サラファーンの星〜本のタイトルが決まるまで2019年02月26日 13:11

〈サラファーンの星〉第Ⅰ部『星の羅針盤』のタイトルは、当初、シリーズタイトルが
〈早春のリーヴェイン〉、第Ⅰ部のタイトルは『最果ての国』でした。

さて。初稿のゲラもできあがり、いざ校正段階となったある日。
編集会議で、シリーズタイトルも第Ⅰ部のタイトルも「茫洋としている」と問題に。

ひっくり返りそうになりました!
もう出版目前だし、わたしの中では、長年そのタイトルできています。

後日譚の『ユリディケ』は冒険ものの色合いが強かったのですが、今回は、
滅びゆく世界を舞台に、家族の物語、市井の人びとの物語を伝えたいと思っていました。
特に、第Ⅰ部は、戦争の足音が迫る直前の、最果ての小さな国を舞台に、
やがて失われゆくささやかな日常や、初恋や友情、家族の愛と葛藤を描きたく、
『最果ての国』はそれにふさわしいタイトルに思えました。
早春のリーヴェインも、戦乱の世界と対極にある、美しい世界の象徴として、
また、第四部終盤のセリフと重ねて決めていたシリーズタイトルでした。

しかしながら、茫洋としている、という指摘は、確かに的を射ています。
さて、どうするか。

書いていると、譲れることと、譲れないことがあるのですが、
タイトルに関して、あらためて考えてみると、絶対に譲れない、というほど
強い思いはないと気がつきました。
そこで、考えに考えた末、シリーズタイトルとして

遙かな時の物語
最果ての国(第Ⅰ部のタイトルをこちらにまわす)

また、第Ⅰ部のタイトルとして、

星に祈りし者
薄葉月に生まれし者
星降月の旅人
サンザシ館の人びと・・・などの案を提出。

すると、編集の小林さんからこんな返答が。

「もうちょっとファンタジーらしいインパクトというか、フックのあるものを」

むむむ。
考えすぎると、人間、頭がぼーっとしてきます。
シリーズタイトルとして、適当にえいっとばかりに出したのが、
サラファーンの星でした。

第Ⅰ部のタイトルは、本文中の、フィーンの王のセリフ
「サラファーンの星を羅針盤にして」から『星の羅針盤』をピックアップ。
海外のファンタジーで『黄金の羅針盤』があるのが気になったのですが、
ファンタジーの好きな友人や、その友人たちに、いくつか候補を挙げて
どれがいいか聞いたところ、断トツの一番人気が『星の羅針盤』。

小林さんと出版社のOKもでて、ほっとしました。
あのとき協力してくださったみなさん、ありがとうございました!

第二部から第四部のタイトルも、『星水晶の歌』以外、すべて変わりましたが
候補であったタイトルは、いずれこの世界を舞台とした短編に、と思っています。

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