登場人物のモデルは?2018年11月19日 21:27


黒のジョー・スケッチ by Fumiko Endo

「登場人物にモデルはいますか?」

そんな質問を受けることがあります。

こたえはシンプル。彼らはみな、想像上の人物です。

 

わたしが物語を書くのは、ストーリーが頭の中で次々と展開し始めてからなのですが、その段階ではすでに、何人もの登場人物が、それぞれ勝手に動いています。

さまざまな人物がどんどん登場して、物語が展開していく、といった方が正しいかもしれません。物語と人物は、密接に結びついていて、切っても切れない関係です。

ほとんどの人物は、初期の段階からユニークな個性があり、それを強くアピールしてきます。

わたしはすっかり彼らに惹きつけられ、どんな性格で、どんな人生を歩んできたのか、これから、どんな人生を歩むのか、興味津々で、彼らの語る言葉にじっと耳を傾けます。

〈サラファーンの星〉では、あまりに多くのキャラクターが浮かんできて、結果的にカットせざるを得ない人物が何人もいました。

実在の人物までモデルにしていたら、収拾がつかなくなっていたでしょう。

 

そんななか、ひとり、いえ、一匹(一頭)だけ例外が。

リーヴの愛犬チェスターです。

チェスターは、最初フィツィという名前でしたが、スコットランドに住む父の友人を訪ねたとき、彼の愛犬チェスターがあまりに可愛かったので、その名をもらうことにしたのです。

チェスターはゴールデンレトリバーの血を引く大きな犬で、虐待を受けて施設に保護されていたのを、プラットさん夫妻が引き取ったということでした。大きな屋敷で夫妻に可愛がられ、幸せそうにしている姿に、本当によい家庭にもらわれたとしみじみ思ったものです。

 

また、二度の結婚をして、二度妻を失ったダン伯父さんの人生には、大好きだった祖父の人生と重なるところがあります(母方の祖父は、三度の結婚をして、一度離婚、二度妻を失っています。恋をするときはいつも本気だったそうで、最後の妻であるわたしの祖母のことも、それはそれは愛していました)。どちらも情熱的で、人望があります。

ただ、そのほかの性格や設定はまったく違いますし、祖父の人生はさらに波瀾万丈でした。

 

現代物の『ママはシングル』では、ママは広告代理店のCMプランナーという設定です。

ママのドジな性格や大失敗のエピソードには、広告代理店で働いていたわたし自身の性格や経験が投影されています。でも、仕事がバリバリできるママの姿は、残念ながら、ただのあこがれです。わたしはまったくの落ちこぼれ社員でしたから。

 

冒頭の画像は黒のジョーのスケッチです。もう少し髪を長くしたかったのですが、いまひとつビシッと決まりませんでした。公式サイトのイラストは、これに水彩色鉛筆で色づけしたものを、チャーミングで頼れるデザイナー、畠山美奈子さんがCGに起こしてくれたものです。


このジョーを始め、個々のキャラクターについては、それぞれまたゆっくりお話ししますね。

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