ランス先生〜戦場にいった心やさしい村の医師2020年05月17日 15:06


ランス先生ラフスケッチ

ランス先生は、心やさしい村の医師。幼なじみのエリーと結婚したばかりの
愛妻家です。
でも、戦争が激しくなると、医療団の一員として、戦場に旅立つことに。

子どもの頃から虫一匹殺せなかったのにという村人(スピリ)に、先生はいいます。
「ぼくは命を奪いに行くんじゃない。救いに行くんだよ」
そして、なにも先生が行かなくても医者はたくさんいるという彼女に、
こういうのです。
「そうだね。だけど、もしかしたら、ぼくが行くことで助かる命があるかもしれない。
そんなふうに思うのは不遜なことかもしれないけれど、
そう思えるのにここにじっとしていることは、ぼくにはできないんだよ」

それが先生の運命を、そして、物語の運命を大きく動かすことになります。

前に、幼なじみのお父さんが絵描きさんだった、ということを書きましたが、
別の幼なじみのお父さんは、お医者さまでした。
本当にやさしい先生で、大好きでした。
怒ったことなんて、一度もないんです。
いつも「ふみちゃん、どうしたの?」と笑顔で聞いてくれて、それだけで、
病気が一段階軽くなる気がしました。
我が家もずっとお世話になりました。

物語の中に画家と医師が登場するのは、
そうした幼いころの環境から、自然なことだったように感じています。
お家が薬局をしている友だちもいました。
(だからかな、マリアは薬局をしている伯父夫婦のもとで育ったという設定です。)

ランス先生はもうひとつ、戦地で足を負傷し、軍医に見放されたウィルナーに
森に隠れ住むフィーンのエレタナを紹介しようとします。
このことも、物語の中のポイント。
なので、物静かな先生は、欠かすことのできない大切な登場人物のひとりと
いえるでしょう。

上の絵は、ランス先生のラフスケッチ。さらさらの金髪に、やさしい青い瞳。
これに色を付けたものをデザイナーの畠山さんに送って、こちらのCGに仕上げて
もらいました。
ランス先生CG

ランス先生は、つねに命の危険のある最前線の野戦病院で、
ほとんど眠る時間もなく、負傷兵の治療にあたりました。
現在、世界中のお医者さまがコロナウイルスとの戦いの最前線に立っています。

4月なかばのこと、イタリアの友だちが、こんなメールをくれました。
イタリアの現状を見ると、泣くしかない。
でも、悲劇の中にも、素晴らしいことがある。
感染者の治療にあたっていた104人の医師が命を捧げ、
政府が300人の医師を募ったところ、イタリア中から2600人の医師が
声を上げ、多忙だった医療従事者たちがとても助かった、と。
(現在は、その数字は変わっていると思いますが。)

また、彼の義理の弟さんは、病院の医師なのですが、あまりに疲れて、
夜中の1時に病院から帰宅途中、居眠り運転をしてしまい、人の家の門にぶつかって
車は大破。幸い、本人は、指の骨を折っただけで助かったそうです。
(指の骨を「掘った」とメールにあったけど、たぶん、「折った」んだと思う。)
その「事故のせいで(事故のおかげで)、一か月休みをもらった」とのことでした。
それだけ多忙だ、ということでしょう。
本当に、頭が下がります。

どうか、命を救うために働く方々が、そのために感染することがありませんように。
疲れて事故を起こすことがありませんように。
そして、そんな方々の負担が少しでも少なくなるよう、
治療法とワクチンができるまで、感染を広げないよう気をつけて生活しなくてはと
思っています。

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