助されますように。
原発のニュースも入ってきました。とても心配です。
どうか、被害があまり大きくなりませんように、そして、新しい年が、
できるだけおだやかな一年でありますように。
静かでおだやかだった今朝の初日の出を思い出しながら、そう心から祈っています。
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