あの日、宇宙に一番近い学園都市で2019年06月29日 20:23


JAXAスペースドーム photo by fumiko

東京の広告代理店に勤めていたころ、同僚が物語のアイデアを真摯に聞いてくれた話は
先月「あなたを信じる人が世界にたったひとりでも」に書いた通りで、
彼女がわたしを信じてくれて、最初の本『ユリディケ』は生まれました。

彼女は結婚し、その後、学園都市つくばに引っ越しました。
ご主人が、つくば大学の教授で、AIの音声認識を研究されていたからです。

つくばには、何度も遊びに行ったのですが、ある日わたしは、彼女と広大な学園都市を
歩きながら、当時頭の中にあった物語、『ユリディケ』の二千年前の物語を
延々と語りました。
何度も生まれかわってめぐりあう恋人たちや、ある音楽一家の三代にわたる物語と、
何千年にもわたる時を生きる不老の民の歴史が交錯する、生と死、愛と葛藤、
喪失と再生、テクノロジーのもたらす繁栄と破壊、そして、世界の終わりが
迫る中での、絶望と希望の物語を。

長大な物語なので、彼女に話したストーリーラインも、とても長いものでした。
それでも、彼女は長い散歩の道すがら、ずっと熱心に耳を傾けてくれて、そして、
面白いと言ってくれたのです。
それが、サラファーンの星四部作でした。
長い長い話だから、退屈する人だってたくさんいるでしょう。でも、彼女は、心から
真剣に聞いてくれた。もちろん、友だち思いの優しい人だからこそですけれど、
そのことは、わたしに大きな勇気と希望を与えてくれました。
やがてわたしは、さまざまな事情で何度も中断しながら、その物語を少しずつ
書き継いでいくことになります。

かつて会社で『ユリディケ』のアイデアを聞いてくれたときとともに、あの日、
四部作のアイデアを聞いてくれた彼女には、いまも、本当に感謝しています。
『ユリディケ』誕生の女神さまは、サラファーンの星誕生の女神さまでもあるのです☆

上の写真は、会社のもと同僚三人とつくばを訪れたとき、
宇宙が大好きなわたしたちのために、彼女とご主人が案内してくれた
JAXA筑波宇宙センターのスペースドーム。
見応えたっぷりのガイドツアーに参加しました。
宇宙大好きな人には、おすすめです!(予約してお出かけくださいね。)