れんげ畑とローレアの咲く丘 ― 2019年04月08日 20:40
岐阜県の大垣市で育ったわたしは、子どものころ田んぼの中の一軒家に住んでいました。
春になると、田んぼは一面のれんげ畑となり、濃いピンクの絨毯を敷きつめたようでした。
『ユリディケ』の冒頭、ローレアの花が丘を水色に染め、ユナがその中で寝転んで空を
見あげているシーンが浮かんだのは、子どものころのそんな原風景から来ているのだと
あとになって気がつきました。
れんげ草とローレアでは、色も形も違うし、ローレアの方は咲く季節も
早春から春の終わりまでと長いけれど
あたりがその色一色に染まり、そよ風が花を揺らし、蝶や蜜蜂が飛び交う
のどかで平和そのものの光景は同じです。
そうしたエピソードは『石と星の夜』のあとがきに書いたのですが、ちょうどいまが、
そのれんげ草の季節。
子どものころに比べて、れんげ畑は少なくなったけれど、春になって見かけると、
本当にうれしくなります。
実家で静養しているいま、ささやかですが、近くに咲いているところを見つけました。
『ユリディケ』から二千年の時をさかのぼり、前日譚を書くにあたっても、
ローレアの花は外せないエレメントでした。
どちらの物語でも、心のよりどころとなる存在ですが、
サラファーンの物語では、音楽も重要なエレメントであり、ローレアの花が
祖国を離れた者が故郷を思って歌う歌として登場するのは、ある意味で必然でした。
早春の丘を水色に染める
麗しのローレア……
歌が出てくるシーンでは、この歌詞を書きながら、いつしか自然とメロディが浮かび、
いつも歌いながら書いていました。
ごく単純な曲ですが、いずれ楽譜を紹介できたらと思っています。
(長調なのですが、なに調にするかをまだ決めていないのと、副旋律も入れたいのとで、
まだ譜面に起こしてないのです)。
また、環境保全活動に取り組んでいる友人(イラストもプロ並み!)に、
ローレアのイメージを伝えて描いてもらった作品が手もとにありますので、
こちらも紹介していきたいです。
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